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2000スキ記念式典! 分冊でお届け(2)

【あわせて読みたい:これは付録付き一話完結連作短編集『大人の領分』の完結記念&こんにちは世界アカウント2000スキ記念エッセイの続きです。大人な人々の大人たる所以、沈黙の中で世間は回っています  ほか】

柏木:では本番に入ります。すみません、言いそびれましたが本番では私語は無しでお願いします。重ね重ねになりますが、耳に入った音声に関しては以後、絶対沈黙を守ってください。ご用意をお願いします。カウントダウンします。5…4…3…2…1…はい。始めます。

全員:…。…? ………………………!!


という感じで、続いてます。

『領分』メンバーは何を聴いたのか…?

目の前の人が誰かの想い人だって、不思議な感じがしませんか…? 目の前の人を愛する人、だけが知っている、秘めた愛情を知るって、なんだかぞくぞく、しませんか。

それぞれの部分だけお読みになっても楽しめるように頑張りましたが、事情をご存知のかたには噛めば噛むほど楽しい…相変わらずの高筆圧で書き込みました!

さてさて、ではブースごとに…聴きながら、それぞれと手を繋いで見つめ合っているのを想像して、お読みください。

お読みになっている皆さまだけが足を踏み入れられる「藪の中」へ、ようこそ。


1番ブース   薫・ユキ

≫≫≫  ユキが聴いている音声(薫について話す詢と敦)  ≫≫≫

詢:ちっちゃいんだよとにかく。もっと慣らさなきゃって思うんだけど、だいたい焦ってるからたぶん、辛い思いさせてると思う。どうにか入れても、スムーズに動けるようになるまでしばらくかかるし…薫はおずおず、できればゆっくりしてって言うのはたぶん、相当きついからだと思うんだ、薫は言いづらいだろうに、わざわざ言ってくれるのに、俺ね、無理矢理動いちゃって…ダメなんだ、薫が苦しそうにしてると、滅茶苦茶にしたくなって…動いてるうちに、きっと生理現象だと思うんだけど、薫が嫌々、悲しそうに、感じ始めるのを見て、なんだか興奮してる自分がいる。たぶん薫はもっと…ううん、俺は、あんまりしたくない。したいけど、したくない。朝から仕込んでセッティングしたランチで、薫と乾杯して、薫に「あーん」してあげたり、本を読んでる薫の隣でおとなしくレシピチェックしてたりする時間のほうが、好きだよ。
敦:薫さんね、すっっっごいむっつりなの。体が本当、貪欲。俺ってほら細かい作業得意だし、根気強いでしょう、薫さんが奥でいけるように、練習してあげたの。薫さんが一人のときでもできるかなって、オモチャでね。二、三回、気持ちいいのが天井打った頃合いで、俺は一旦休憩して、代わりにぐさーっとね。どこまで入るのって、こっちがドキドキするくらい突っ込んで、ほとんど動かさないでギリギリまで押してあげるだけで、汗だくになって、もう無理、無理、もうだめ、もう入んないよ壊れちゃう、ってお経みたいに唱えながら、ありえないくらい感じてんの。気持ちよすぎて息、するのさえ忘れてて、顔も真っ赤になってね。エっロいよねぇ。あとからわかったんだけど、あれ、自分でしても、最後まで追い詰められないんだってね? だからさ、俺、必要とされてるんだなぁって、感動しちゃった。それに、その後で入れると、吸い付いて離さないくらい中も出来上がってて、俺も気持ちいいし。俺にはとってもエロ可愛い人なんだけど、二人の感じだと…詢は薫さんのそういう一面は、知らないんだろうね。開発済みだから、詢のサイズでちゃんとしてあげたら、薫さん、ぶっ飛ぶくらいに感じて、文字通り泣いて悦ぶだろうにね。薫さんだって、きっと、詢ときちんとしたいと思ってると思うんだよね。二人のそういうすれ違い、もどかしくて可愛いと思わなくもないけど…やっぱり、もったいないよね。



≫≫≫   薫が聴いている音声(ユキについて話す佳奈)   ≫≫≫

佳奈:ユキって時々演技入れてくるのね。真面目なのじゃなくてネタで、執事とか、インストラクターとかね。執事の時は、エッチなオイルマッサージしてもらったなぁ。あれ結構よかった。最高にウケたのがオネエキャラでエッチしたとき。忘れられないな。もうね、悶絶。面白いけど、ほら上手だから、笑っていいのか感じていいのか…ねちっこく攻めて、「うふふ。悪くないわね、アタシ、アナタにハマっちゃいそうよ…」とか言って、すぐ地声で、あれ? ハマる?ハメる?  ワタシニホンゴワカリマセーン、カメカメハメハメ、カメ、ハメ、ハ! とか言って全力でくるの。で、また不意に戻って、「やあねえ、アタシの元気玉が疼いちゃうじゃないの…」とかってね。ほんと、バッカじゃないの。…そういうところと…ちょっとした気分とか、触ってほしいなって思う気持ちとかを、すっと攫いにくるところがね…。私は毎回、同じでいいんだけど…。…え? まだ話すの? そんなこと言っても…ユキには、話になるほど性癖的に特殊なところ、なんにもないもん。ユキのは、普通のことがすごく上手にできる、どこまでも普通の、すごくいいセックスだよ。ユキは目立つけど、こう、攻撃的なかっこよさで目立つ訳でもないしなぁ…背も高くないし…信じられないくらいに科学的な推測力ないし、まあ…顔に減点ないでしょう、肌も髪も綺麗で、体が強くて体力あって、趣味もこだわりもなくて…ああ、あれかな、声がいい。あとは、目があったときに、にっこり笑って、ねー、気持ちいいね。って言う、あれは、好き。ずっとしてたくなる。うーん、どうかなぁ…そういえば…ユキって、あ、ごめん出ちゃう、とか、いけないや、とか、たたないな、とかがないのね。で、いっていい? とさえ訊かなくて、あー俺いくね、って静かにいっちゃうんだけど、私、不満だったことも飽き飽きだったこともないんだよね。ちょうどいいの。あれほんと、謎。心も体も、どうやって折り合いつけてるのかな?




続きます。


みんなは、ここに:


今日は明日、昨日になります。 パンではなく薔薇をたべます。 血ではなく、蜜をささげます。