数学科ポスドクがスタートアップ企業へ就職してみた
純粋数学のポスドクから今年2024年4月にプライバシー技術を扱う会社AcompanyのR&D(研究開発部門)エンジニアとして入社した榎本悠久 (Haruhisa Enomoto) @henomoto1025 と申します。Acompanyは、秘密計算や準同型暗号と言ったプライバシー技術を軸に、プライバシー関連技術の研究開発やプロダクト実装を行っているスタートアップ企業です。
この記事では、大学入学から12年間ずっと数学のアカデミアにいた人間から見た、企業へ入社して3ヶ月経った元時点での、アカデミア以外の企業就職についてやAcompanyという会社についての思うところを書いていく入社エントリとなります。
想定読者
純粋数学等の基礎研究をしているアカデミアにいる学生・院生・ポスドク(・それ以上)
数学の研究者がアカデミア以外のどんなところに就職して生きているのか知りたい人
Acompanyにどういう人がいるのか知りたい人
注意
ずっと数学のアカデミアにいたので、Acompanyの研究開発部門以外の社会経験がなく、以下で書くことの一部の感想はもしかしたらAcompany独自や研究開発部門独自の点で、他の企業には当てはまらない点もあるかもしれません。また逆に、Acompany独自と書いてある点にも他の企業に当てはまる箇所があるかもしれません。
またまだ入社して3ヶ月程度なので、その時点での感想という点にもご注意ください。
はじめに
私の数学での専門は多元環の表現論で、多元環(つまり有限次元ベクトル空間かつ非可換な環)上の加群のなす圏や、導来圏などの関連する圏について調べていました。数学に関することについての詳細はこの個人サイトにいろいろ書いてあるので、興味がある方はそちらをご参照ください。
経歴
自己紹介も兼ねて、まずは客観的な経歴年表を書いておきます。
1993年名古屋市生まれ
2012年 - 2016年: 名古屋大学理学部の数理学科(数学の学部です)
2016年 - 2018年: 名古屋大学の多元数理科学研究科(数学の大学院です)修士課程
2018年 - 2021年: 同博士課程、同時に学振特別研究員DC1
2020年9月に博士早期取得
2021年 - 2024年3月: 学振特別研究員PD(大阪公立大)(いわゆるポスドク時代です)
2024年4月- 現在: 株式会社AcompanyのR&D(研究開発部門)エンジニア
他にもCVにかけそうな受賞歴等もありますが、詳しくはこちらやGoogle scholarのページをご覧ください。
この記事で書くこと
上の経歴の通り、私は2012年に大学に入学してから2024年まで、12年間ずっと大学で数学の勉強や研究をやってきたことになります。高校の頃から数学者を目指しており、上記の経歴等をみる限りは、我ながら研究者として順調なキャリアを歩んでいたケースだと思っています。
ただ、精神的にはいろいろと苦悩があり、アカデミアのポストの少なさや待遇や将来への不安や(いつどこで任期が無い職につけるか分からない)、数学の研究者としてやっていけるのか等の様々な悩みを抱えており、博士課程時代やポスドク時代から徐々に、数学の研究職以外の道へ進むことを考えるようになります。
そこに至る詳細な精神的な経緯についてはアカデミアを離れるにあたっての遺書を書いているので、興味がある方はご覧ください(ただし内容がかなりヘビーなのでご注意ください)。
この記事では、退職エントリではあまり書か(け)なかった、以下のような内容について書いていきます。
就活の詳しい経緯
どうしてAcompanyへ決めたか
実際に働いてみて感じたこと
Acompanyの良さ
数学の研究者がアカデミア以外で生きていくことはできるのか
バックグラウンド(就活を始めるまで)
まずは自己紹介も兼ねて、生まれてからポスドク時代までどのような経歴でやっていたかを箇条書きで書いていきます。数学の内容が多い箇所は興味がない方は読み飛ばしてください。
大学入学まで
小学校の頃はパソコン少年で、プログラミングをちょっといじったりして、基本情報技術者試験や今はなき初級シスアドを小学生で当時の最年少で取ったりしてた
中高と父親(物理教授だった)の影響で数学を好きになり、そのまま何となく数学者を考える
数学以外も哲学や心理学などいろんな学問が昔から(今も)好きでいろいろ本を読んでいた
受験は、家から近いし、数学も旧帝大でちゃんとできそうだからという理由で名大一本の出願だった
専門を決めるまで
学部時代、
授業はサボって主に仲間内で自主ゼミしたり自分で洋書読んだりして勉強学部時代から圏論に興味があった、学部三年までは代数トポロジーやホモトピー論が主な関心
学部時代の卒研で代トポの先生がいなくて、でも圏論は好きだったので、圏を言葉として使う分野で世界的に有名らしい伊山先生(現東大教授)のところへ
そこから飲み込まれて多元環の表現論(非可換環上の加群のなす圏や関連する圏の構造を調べる分野)をやる
ポスドク時代まで
運良く修士時代にそこそこ良いジャーナルに論文が通り、学振DC1も通ったので、お金をもらいつつ博士課程を過ごす
一方で精神的には数学がつらいと感じることが多くなって、不安も大きくなる(詳しくは退職エントリで)
とりあえず出した学振PDも通り、博士卒業後の3年間のモラトリアム猶予をもらったので、将来をあまり考えないようにしながら論文を書いたり書かなかったり後述のプログラミングをしたりして過ごす
プログラミングについて
退職エントリにも書いていますが、博士やポスドクのときから、自身の専門数学の内容をプログラミング言語を使って実装したり計算をさせることが面白いなと思って、数学の一環としてプログラミングをやっていました。
最初はSageMathというPythonを元とした純粋数学特化のプログラミング言語から入って、そこからPythonを知ってPythonを実際に使いつつ勉強
最初にちゃんと書いたプログラムは、有限Coxeter群上の元の最短表示やルート系に関する、自分の研究から出てきたある組合せ論的予想についての、例外型での計算機チェック
ポスドク時代には string algebra と呼ばれる、有向グラフ上の道で環や加群が記述できるクラスについて様々な計算ができるWebアプリを作った
フロントエンドはReact (TypeScript) + MaterialUI
バックエンドはKotlin
Python以外のプログラミング言語への慣れも兼ねての挑戦(ChatGPTに大いに助けられた)
また関数型プログラミング言語兼証明支援系Leanに興味を持って遊ぶ
また上記とは別に趣味として、2022年ごろの画像生成AIやChatGPTの台頭に始まる生成AIブームに興味を持ち、個人的にローカルなグラボで生成AI関連のいろんなことを学習させたりちょっとコードを書いたりしていました。
これらのプログラミングは決して就活のためにやっていたわけではないですが(ちょっと役立てばいいなという下心は少しありました)、結果として純粋数学から企業就職へ行く時の一つの自信や土台となっていた気がします。
就活の経緯
ポスドク2年目まで
博士課程〜ポスドク時代から、上述の通りアカデミアの厳しさや不安から、数学の研究職以外の道を視野に入れ始めました。
まず、アカデミアの人向けの就活エージェントサービスのアカリクへ登録して、エージェントさんとお話をしたり、いくつか求人を眺めたりしました。詳しくは退職エントリで書いていますが、この活動をすることで、「数学以外の世界でも別に生きていけそう」という感覚を持て、精神的にかなり楽になりました。
また、そのような情報収集の一環としてポスドクの就活活動を調べていく中で、AcompanyのR&D(研究開発)部門の牧野さんの次のツイートを見かけました(確か「数学」「アカデミア」「ポスドク」とかでツイート検索して見つけた気がします)。
その文章に惹かれて(特にアカデミアの厳しさを分かっていそうな感じや数学できる人を求めている感じ)、フォローしたところ、牧野さんからDMが来て、一度お話をすることになりました(フォローしただけでDMが来るとは思っていなかったのでちょっとびっくりしたことを覚えています)。
もともと「ポスドクにせっかく3年間の猶予期限があるのだから、最初の2年は(研究職・民間企業問わず)ちゃんとした就活はしない」と決めていたので、この牧野さんとお話しした2年目では一度その面談(いわゆるカジュアル面談)でお話をさせていただいて終わりとなりました。
ポスドク3年目からAcompanyへ決めるまで
ポスドク3年目になると、学振PDから一向に他のポジションへ移る気配がない自分を見かねて、お世話になっている数学の先輩や先生方から「いろんな公募出した方がいいよ」という言葉を多くかけられるようになりました。
ただ、次回のポスドク時点では任期がないアカデミアポジションは厳しそう(30歳を過ぎてもまだ数年期限での契約が普通なのです!)なのと、そもそも公募の絶対数が少なすぎるのと(公募が出ていない、空きがない大学へは行けません)、場所も待遇も何も選べなくなる等、また精神的な理由から、正直あまり気が進まず、「もしめっちゃ条件が良さそうな公募に受かればひょっとしたらそこへ行って数学を続けるかもしれない」程度でダメ元でいくつかの公募に出しました。
が、無事に(?)どこにも通らず、「やっぱり民間企業かな〜、去年話したAcompanyさんいいなあ」と思いながら夏休みが過ぎた10月ごろに再び牧野さんから連絡が来て(こちらから連絡しようとちょうど考えていました)、お話をそのまま進めることになりました。
Acompany以外の会社もいくつかエージェントさん経由で紹介されていましたが、最終的にAcompanyを選んだ決め手は以下の通りです。
採用面談を進める中で研究紹介してくれと言われて、「どうせ数学の言葉は伝わらないだろうな、難しいな」と思いつつ臨んだら、
「(私)ベクトル空間わかりますか?」「はい分かります」
「(私)じゃあ群は?」「はい」
「(私)もしかして環も?」「はい、そこらへんは普通に使うので」
という感じのやりとりとなって、ガチ専門の内容の研究紹介がスムーズにできたのが予想に反して印象的だった代数の人間なので「準同型暗号」というワードは興味を惹かれた、また秘密計算も数学的に厳密に定式化されている技術で、調べてみると面白そうだった
ポスドクやアカデミアに理解がありそうと感じた、また数学の、しかも博士課程持ちや研究経験がある人が求められている印象が好印象だった
他のよくある数学科の人の進む会社は、データサイエンス系やソフトウェア開発系が多いが、それに比べてAcompanyは
技術開発に強みがあって、それら数学や暗号やセキュリティの理論を社会へ実装して役に立つことをするのは、すごくいいなと思った
数学の理論を研究開発してそれをコードで実装して社会へ役立てる感じに惹かれた
プライバシー技術は将来性がある重要な立ち位置だと感じ、その技術開発に貢献するのは楽しそうだと思った
多くの会社は首都圏居住前提が多いなかで、生まれてからずっと大学も大学院も名古屋で、また名古屋の実家に一人暮らししているので、あまり名古屋から離れたくない気持ちが強かった
Acompanyはフルリモート前提の組織なので出社義務はないが、個人的にはメリハリのために出社したかった
オフィス(開発拠点)が名古屋大学内部にある点も魅力の一つで、ずっといた大学から離れずに毎日通い慣れた名大へ出社できる点も惹かれた
通常の就活はいくつかの会社を受けて選考を進めるものと聞いたことがありますが、正直Acompanyのことを調べて話を聞いていく中で、ここ以外では働きたくないな、ここで働くのが一番いいな、という考えが強まっていったので、他は受けずにそのままAcompanyオンリーで選考を進め、無事に12月ごろに採用内定をいただき、2024年4月から入社という運びとなりました。
実際に入社してみて感じたこと
そうして働き始めて現在6月末で、だいたい3ヶ月経ちました。なんとなくのイメージを持ってもらうため、まず私の場合の現在の平日のスケジュールを書いてみます。
私は早寝早起きすればするほどメンタルがいいという性格なのでそれを目指していますが、決まった時間に出社しなければならないという決まりがないので、できるだけ早い時間での出社を目指しつつ、その時々の生活リズムに合わせて働いています。
この節ではポスドクが企業に入社して感じた点をいくつか率直に書いていきます。
一般の企業でも当てはまると思われる点
まずはAcompanyに限らないであろう点から箇条書きで書いてきます。
ずっとアカデミアにおり、社会人というものがどういう存在か知らなかったので不安だったが、無事に慣れてきた
入社最初は、社会経験皆無だったので、「労働時間とは?」「打刻とは?」「有給?無給休暇?」「1 on 1とは?」「MTGとは?」「リスケとは?」等、見慣れない単語に慣れるのにちょっと時間がかかった
(今でもわかってない単語は多い)
「出社」「退勤」「労働時間」という概念があるので、「仕事中は仕事」「勤務時間外は休み」というメリハリがつき、ポスドク時代よりも明確にメンタルには好影響で気持ちが安定している
ポスドクの時は労働時間等の決まりが何もなかったので、自由の刑に処せられ続けており、毎日24時間が夏休みで毎日24時間が仕事という状態でキツかった
でも代わりにポスドクのときよりは自由時間が減った
人生のなかでの時間の大切さが実感でき、無意味にだらける時間は減ったので、良い点でもある
良くも悪くも「やるべきこと・方向性」が決められている
「好きな研究を好きなように好きな進捗でやる」ことはできない
しかし「何やったらいいか分からない」「研究のネタがない」「これをやらなきゃみたいな強制力がないのでだらけちゃう」ということがなく、その意味ではポスドク時代よりも仕事はメンタルによく楽しい
今まで数学の研究者としか接したことがなかったので、「社会人っていろんな人がいて、研究職やエンジニア以外にもいっぱい大事な仕事があって、それぞれの役割を果たしながら会社は回って、社会は回っているんだなあ」と、世界が広がった
アカデミアだけにこもっていると見えない視点がいっぱいある
数学は特に1人で全ての仕事が完結するソロプレイが多いので、「1つの組織・チームで仕事をする」という点が新鮮だった
Acompany代表の高橋さんが同い年で同じ名大出身だけど、そうとは思えない経験と知識と行動力とマネジメント力と信頼感
みなさん年下の方も多いけど、みんな社会経験豊富な大人で年上に見える
Acompany独自だと思われる点
次に、Acompanyならではだと思われる感じたことや良さを書いていきます。
R&Dメンバーの内部ではわりと数学の話が通じるので、ちょっと安心感がある
有限群のモジュラー表現論のブルエ予想周辺で博士をとった人や、4次元トポロジーをやっていた人がいる
R&D以外にも京大RIMS修士卒の人とかいる
業務でもそれなりに数学の事項や知識は使う
(大学院・ポスドク時代よりも多いくらい)毎日論文を眺めて、プログラムを書いて実験したり作ったり考えたりまとめたりする日々研究開発部門で、ある程度の自由度はあるので、自分なりに新しいことを考えて提案することはでき、やりがいもある
感覚は「会社という組織の中が技術面で進むべき最先端の未知の領域や方向性を探索する」感じで、これは今までの研究職の感覚ともそこまで離れているわけではない
フレックスタイム制なのでかなり自由が効いて、かつ残業禁止なのである程度は時間に余裕がある
後輩の数学のセミナーを今も聞いて突っ込んだり数学のいろんな話を聞いたりしている
たまに興味のある数学の講演に潜り込んで聞いたりもできる
いろいろな業務関連の手続き等が自動化されていて、新しい技術を社内に積極的に取り込んで使おうというところもよく、ストレス皆無
Slackで業務連絡や雑談含めて全ての連絡が行われ、しかもフォーマルな感じでは全くなく、みなさんいつも気軽な口調で穏やかな雰囲気なので、働きやすい
timesというSlack上の社内Twitter的なやつがよい
私自身がツイ廃っぽい感じでTwitter中心に人生が回っていたので、とても助かる
業務のことも業務に関係ないこともいろいろ呟ける
フルリモートだけどなんとなくみんなそこでどんな人かがわかって良い
開発拠点が名古屋大学内部にあるので、
通い慣れた名大に出社できる
昼休みの休憩中(時間は自由に決められる!)にたまに名大の数学やってる後輩のところに行って数学の話をしたり雑談したりしている
まだ学生であるかのような感覚を味わうことができる
大学学部入学から12年間ずっと大学にいたが、今が一番大学に通っているかもしれない
待遇や福利厚生も地味にいい(ここがメインポイントではないけど重要な点ではあるよね)
採用ページに書いてあるから書いていいと思うが、R&D部門の給与は年収600万円からで、これは「高い倍率の中から選ばれたポスドク上位層であるところの学振PD」の標準年収430万よりもよっぽど多い!
なんとしかも雇用関係にあるので、健康保険等もついてくる!すごい!
上にも書いた通りフルリモート可で、しかも朝5時から夜22時の間で自由に働けるフレックスタイム制!
(サービス)残業なし(むしろ禁止)、週休完全2日制!
オフィスに出社すると1日1000円もらえる出社手当があるので、毎日出社でお小遣い稼ぎできる!
入社するとすぐ有給3日付与、その後も入社1ヶ月で有給がついてきた!(有給っていうのが何か入社時は知らなかったけど!)
1ヶ月1日無給休暇が付与されるので、ちょっと頑張れば1ヶ月1日合法的にサボれる!
後半よくわからないテンションになってしまいましたが、他にも、社内文化や雰囲気がとてもよく、また逆に飲み会強制とか上司に付き合わせられるとかお昼必ず一緒にとかそういう人間関係の面倒くささもなく、一般的な社会人のイメージとして想像していたような「仕事が嫌で上司が厳しくてタスクがこなせず書類に埋もれてサービス残業だらけで辛い」等の状況には(少なくとも今のところ)陥っていません。
数学の経験は活かせるのか?
数学をやっている人は、企業に行ったら今までの数学をやってきた経験が無駄になってしまうのではと思っている人も多いと思います。これについて、アカデミアから企業へ就職いろんな人が書いているので、わざわざ自分から述べることはないかもしれませんが、現時点での自分の視点から感じたことを書いていきます。
まず前提として、生きている経験の中で何かが無駄になるということはありません。選んだ選択は全て正しい選択だし、全ての体験は人格やその人らしさの一部となり根底を形作っています(などの多くの自己啓発的な言葉がたくさんありますが、いくらでも転がっているので省略します)。
そういうよく聞く話は置いておいて、実際に専門数学の経験は役立つのか、というところについて述べます。結論から言うと、さすがに研究していた専門数学は直接は活かせていません。ただ、基礎的な数学は言葉や道具として普段使うし、上で少し述べた通り、現在の研究開発職でも「まだ未知の技術領域を自分(たち)で探索して切り開く」という感覚は変わりません。その中でも特に、アカデミアでの経験は、以下の点で無意識のうちに活きていると感じます。
英語論文を特に苦もなく英語のまま精読したりいっぱい流し読みできる
論文をただ読むだけじゃなく、批判的に読んだり、自分なりに噛み砕いて自分に分かりやすい定式化で理解しなおして、それをアウトプットできる
自分がどこまで理解していてどこから理解できていないのか、その理解できていない点はどうすれば理解できるようになるのかが分かる
1つの論文の内容を把握するだけでなく、複数の論文を俯瞰的に読み、それらの間の関係を考えたり、自分で論文に書いていない新しいことを論理的に考えることができる
新しい分野の勉強の仕方やキャッチアップの仕方を知っており、少し頑張ればその分野の最先端のarXivプレプリントが(厳密な箇所は置いておいて雰囲気だけでも)読めるようになる
アカデミアで生きてきた人たちが自然にやっているこれらの点、いわゆる「研究者としての能力」は、アカデミアの中にいてそういう人たちに囲まれていると当たり前のスキルに感じてしまいますが、実は人類全体の中から見ると非常に高度なスキルで、アカデミア以外の社会で生きていくときにも強力な武器になると個人的に感じています。
今後のことについて
現在はプライバシー技術の主に合成データや機械学習関連の話題についての論文を読んだりまとめたり、考えながら技術や理論の開発や実装などを行なっています。
数学の基礎研究という視点のみからしかずっと世界を見てこなかっただけあって、まだビジネス的な考え方や、社会に役立つもの・プロダクトを、という視点が抜けていると、この3ヶ月で一緒に働いている方々を見て思いました。今後はその視点を身につけつつ、さらに新しく飛び込んだこの分野でもそのうち新しい結果を残して論文も書けたらいいなと思っています。
また数学はたぶん趣味でずっと細々と続けていくと思います。(数学界隈の知り合いの方、もし私が興味を持ちそうな面白そうな話があったり、もし研究集会やセミナーで顔を見かけたら声をかけてやってください、喜びます。)
まとめ
理論系のポスドクで社会経験が全くなくても、(たぶん)社会でやっていける
研究内容が直接役に立つわけではないが、間接的には大きく役立っており、アカデミアの人たちは未知の世界を切り開いてきた経験があるという他の人にはない大きな武器を持っている
一緒に働く人を募集しています!
以下露骨な宣伝失礼します!
この記事を読んで、Acompanyにちょっとでも興味を持って気になった方は、ぜひ気軽にカジュアル面談をお申し込みください!(ここで、カジュアル面談とは、その名の通り、選考等ではなく、カジュアルに社会人とお話や雑談ができる機会です!)
興味あるけど社会が怖くて申し込みに勇気がいる方は、自分のTwitterにDMしてもらっても大丈夫です!
Acompanyでは、R&D(研究開発)エンジニア含め、一緒に働いてくれる仲間を募集しています!特にR&D部門では、博士課程持ちや数学・物理・工学等の分野での研究経験は歓迎スキルで、自走できる研究者であるあなたを求めています!一緒に働きましょう!
また、就活を考え始めたけど何をしたいかよく分からなかったり、とりあえず社会人とお話ししてみてアカデミア以外の選択肢を模索したい方もカジュアル面談に申し込んでみると良いんじゃないでしょうか!
実は只今、夏の採用祭りで入社ボーナスプレゼント中で、なんと最大100万円もらえるみたいです!
以上長くなってしまいましたが、最後まで読んでいただきありがとうございました。