異論反論を、大きな目的に向けての大切な情報として扱う
ハーバードで公衆衛生学を学び、組織における個人のウェルビーングに関して、さまざまな提言をしている石川善樹さんとお話する機会がありました。
彼は講演などで「信用と信頼は違う」と発信しています。
"信用は理性的な判断だけれども、信頼は感情的な結びつき"ーーだから、"彼の能力は信用しているけれども、人としては信頼できない"という表現が成り立ちます。逆もしかりです。
その石川さんに「信用と信頼の区別はとてもわかりやすいですね」と言うと「信頼と信仰の違いというのもありますよね」と返されました。石川さんによると、信頼も信仰も "感情的な結びつきがある" という意味では同じ。しかし、信頼は異論反論を許すけれど、信仰はそれを許さない。
異論反論を許しあってこそ、本当の意味での信頼が醸成されるーーその通りだなと思いました。
経営者や管理職の方々から「ミーティングや会議で意見が出ない」という話を聞くことがよくあります。自由に発言するには安心感が必要です。安心感は信頼感をもとに生まれるものです。そして、信頼は異論反論を許し合う中でこそ育まれる。
逆をたどれば、日頃から"異論反論を投げても大丈夫だ"という双方の体験が、信頼をつくり出し、安心感を生み、自由な発言を可能にするということになります。
コーチは異論反論を避けたり、かわしたり、つぶしたりすることはありません。それに賛成するわけではありませんが "チームや組織の発展" という共通の目的に向けて、大切な貴重なかけがえのない情報として扱います。
あなたはどのくらい相手の異論反論に向き合う準備ができていますか?
〜『新 コーチングが人を活かす』Skill56より抜粋編集
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