やたら細かい努力値の振り方ができるためにはどうすればいいのか
〇記事の趣旨
先日より複数回、初心者の方に向けたポケモンの記事を書かせていただいています。
ランクマッチで勝ちたいなら「ダメージ計算」をできるようにしよう!|へる (note.com)
「初手出し負けリスク」からプレイングで重要なことを学ぼう|へる (note.com)
より早く、より上手くなるために。「なんとなく」の対戦から卒業しよう!|へる (note.com)
ポケモンのパーティーで絶対知らないといけないことを知ろう!|へる (note.com)
「相手の順位が高いほどマイナーポケモンが刺さりにくい」のは「知識があるから」だけじゃない!|へる (note.com)
なぜ飛行ポケモンに対して「じしん」を打てるのか|へる (note.com)
どうすれば「ブッパだ!」と言われるプレーを減らせるのか|へる (note.com)
「ダメージ感覚」を身に着けて効率的に上手くなろう|へる (note.com)
テラスタルという要素を客観的にとらえ、対戦に必要な要素を学ぼう!|へる (note.com)
なぜ初心者は「過去にだけ流行した型」を使うべきではないのか|へる (note.com)
「新しい型を積極的に作る必要があるプレイヤー」と「そうすべきでない初心者」は何が違うのか|へる (note.com)
僕がでんきだま投げつけるコノヨザルを使いたくない理由|へる (note.com)
ポケモン初心者にとっての「レート1700」とはなんなのか?|へる (note.com)
ポケモン対戦初心者が絶対に抱えてはいけない「悪い癖」を知ろう|へる (note.com)
皆さんは自分オリジナルの調整をしたこと)がありますか?
おそらく初心者の方だと、「他の方の調整をそのまま使う」とか、「特定のステータスに努力値を252ずつ振ってあまりをどれかに振る」 とか、そういうことくらいまでではないでしょうか。
実際のところ、そういう調整自体は珍しくありませんし、それがわるいというわけではまったくありません。
ただ、強い、結果を残された方の使っているポケモンを記事などでみてみると、もう少し細かい調整がされているのを見ることも多いでしょう。
今回は、「なんかちょっとずつ努力値を振っているポケモン」が、どういう発想で作られているかを解説することで、プレイングに大切なことを説明したいと思います。
ちなみにどうでもいいことですが、毎回タイトル画像は適当に書いたポケモンがらみの絵をいれていたのですが、ついに在庫がきれたため、今回は使いまわしています。いや本当にどうでもいいことなですが。
〇そもそもどうして微調整をするのか
例えば努力値を
HP244
攻撃224
防御20
特防12
素早さ12
と振られているポケモンがいたとしましょう。まあこんなビミョーな努力値の振り方をしている以上、具体的なことはわからないけれど、それぞれの数字を振る意味があるんだろうな、くらいは想像がつくと思います。
HPの努力値を調整すプるのは、有名なものだと「奇数調整」「食べ残しゃ身代わり等の効率を最大にする調整」といったものがあり、それは「HP 努力値」とかでネットで調べれば、一通りまとまっているサイトがわんさか出てきます。
しかし当然そういったもの以外に「その努力値を振ったことでなにかのポケモンのなにかのワザを耐えることができる」といった理由があることも多く、特に「防御」「特防」も合わせて振られている場合、たいていはそういう理由があります。
素早さの努力値を調整するのは、特定のポケモンより早く動くため、というのがほとんどで、努力値が0か4か252でない場合はほぼ全てがそれです。 厳密には、「スカーフを持たせたら」といった条件付下での数値調整が入っている場合も多いですが、少なくとも「動く順序を調整するため」の調整なのは変わりません。
つまり、こういった微調整がされているポケモンというのは、丸めて言えば「自分が想定している特定条件で最も強いポケモンにするため」の意図があるということです。
逆に、例えば「攻撃」「素早さ」に252ずつ努力値を振り分けていたりするような場合、多くは「場面を限定せず、そのポケモンのもつ特徴を最大に活かす」ための場合が多いと考えてもいいと思います。
汎用性を多少犠牲にしてでも特定の意図を通す、それが微調整の狙いなのです。
〇具体的な場面のハードル自体は難しく考えすぎなくてもよいが・・・。
基本的な話ですが、ポケモンに限らずどんなゲームでも、「強い」のは原則として「パワーが高い」ものです。
以前私の記事でもマイナーポケモンがスペシャリストにしかなれないという話を扱いましたが、いわゆるパワーが低いポケモンでも活躍できることはあれど、その用途は限定的だったり、そもそも条件としてそのポケモンにしかできないことが必要だったりします。
要するに、基本的には、なんらかの意図がない限り、最も単純なパワーが汎用的に高く発揮できるようにするのが、そのポケモン単体で見るときには一番強い調整なことが多いのです。
しかし、実際にはポケモンの型というのは一つに限定されません。
例えばポケモンsvにおいて、カイリューというポケモンは毎シーズン流行りの型が変わっていますが、私個人としてはカイリューが最も「パワーが高い」つまり「強い」のは、HAベースのノーマルテラス鉢巻カイリューだと思っています。
出たターンから問答無用の高火力で優先度+2のしんそくを乱射するのはあまりにパワーが高く、細かいことを無視してパワーで押し切っていくことができると思っているからです。
ですが、「想定される条件が変われば」その汎用的なカイリューよりもっと活躍できる型のカイリューが出てくるわけです。例えば同じ鉢巻をもっているHAベースのカイリューでも、飛行テラスタルに流行りが変わったりするように。
ですがこれは、ノーマルテラスカイリューよりも飛行テラスカイリューの方が上位互換になる、といった話ではありません。さらにいうなら「単純な強さの尺度」の比較ですらないといってもいいでしょう。あくまで、「想定される条件自体が変わったからその条件で一番活躍できる型になっただけ」です。
この話は初心者の方でもなんとなく伝わる話だと思いますが。あえて言い切りましょう。努力値の微調整も考え方としてはぶっちゃけおんなじです。
「想定される条件」に合わせて「一番活躍できる」ようにしている。そのことになにも変わりはしません。
そう、場面を具体的に!というとやたらハードルを高く感じると思うのですが、具体的な程度がより進めば確かにハードルは上がっていくものの、別に入り口自体はそんなハードルが高いわけではないのです。
しかも。
今回はポケモンの微調整の話ですが、この話でなくても、たとえばパーティーを組んでいく時だって、一切こういった話から無関係で、あることはありえないと思いませんか。
つまり、みんなが程度の差はあれやっている、こういった「想定」が、より具体的に、より明確になっていった結果、パーティーの組み合わせやアイテムの選択といったところにとどまらず、ポケモンの努力値の振り方を調整しよう!まで最適化思考が行きついたのがこういった微調整ポケモンなのです。
〇想定が具体的であるほど「勝率が上がる」ことはあっても、「微調整した方が強いポケモンになる」とは限らない
具体的な状況がイメージできるほど、こういった微調整をしやすく、そして結果を残している強い方ほどこういった微調整をしていることがおおいため、さも「微調整しているポケモンこそが強い!」と思いがちですが。
さて、ではこういった調整をするときに、具体的であれば具体的であるぼど、本当にできあがるポケモンが「強くなる」のでしょうか。
結論からいいますが、必ずしもそうではありません。
先ほども触れましたが、具体的な場面でより活躍できるよう調整されるということは、よりスペシャリストになるということです。スペシャリストになればなるほど、当然汎用性は失っていきます。
これはポケモンに限らず、常識的に考えて、「いつどんなときでも強い」ことこそ「最強」を示す定義の一つだと思いますが、そこまで言わずとも汎用性がないものが最強と言われることがあまりないのは、カードゲームとか、ポケモンでも例えばマイナーポケモンに触ったことがある方なら嫌でもわかると思われます。
なので、あくまでポケモン個体単位で考えるなら、微調整を行ったポケモンがより強いとは限らない、というのが本当のところです。
では、実際の運用上どうして「これ最強!」みたいな話ができてきやすかったり、上位の型が微調整していることが増えてくるかというと、プレイングといった要素と組み合わせた結果、勝率に貢献するからです。
ちょっと考えてみてください。
具体的な状況を詳細に想定して微調整できるということは、自分の勝ち方を明確に考えられているということです。それは知識とかだけの話ではなく、プレイング技術があって、その技術をもとに自分が勝つために必要な条件を考察し、それを具体的な状況想定に落とし込み、自分が勝てる状況を作れるようにポケモンを微調整している。だから勝てるし強く感じるわけですよね。これはポケモン単体を物差しで測る話で収まる話ではない・・・ということがおわかりになるでしょうか?
具体的な状況を想定せずポケモンを作るのが弱いというよりも、具体的な状況を想定することができないためにそういった微調整を施すことができないから、結果的に勝てないという見方もできる、ということでもあります。
ですから、あくまでこういった具体性が最終的に勝利に貢献するかどうかは、運用技術とセットの話として考えるべきであって、ポケモン自体が強くなるとは限らない。
そういう認識は正しく持っている必要があります。
〇どの程度具体的であるべきか
もちろん程度のばらつきなんていくらでもあるわけですが、例えば最低限これくらいは意識して調整されていることも多いという例を挙げます。
一応述べておくと、別にこの調整がすごい強いといいたいわけではありません。あくまで例です。
環境にキノガッサが多くいるとします。
現在のパーティ単位できのこのほうしの対策が甘く、キノガッサがつらいため、対策をしたないといけないのですが、草ポケモンをパーティーに入れる余地がなく、サーフゴーでなんとか対策したいと考えています。
しかし、例えばうまく初手にキノガッサとサーフゴーの対面が作れても、おそらく相手のキノガッサはたすきなので、こちらが先に2回攻撃できたり、相手のじならしを2回確実に耐えられないと対面で勝てません。
いじっぱりA特化キノガッサのじならしは、HB特化したずぶといサーフゴーでも乱数2発になってしまうので、キノガッサが先に動いても確実に耐えて対面で勝つには、回復アイテム系だったり弱点半減系のきのみをもたせたり、あるいはふうせんを持たせる必要があります。しかし、現在のパーティー構成上、回復アイテムは他のポケモンに持たせていて、半減系きのみはあまりに目的が限定的過ぎて使いたくなく、ふうせんもかなりメタ特化に寄ってしまいます。
自分のパーティーではキョジオーンもやや重いので、合わせてキョジオーンも対策できるよう、今回はできればサーフゴーに隠密マントをもたせたいと考えました。
隠密マントをもたせれば、地ならしを打たれても素早さが下がらないため、サーフゴーがキノガッサよりも素早さが高ければ先に2回攻撃して倒すことができます。
キノガッサはほぼいじっぱりAS特化しか環境にいません。いじっぱりASキノガッサの素早さの実数値は122なので、先の条件を考えると、サーフゴーの素早さを123以上にしないといけませんが、同じようにキノガッサの素早さを抜ける素早さ調整にしている人が多く、その場合素早さ実数値を123
にしている人が多いので、それより確実に先に動ける用、素早さ実数値を124にしようと思いました。
すると、サーフゴーが臆病の場合努力値を68、それ以外の性格にする場合156振る必要があります。
また、キノガッサを読んで初手に出したとき、読み外してブーストエナジーを発動したCS臆病ハバタクカミと初手対面してしまったとき、テラスタルなしで電磁波を打てるように一発耐えられるようにしたいと思いました。
ダメージ計算機を使ってダメージ計算したところ、特防に努力値や性格で補正をかけない場合、HP実数値が182ないとシャドーボールを打たれると乱数で倒されてしまうので、HPに努力値を164以上は振りたいと思います。
ただ、ハパタクカミには電磁波を1発入れればそのまま勝てる試合が多そうなパーティーになっているため、最悪後から死に出し等で対面してもサーフゴーが一発耐えて電磁波をうてるようにしたいと思いました。
後出しの場合、環境的にはステルスロックをまかれていることが考えられます。ステルスロックをまかれていると、出したときに体力が削れてしまうので、仮にHPに244努力値を振っても臆病csハバタクカミのシャドーボールが乱数になってしまうので、特防に努力値を4も振ることにしました。そうすると、耐えることができそうです。HPに努力値を252振ってしまうと、HP実数値が194と偶数になってしまうので、244振ることにしました。これでも要件はみたすことができます。
単純に特殊への耐久力を上げるだけなら特防にふることもできますが、サーフゴーをずぶといにしなくても、ステルスロックをまかれていても、HPに努力値を244ふるだけでもいじっぱりA特化はちまきカイリューのほのおのパンチなら耐えれるようになるので、今回はHPに努力値を244ふることにしました。
また、できる限り特攻は確保したかったため、残りは特攻にふることにしました。
サーフゴーを臆病にして素早さに努力値を68ふってあまりを特攻に振るより、サーフゴーをひかえめして素早さには努力値を156ふり、残りを特攻に振る方が、実際に特攻に振る努力値は少なくとも特攻の実数地が高くなります(どうしてそうなるかは、性格補正のルールについて調べてみてください)。
よって、今回はサーフゴーはひかえめにし、素早さに努力値を156振ろうと思います。
さて、ここまでで努力値はHPに244、特防が4、素早さに156で合計404使っています。よって残りは106ですが、努力値は4の刻みでしか影響しないので、実質104です。
特攻に努力値を振るとき、100でも104でも実数値が変わらないため、特攻には100、4を防御に振ることにしました。
よって、今回はサーフゴーに努力値をHP244・防御4・特攻100・特防4・素早さ156(合計508) 振った状態で、隠密マントをもたせてみることにしました。
さて。どうでしょう。この調整、正直な話そこまですごい細かい調整ではありません。実際の計算はもっといろいろなパターンを元に行われますし、パーティーの他のポケモンとのかみ合わせも考慮されます。
そうはいっても、初心者の方にとっては結構具体的な数字、計算でやってるなあ、と思うのではないでしょうか。難しいと思いますか?
もし難しいとすれば、どこが難しいかを考えてみましょう。まず、ダメージ計算自体はできますか?できるのであれば、上に書いてあるほとんどのこをは自分でも計算できますから、あとは具体的な想定の話ですし、ダメージ計算ができないならそこからまずはやるべきでしょう。
具体的な想定自体は、0から頭の中で考えるのこそ無理でしょうから、自分がやっていて「こういうのに勝てない!」みたいな状況をいくつかピックアップし、それに勝つための方法を考えるところからスタートしてもいいかもしれませんし、それこそ強い方の構築記事を読むところからスタートしてもいいかもしれません。思考パーツの入手は役立ちます。
少なくとも、上記のように「どういう場面で」「どういうことをさせたいか」くらいは考えていないと、具体的な必要数値もわからないため、こういった調整をしょうがないこともわかってもらえるのではないかと思います。
ちなみに上記の計算、一応私なりにミスがないかは見たつもりなのですが、こう書いておいてなんですが本当にミスがなく計算できているの?とちょっと不安がないでもありません。もしダメージ計算にまだ慣れていない方がこれをお読みであれば、上記のことになにかミスがないか、自分でも計算してみてはどうでしょうか?
ついでに、例えばこの調整、カイリューがじしんをうっていたら?とか、ようきだったら?とか、ハバタクカミがひかえめだったら?とかも合わせて計算してみるのもおすすめします。
もしその結果、なんだ、だったらこういう振り方をしたほうがよさそうでは?みたいなことが浮かんだら、そういった想定の積み重ねがこういう微調整を作る、といういい練習にもなりますからね。
〇まとめ
さて、長くなりましたので改めてまとめてみましょう。
・微調整をするのは、「自分が想定する状況下で最も活躍するようにするため」
・微調整をすれば必ずしも最強のポケモンになるわけではないが、微調整ができてそれをすることで、総合的に勝率が上がることはある。
・勝率が上がるのは、環境を正しく把握し、自分が想定した状況が実際に発生し、それに対する対策を行えているため。
・最低限「どういう場面で」「どういうことをさせたいか」を具体的に設定しないと、計算ができないので微調整をすることができない
いかがでしたでしょうか。
強い人が使っていた調整だ!最強なんだろうな!よしこれを真似しよう!と試みても、いわゆるこういった具体的な想定がわかっていないと正しく使うことができないのと同様、具体的な想定があって初めて微調整をすることが可能になります。
この微調整自体にはプレイング学習にもつながる要素がたくさん隠れていますので、それを意識して、強い方の構築記事を読んでみてはいかがでしょうか。
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