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マニュアル人間のことはよく思わなくても、マニュアルのことは悪く思わないでください

マニュアル人間、マニュアル通りという表現は、あまりいい意味で使われていないイメージです。

  • 紋切型で融通が利かない

  • 決められたことしかできず、とっさの対応ができない

  • ハウツー本(サイト)に書いてある通りの言動

そういった反フレキシブルなワードやアクションが連想されます。
しかし、フレキシブルな思考で今一度考え直してほしいのです。そして、こう言いたいのです。

マニュアル人間を量産できるマニュアルって、実はすごくない? 

ここで、ほーん、なるほど、と思っていただいた方は、これ以上読み進める必要はないかもしれません。
ああ、あれね。そうそう、よく聞くね。地元の知り合いもそう言ってたね。そういった方々は、もう少しお付き合いください。

読んだ人の大多数がマニュアル通りの行動をとるというのは、裏を返せば書き手の意図が読み手に正しく伝わっている、ことを意味しています。

作文や小論文など、国語ではとにかく文章で自身の考えを表現します。
近年は国語以外でも文章による表現が求められています。
社会に出ても、メールなり報告書なり、何かしら文章を書く機会は絶えません。
もし、その文章に込められた自分の考えや意見が正しく読み手に伝わっていなかったとしたら、そんなのあんまりじゃないでしょうか。

とあるマニュアル制作者は、ことあるごとにこう言っていました。

内容が正しく伝わらないのは、全て書き手に問題がある
(と、書き手は思うべし)

もちろん、全ての「分かりやすさ」の面で
マニュアル>マニュアル以外の文章
というわけではありません。
マニュアルを書く技術がそのまま一般の文章でも活かせるわけでもありません。
しかし、「良いマニュアル」と呼ばれるものは、「分かりやすさ」を突き詰めた文章で構成されているものなのです。

  1. 短文かつ単文(一文内に主語と述語が一組のみ)を心がける

  2. 強調したい情報は別立てするなどして、文の中に埋まらないようにする

  3. 箇条書き・図版化できるものは極力する

  4. 文章を構造化し、情報を階層化して整理する

  5. 結論は簡潔に書く

  6. 用字・用語は統一する

各項目の詳細は省きますが、言われてみれば当たり前じゃん、というものばかりです。

しかし、これら当たり前の積み重ねが、「マニュアル人間」を生み出せるマニュアル(=書き手の意図を読み手に的確に伝えられている文章)で用いられているのであれば、これをいただかない手はありません。

「読解力」という言葉があるように、ずっと私たちは「読む力」を国語で学んでいます。
だからといって、読み手の「読む力」ありきの文章でもいい、というわけではありません。

シンプルに一文が長い!
なんで同じことちょっと変えて二回言うん?
「つまり」からが長いのう ! つまり何?
自分の意見がフワフワじゃあ! キュッとせえ!

読み手のDP(=読解パワー)を、文章のノイズ除去に浪費させてしまうと、書き手の真意までたどりつけない可能性も出てしまいます。
読み手のDP(=読解パワー)は内容の理解にこそ、使ってもらいたくはないですか?

内容、構成、表現力、これらは当然重要です。
これらを活かす、「分かりやすさ」をさらに加えることができたなら……

分かりやすい文章を書けるスキルというのは、内容面で勝負する前に、ストレスなく読んでもらえるというアドバンテージを先んじて手にしているのと同じことなのです。

そう、先んじて。

以上、フライングゲットでした。


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