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【詩】対峙

世界と対峙する心を持つ

それは

風に吹かれても
雨に打たれても
私はここにいるということ

及第点

私は私のままでいることで
私という存在の
しなやかさを磨くことができるということ


人という生き物を
特筆すべき理由はいくつもある


見渡す限り人知の産物
あれもこれもそれもこれも

いらぬ言葉に踊らされて
食いちぎられて
見るも無惨な姿 滑稽な装い

罪深きを知るものは
自らを律することに徹している

時として聖母になり
時として悪魔になる

他の生命と等しくいずれ死す


世界と対峙することを自ずから選択する者たちは
好事家に違いないことはそうなのだ
いかにして変形を食い止め
明日を捨てても飛び込むかを
くる日もくる日も懲りずに考えあぐねる


不器用だ

端的に言えば そう不器用にも程がある


馬鹿と言ってしまっては終点
だが回送列車にすら乗り込めないくせして
生きることを諦めない


強い
君は不器用で強い


君は君のままでいることで
君という存在の
しなやかさを磨くことができる

そして凌駕する
人を 生きとし生けるものたちを
得体のしれない不器用さで
君という存在のしなやかさで

あらゆる望を持つことをなくなく捨てた者たちへ
救いの涙を授けることができる


生きるべきなのだ
対峙する痛みを知る君こそ
言葉の重みでぐいぐい引っ張って
次へ次へ連鎖させて


人という生き物を特筆すべき理由の最後は
その知性によって
次世代へ痕跡を残せることだ
君もやはり例外ではない




画像:自作


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