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【詩】やまのぼり

裸のまま
私のまま
歩いていただけ

生身のまま
ありのまま
歩いていただけ


ただそれだけだった




いつからかなぜだろうか


殴られて
叩かれて
蹴飛ばされて
罵倒されて



もう何も感じなくなるくらい







森の中で目が覚めた
小鳥が鳴いているなんてことはなくって
綺麗なお花も咲いていなくって


ただ
こんなところまで来ていたことに驚くばかり




それでも私はまた歩き出した

前にしか進めないことを
誰に教わるでもなく知っていた



裸のまま
私のまま
歩いて行った

生身のまま
ありのまま
歩いて行った




私はそんなに変わっていない
だけど前より少しだけ
やさしい自分が増えていた
透明な傷跡をそっと撫でた



もう、峠を越えていた





画像:自作


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