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チェルシー×アストンヴィラ プレミアリーグ 第4節 2021.9.12

こんにちは!へーこです。
今回はチェルシー×アストンヴィラの一戦についてレビュー記事を書いていきます。チェルシーには移籍期限最終日で加入したサウールがメンバー入りしていますが、どのような試合になるのでしょうか。
それでは、早速試合を振り返っていきましょう。

スタメン

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チェルシーは毎度お馴染みの3-4-3のシステム。注目点はやっぱりサウール。移籍期限ギリギリで加入したこのスペイン代表ボランチがどのような働きができるのかを見ていきたいです。また、個人的には戦力豊富なチェルシーに唯一いない左利きのCBでのプレーの可能性もあるのではないかと期待しています。対するヴィラは5-3-2のシステムを選択。第1節から第3節まではいずれも4バックであったことを考慮するとチェルシーに対する対策であったと思われるます。そして、結果としてこれは功を奏していました。

フロントエリアの攻略

この試合の前半戦、チェルシーはアストンヴィラが準備してきたブロックディフェンスにかなり苦戦を強いられた。では、アストンヴィラはどのようなディフェンスをしてきたのか、、、。キーワードは「フロントエリア」である。この言葉がどういう概念か。説明するにあたってまずはチェルシーがビルドアップする上でどのようなことをまず意識しているのかどうかについて解説していきたい。
◆チェルシーのビルドアップの狙い
ここら辺のことについてはトゥヘルチェルシーを見ていて学べたことが多かったので今度時間があるときにきちんとまとめたいと思っているが今回は手早く説明する。

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上図にチェルシーがビルドアップする上での狙っているスペースについてまとめた。(分かりやすくするために相手は442で図示する)とても基本的なことではあるがサッカーのビルドアップには優先順位がある。それは①裏②ライン間③サイドの深い位置である。ここのスペースを取ることが重要になる。ここでのスペースを取るとはすなわち前を向いてボールを足元で持つことである。

ビルドアップは通常最も後ろにいるキーパーorディフェンスラインからスタートするのだが、この時点からいきなり先程言及した3つのスペースを狙うことは難しい。なぜならそれは距離が遠すぎるからである。距離が遠いために3つのスペースにボールを供給できたとしても潰されるもしくは前を向くのが難しくなってしまうのである。さらに、FWの選手がボールホルダーにプレッシャーをかけることができるのでブロックを作る選手に余裕が生まれ、マークを見失いづらくなったり間に顔を出す選手へのパスコースを切りやすくなったりする。

◆フロントエリアとは
ここで、重要になってくるのがフロントエリアと呼ばれるブロックの前、プレス隊の後ろのスペースである。このスペースを取ることによってブロックに近づいた位置からボール供給できるようになる。また、ボールへのアプローチをかけるのが2列目の選手になるのでその分ライン間にいる選手が間に顔を出しやすくなる。

そのため、裏へのパスは通しやすくなり、ライン間へのパスも通しやすくなるので相手ブロックをより収縮させやすくなる。結果として外の選手に時間を与えやすくなる。

そして、ここで重要なのがフロントエリアを取るのは必ずしもボランチでなくてもいいということである。ここら辺の細かい話は後日まとめようと思うのだが、チェルシーはボールをサイドに振って相手のボランチを片方のサイドに集めてから逆サイドにボールを振り、逆サイドのセンターバックがそのまま持ち上がってフロントエリアを取るというパターンも見せる。このプレーを多く見せるのが左HVのリュディガーである。またコバチッチは自ら下りてボールを引き取ったところからドリブルでフロントエリアに侵入というプレーを見せる。

少し長くなってしまったが要するにビルドアップの第一目標はフロントエリアの攻略であるということである。そして、この試合、チェルシーとアストンヴィラの両指揮官はこのエリアを取り合う攻防を繰り広げていた。

アストンヴィラの守備

前述したようにチェルシーとアストンヴィラはフロントエリアの奪い合いをしていたのだが、この試合の前半戦はアストンヴィラに軍配が上がった。では、アストンヴィラはどのようにチェルシーがフロントエリアに侵入するのを阻んだのだろうか。

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上図にアストンヴィラの選手の役割をまとめた。

アストンヴィラはチェルシーの攻撃陣5枚に対して5バック+ACで対応をした。そして、ACルイス中盤のスペースを管理して縦パスが入ったところにプレスバックをかけてチェルシーの攻撃陣をパックするタスクに専念していた。特にトゥアンゼベと2人でルカクを挟んでボールを奪い返したのは印象的だった。さらに2CHには2CHをマーンツーマンで当てて対応した。

そして、ここからが特徴的だった。チェルシーの3バックに対して2トップで対応するのだが、この際真ん中のチアゴシウバはフリーで放置してサイドのHVに2トップでマンマークをつけた。一見すると、チアゴシウバがフリーな位置から配給ができるため優位に試合を進めることができそうに見えるがそうはいかなかった。


◆チアゴシウバがフロントエリアに侵入できない理由
ここで先程の話を思い出して欲しい。チェルシーのビルドアップの第一目標はフロントエリアの攻略であるという点についてだ。この状態からチェルシーがフロントエリアを取るにはチアゴシウバがボールを運べば良いのだがここで一つ問題が起きる。チアゴシウバがこのまま高い位置へと進出するとポッカリと真ん中に大きなスペースができてしまうのである。もし、チアゴシウバが高い位置をとったところから縦パスを入れて引っかかってしまうとこのスペースは高い位置に控える2トップの格好の餌食となってしまうのである。

さらに、この2トップが両脇のHVをマンマークしているためサイドに揺さぶったりところからHVが高い位置を取るというやり方もできない。

要するにこういうことだ。アストンヴィラはチェルシーの両HVに2トップをマンマークさせることによってチェルシーがサイドに揺さぶることも許さず、チアゴシウバがフロントエリアへ進出することも阻んだのである。

フロントエリアに侵入できないチアゴシウバは低い位置からのビルドアップとなってしまいさらにはサイドは揺さぶることもままならない。途中でコバチッチが立ち位置を変えたりなどの工夫も見られたが上手くいかなかった。結果としてチェルシーは裏、ライン間、サイドの深い位置で優位を作れなかった。

さらには新加入サウールの絶不調もあり、前半戦はアストンヴィラが優位に試合を進めることとなった。

トゥヘルの修正策

後半戦、トゥヘルの修正策によってチェルシーは勢いを吹き返した。では、どのように勢いを取り戻したのだろうか、、、。鍵は当然、フロントエリアの攻略である。

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上図に後半のトゥヘルチェルシーの戦い方をまとめた。

後半、頭からトゥヘルはサウールに変えてジョルジーニョを投入。さらにシステムを3142に変更。アンカーにジョルジーニョを据えることによって文字通りフロントエリアに選手を配置したのである。さらに2トップにすることでアストンヴィラの3バックをピン留めした。

こうすることによってチェルシーはアストンヴィラのLIHマックギンに対してシェシュ、ジョルジーニョの2人で数的優位を作り出し判断の迷いを生み、フロントエリアの奪回に成功する。

フロントエリア奪回による副作用はまだあった。中盤にボールが入りやすくなったことで、アストンヴィラの2トップが中に絞ることを意識せざるを得なくなったのである。これにより、チェルシーのHVはマンマークから解放され、チアゴシウバも高い位置へと進出しやすくなった。

まとめるとこうなる。

ジョルジーニョを投入、システムを3142にしたことによりフロントエリアを奪い返すことに成功。また、結果としてヴィラの2トップは中に絞らざるを得なくなりチェルシーの3バックはビルドアップに関与しやすくなった。


この試合、アストンヴィラが準備してきた守備はとても理にかなっていました。コバチッチ、ルカク、メンディのスーパープレーが出なければどちらに転んでもおかしくないようなゲーム内容だったと思います。そして、ヴィラの戦術に対応したトゥヘルの修正策も素晴らしくレベルの高い戦術合戦が見れて個人的には大満足の試合でした。

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試合結果

チェルシー×アストンヴィラ 
プレミアリーグ 第4節 2021.9.12
3-0
得点者 ルカク2 コバチッチ

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