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熱砂

連立方程式を教わった日の記憶
あなたの右手が指を立てながら
さまざまな数字と記号を宙に描いて
私がそれを箸で摘んで食べていく
片っ端から順々順々にやがて
お腹が膨れないことに気がつくと
栄養素の表示が気になり出したので
裏側グルッと回って確かめる
未来への近道みたいな光のロードに
吸い込まれていき亜空間
夜なべしてできたノートたちから
私のレシピを事細かに教わるけど
暗くなるとオートスリープ機能な私は
半目でそれらを聞いていた
目覚めると手術台に寝かされてて
大人たちが凄くビックリしていた
どうやら切れてはいけない麻酔が切れ
開腹されたまま起き上がる私は
ナチュラルに零れそうな臓物たちを
手でグッと押し込んでいたからのようだ
退院した時にはもう受験は終わってて
もうスタート地点の後ろ側の日々が
どれだけ空虚かを思い知らされた

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