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【詩】3階のベランダから

これまでのことを借り物と思えば 
すっかり手放してしまえる
そうノートに書きとめた


つぶれた心が床に落ちる 
ぼとり 重たい影をのこして

窓を開けて風をまねいた 
今日はどんな一日だったの?
頬をなでる涼しさは
小さな孤独をふくらませる


笑われることにはもう慣れた
そんな生き方しかできないことを
責めたてる自分はもういない

刻一刻と迫る明日に
気まぐれと衝動をこじつけて 
遠ざけた嫌悪をまた抱く


奏でることに理由なんかない
弱くなった指にさえ呼応するピアノは
そっと僕をなぐさめる

子どものままでも
大人になりすぎても音色は変わらない
心配は募金箱に入れといてよ


月をながめるたび
世界はちっぽけだとわかる
味方ヅラなんていらない 
君は見て見ぬフリしていた

とがめる権利はさらさらないけど

余計にかなしくなるから
もうやめてよ


手放した後になにが残るだろう
まっさらになって何処へ行こう
君は僕を見て何を思うだろう

囁く涙にも気づけぬまま
いつもより深い眠りを祈った




画像:個人撮影


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