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【詩】古の迹

少年は森へ往く
葉がひらり飛来する
おとぎにつられて
畏怖のつめたさに触れた


まどろみをくぐる
枯れた木のそばで眠る
消えていったものたちが
僕らに語るもの

だれひとりとして
気づくことのない深層に咲く花
洞の奥に光る涙
生きるものたちの旋律
ほほえみは幻



記されることのないいにしえから
廻りつづける道

旅人であることを忘れ
抗い争い戦い傷つき
無情を怖がる

落とし物が ぽつり ぽつり 
かすかな霧に彷徨う
主は還らぬ人となり
のこされた彼らはそこにて朽ちた



はかりしれない時が去り
たった今、僕らは
廻りつづけることも知らず
そのあとを美しいと呼ぶ




画像:お借りしました


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