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猪熊弦一郎現代美術館 MIMOCA EYE / 美術作品の鑑賞法について思うこと

香川県丸亀市には、丸亀市猪熊弦一郎現代美術館(愛称:MIMOCA)がある。香川県民が誇る現代美術館だ。ここは全国の巡回展が回ってくることもほとんどなく、毎回独自の展示をしていて、ここでしか見れない展示ばかりだ。3年に一度の瀬戸内国際芸術祭の期間中の展示も毎回良く、私もここ数年はすべての展示を見ている。

MIMOCA EYE とは

MIMOCAは現代美術の新たな公募展「MIMOCA EYE / ミモカアイ」を創設し、35歳以下のアーティストを対象として現代美術の作品を公募した。初回となる「第1回 MIMOCA EYE / ミモカアイ」では294人(組)の応募があり、選考委員による厳正な審査をおこなった結果、17点の入選作が決定。今回の展示は、その入選作による展覧会「第1回 MIMOCA EYE / ミモカアイ」。大賞を受賞した作家は賞金の他、副賞としてMIMOCAでの個展開催ができるらしい。MIMOCAで個展・・・それはスゴイ!今後は継続して3年ごとに実施されるようだ。35歳以下かぁ・・・(アウト!)

アートとはその時代の答えであって、アーティストはこの現代をどう表現するのかという責任がある。それがコンテンポラリーアート。未来に向かってアーティストがどういうふうに方向づけ、今にないものを発見していくかっていう、一番大事で一番難しいことの結果を見せる美術館であってほしい(猪熊弦一郎)

伝わる世界観

今回の展示で全体的に印象に残ったのは作品の展示がそれぞれ工夫されていたことだ。作家が1つの空間に展示されているのだが、自然に空間が仕切られてそれぞれのブースのようになっており、各々の世界観が良く分かる展示だった。平面作品も、ただ壁に展示するだけでない表現もあり、それぞれが印象に残った。MIMOCAらしい空間も損なわず、クオリティの高い作品を見ることができた。

吉田志穂《庭になるもの》

子どもと参加したオーディエンス賞

今回の展示はオーディエンス賞というのがあり、観覧者の投票で受賞が決まるようだ。私が選んだのは、谷口典央さん《New planet log 2》。シンプルだが新しい手法だし、種もしかけもない美しい作品だった。
長男(6歳)が選んだのは、西條茜《Phantom Body -蜜と泉-》。お!これは大賞の作品だ。見る目あるね〜!「どうしてこれが良いと思った?」と聞くと、「こんな形は初めて見たから」とのこと。確かに!
すべての作品はホームページで見ることができるので、気になる方は覗いてみてください!

美術館での作品鑑賞法の正解とは

作品鑑賞って難しいと思いませんか?私はよく美術館に足を運ぶが、いつも「鑑賞法はこれで良いのだろうか?」と不安に思う。振り返ると私が受けてきた美術の授業でも、技術は教わったが鑑賞法を教わった記憶は無い。教わることでは無いということ?オリジナルで良いということか?その疑問がつきまとうので、私が高校生に美術の授業をする時は鑑賞の時間も大事にしている。ほとんどの人にとって美術とは、制作をするより鑑賞をする時間の方がずっと長いはずなのだ。正直、私の中でも手探り状態だが、必要なことだと思っている。これに関してはまた詳しく書きたいと思う。
ひとつ言えることは、知識や情報をおさらいする場であってはつまらないということ。もっと柔らかい部分を大切に共有したいし、新たな出会いの場であって欲しい。

良い展示を見たあとは

良い展示だったな〜と思うポイントの1つに、わたしも何か表現したい!と思わせる展示だったかという点だ。今回は谷口典央さん《New planet log 2》の作品を見て、あ〜〜久しぶりに絵を描きたいなぁと心から思った。
また、鑑賞後はなるべく感想を言語化するように心がける。ここ数年は美術館へは家族と行っているので、帰り道に夫と感想を話す。良い展示の後は盛り上がる。子どもたちとは作品を見ながら感想を言い合う(美術館なので小さな声で)。「あそこの形がスゴイ」とか、「ここが◯◯に見える」とか。何でも良いから言葉にしてみよう。3歳の娘でも何かしらの感想を言うので、感心する。むしろ作品を見る視点がストレートだったりして、羨ましくなる。鑑賞法はまだ模索中だ。

何度も出会う、いのくまさんの絵

いつも楽しませてくれるMIMOCAの企画展ですが、常設展も大好き。広い空間に並ぶいのくまさんの絵。とても贅沢な空間。とても満たされた週末となった。

猪熊弦一郎『窓と星座』 1985年


猪熊弦一郎『金環食』 1987年

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