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最も美しい瞬間について

「私の紋章が縫い付けられた文章。

  ここで私が目ざすのは、絵画や、彫刻や、音楽のような、作『品』としての文章だ。読むことの快楽。何度でも、その文章を読むこと自体に快楽があるような文章であること、それは、その文章が作『品』として『ある』ということに他ならない。技術、技巧、技芸として、絵画や彫刻や音楽のような仕方で、万人にひらかれて、それ以外の方法によっては顕現しえないものを顕現させるべく『ある』文章、それも、私を知る人が読めば、私のそれだとはっきりと知ることができる文章を、私は『私の文章』と呼び、『私の作品』と呼ぼうとしているのだと思う。

  もう少し、よく見てみよう…印は、紋章として縫い付けられているばかりではない。

  書き上げると私は、私の文章を光にかざす。すると、そのいちめんに、私以外には決して入れることのできないだろう、私、という、巧妙で繊細な透かしが入っているのを、私は見ることができる。

  書くことの、これがおそらく最も、美しい瞬間だ。」


日記からの、引用です。

今日は明日、昨日になります。 パンではなく薔薇をたべます。 血ではなく、蜜をささげます。