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【詩】右左右

右左右

忘れじの昼下がり
からからとした空気
標識の色彩にたじろぐ
対岸に咲こうとする君が
音もなく佇む

横断歩道の白い線を
僕と君の境界線を
ぼかすばかりの春霞


右左右

君といると僕は重力を知らない
幽玄な君の雫が
くぐもった世界をも潤した
ただ此処で息をしているだけで

行き止まりには印をつけて
手間を疎わず進んでゆく


右左右

透明な膜は消えてゆく
花の香がたち込める
いつになく解像度が高い
海岸のような
パラレルワールドの狭間

傾いた表情が
まっすぐに色づく
迷わず僕らは手を取り合う




画像:個人撮影


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