見出し画像

「共感革命 社交する人類の進化と未来」山極壽一博士。「人間は生物です」と言われたら、違和感感じます?

私はこのnoteを書き始めて、自分がすぐに「人間は生物だ!」と言ってしまうのに気づきました。
いや、私には「人間は生物」というのは当たり前で、科学的に正しくて、生物だから同じ人間といえども、多様。


そして、今の社会の様々な問題を少しでも良い方向に向けるには、「生物としての人間」をもう一度見直し、その特性を考えるということが、とても大切だと強く思うようになりました。

山極壽一博士。
もうかなり昔になりますよね。
NHKで山極氏がゴリラと相対しているドキュメンタリー。
ゴリラの山極氏に対する行動や様子を、とても興味を持って見た記憶があります。いつもお話がとても面白い!

山極壽一博士のこの本は、類人猿の研究から人間の持つ本来の特性から、人間に適した社会のコミュニティの再構築を提言されているのだと思います。

読みながら、
「やっぱり人間は、生物だ。
『生物としての特性』にもう少し忠実になりたい」と思いました。

生物の人間として、気持ちよく生活できる環境、場所とはどういうものなのか。

もう待ったなしで、真剣に考えないといけないと思うのに・・・。
世界はそうならない・・・。
やるせない。

SNSは通信手段として利用されるだろうが、コミュニティには「認め合いの起きる場所」が不可欠だからである。そこはインターネット上のヴァーチャルな空間ではなく、自然が豊かで多様性に富む、画一的な予想ができない場所であってほしい。未来のコミュニティは個人がそれぞれ個性を持った存在として認め合わなければならず、そのためには個性を発揮できる多様な環境が不可欠である。

インターネットの均質的な空間と違い、常に姿を変え、時間とともに移り行く自然は私たちの予想を裏切り、人々の直観力を導き出して個性を発揮させる。そこには新たな創造が生まれる契機が潜んでおり、コミュニティを刷新させ、活気づかせる原動力がある。

『共感革命 社交する人類の進化と未来 (河出新書)』
山極壽一 著

インターネット上のコミュニティも、一つの大切な場所になることには間違いないでしょう。
外出が不自由な私には、とても大切な場所です。
しかし、ネット上が居心地がいい人ばかりではなく、また「生身の物理的な身体」は、その土地でのリアルな繋がり無しでは、生きていけないという当然の法則。

ただ、この本の中で、人間の脳がリアルに仲間として共感しあえる人数が150人程度とあります。

そこで重要なのは、コミュニティの規模をむやみに大きくしないことだ。
・・・、現代人の脳の大きさは一五〇人ほどを上限とした集団で暮らすようにできている。
脳の大きさと集団規模の相関関係は言葉が登場する前にできたもので、信頼関係は身体を通じてしかつくれないことを示している。

『共感革命 社交する人類の進化と未来 (河出新書)』
山極壽一 著


今の社会に、この人数を当てはめたコミュニティをどのように再構築すればいいのでしょうか。
そういう方向に導く、社会的施策とはどういうものなのでしょうか。

そして、望ましい分岐(持続可能な社会)を実現するには、

・労働生産性から資源生産性への転換を促す環境課税、
・地域経済を促す再生エネルギーの活性化、
・まちづくりのための地域公共交通機関の充実、
・地域コミュニティを支える文化や倫理の伝承、住民・地域社会の資産形成を促す社会保障

などの政策が有効であるとしている。

『共感革命 社交する人類の進化と未来 (河出新書)』
山極壽一 著

そんな話し合いを真剣にして、進めていく時期だと思うのですが・・・。


この本の「NHKスペシャル」がありました。
(NHKオンデマンド)

伊藤穰一氏との「まち」についての対談。
とてもいいお話です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?