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「アー・ユー・ハッピー?」(矢沢永吉)

前回に続けて、永ちゃんこと矢沢永吉さんの本の紹介です。

「アー・ユー・ハッピー?」は、いわば「成りあがり」の続編なんですよ。続編なんだけど、前作から20年以上も経ってるので、永ちゃんも角が取れちゃってるんですね~

なので、よく言えば「大人になった」し、悪くいえば「トーンダウン」しちゃってる。つまり、勢いがなくなってるんですね。

じゃあ、「読む価値がないか?」と問われれば、「そうでもない」と答えるでしょう。「成りあがり」ほどのインパクトはないけれども、別の意味で読む価値はあるかな、と。


具体的に言うと…
主に「お金の話」ですね。「お金は怖い!」「お金は魔物!」だからこそ、「お金に価値を置き過ぎてはいけないし、頼り過ぎてもいけない」

永ちゃんは「成りあがり」を書いた時、28歳だったんですよ。
その後、散々いろんな人に騙されて、お金いっぱい盗られちゃうんです。マネージャーに何億も売り上げをごまかされたり、オーストラリアの物件を購入した時には34億も騙し取られたり。

でも、永ちゃんはめげない!人を信じ続ける!いや、ある意味で疑いつつも、心の底では信じ続ける!

で、ありとあらゆる手段を講じて、騙し取られてできた借金を返していくわけです。それは、同時に永ちゃんの成長にもつながっていきます。


芸術の世界に「ピカソ」っていますよね?

ピカソは、常に自分を成長させ続けた人。進化し続けた人なんです。そのために、既存の「自分の枠」を破壊していくんです。

永ちゃんがやったのも、それと同じ!世間が持っている「矢沢永吉」というイメージをどんどん破壊していくんですね。

たとえば、BOSS(缶コーヒー)のCMの依頼が来た時、周りの人たちから「イメージと違うから断った方がいい」と助言されたんです。けど、永ちゃんは断らない。「お!おもしろそうじゃねーか」と言って受けちゃう。

あるいは「『アリよさらば』っていうドラマに出演してくれ!」と頼まれた時も、断らない。
これ、さえない学校の先生の役だったんですけど。「いいじゃない。これまでの矢沢永吉のイメージ壊していこうよ」と受けちゃうんですね。
これが「ヤクザの役だったら、イメージ通りだから絶対に断ってた」って言ってましたw


そんな風にして、どんどん自分の殻を破壊していくんですよ。

すると、最初はファンも失望するわけです。「あ、永ちゃんも変わっちゃったな。オレらが望んでた永ちゃんは死んだんだ」と。

ところが、時が経つにつれ、「お?いいじゃん。この永ちゃんもおもしろいじゃん!」に変わっていくんですね。ファンの心理も。


この前、ヘイヨーさんがオススメした「少女革命ウテナ」っていうアニメに、こんなセリフが出てきます。

「卵の殻を破れねば、ヒナ鳥は生まれずに死んでいく」

永ちゃんがやったのも、まさにこれと同じですよ!

考えてみればわかることなんですけど。人間誰しも、20代のガキのままじゃいられないんです。30代には30代の、50代には50代の魅力がある。
心のどこかで20代のままでもいいんだけど、根本的にはそれじゃダメ!人は年相応の成長を遂げなきゃいけない!そうしないと、消えてっちゃうんです。芸能界からも、この世界そのものからも。

そういう意味で、永ちゃんは常に人々の先を行って、成長し続けられた人だったんですね~


ま、そういうコトがこの本には書いてあります。

「成りあがり」ほどのパワーにあふれた本ではないのだけど、「あ~、永ちゃんって、こういう進化を遂げたか!」って確認するためだけでも、目を通しておく価値はあるのではないかと。

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