看護学生・看護師が勉強すべき理由

 看護学生・看護師が勉強すべき理由という題名にしたのは理由があります。そもそも看護職のみならず、医療職というものに関わっている人は常に勉強する必要があります。なぜなら、医療というものが日進月歩新しい医療が生まれてくる。それに対応するために勉強をしなければならないのです。そして、看護学生・看護師は勉強しているのです。

 この前僕が経験したことを話しましょう。アルバイトの時にお客さんとお話をしていた時のことです。

お客さん(以下客1)「大学生?」

自分「はいそうです!」

客1「どこ大学?」

自分「〇〇大学です」

客1「この辺多いよね、何学部なの?」

自分「かんご学部です」

客1「へー、何になるの?」

自分「看護師です」

客2「〇〇大学なのに看護師!?」

 こんな会話がありました。自分でもいうのはなんですが、それなりに難しい大学に通っているとは思っています。お客さんが「〇〇大学なのに看護師!?」と言われるのは、わからなくもないです。日本において多くの方は、看護師になるのに頭がいい必要はないと思っているのだと思います。もちろん全ての人がそうではありません。看護学生だと言ったらチップをくれる人までいたのですから。

 さてここでみなさんは看護師にはどうしたらなれるかご存知でしょうか。読者の中には看護に携わっている方もいると思います。しかし、看護に携わっていても全ては知らないかもしれません。看護師になるにはいくつかのルートがあります。

第1に、小中高と普通科などに通いを卒業後看護系大学に進学する。その後看護国家試験を受験して合格する。これは僕と同じルートです。第2に、小中高と普通科などに通いを卒業後看護専門学校に進学する。その後看護国家試験を受験して合格するルート。第3に、小中高と普通科などに通いを卒業後看護系短期大学に進学する。その後看護国家試験を受験して合格するルート。第4に、小中と勉強をした後に高校受験の際に、5年一貫性の看護専攻科のある高校に進学し、3年学ぶと准看護師の資格が取れます。その後さらに2年学び看護国家試験を受験し合格する。最後、第5のルートがあります。それは、中学卒業後に准看護師の養成学校に進学し、3年の実務経験を積みます。その後、2年間専門学校で学び看護国家試験を受験し合格する。以上5つのルートがあります。1番早く看護師になれるのは、第4のルートです。最速で20歳で看護師免許を取得することができます。次は、専門学校と短期大学、そして第5のルートです。1番遅いのは大学に進学することです。このように看護師になるには様々なルートがあります。意外と知らないのが、第5のルートではないでしょうか。僕もこれを知ったのは、大学4年の後期でした。

 ここで看護師の他に准看護師というものが出てきましたが、准看護師は看護師や医師の指示の元でないと看護行為が行えません。詳しくは、ご自身で調べてみてください。

 色々とつらつらと書いてきましたが、看護師になるにはいくつかのルートがあり、中には学歴は必要ないと思えるようなルートもありました。

 僕は実習や授業を通して様々な患者さんや対象者さん、教員、そして、看護師や医師、そのほかのコメディカルに出会いました。皆それぞれ様々なバックグラウンドを持って生活をしてきています。ここで僕が非常に言いたいことは

"皆様々なバックグラウンドを持って生活してきている"

ということなんです。

 つまり、それぞれのバックグラウンドを持ってきているということは価値観が違うということです。前回の記事で普通について書いたときも述べたと思うのですが、普通は人それぞれなんです。それは"皆様々なバックグラウンドを持って生活してきている" からなんです。

 だから何?という人も今の時点ではいるでしょう。看護というものは対象者を身体・心理・社会的な側面を全て踏まえて、その人を全人的に理解していかなけばなりません。ここで、知識が少なかったらその人を理解しきれないと僕は思っています。ここで言う知識というものは、医療や看護のことではありません。それは持ってて当たり前の事柄だからだし、それを持っていることで対象者の理解につながるわけではありません。ここで言う知識とは、経済学・社会学・化学・生物学・法学・国際学など医療や看護以外の知識のことを言います。これらを知っていないと対象者をしっかりと理解することは難しいと思います。

 ここで、先ほど述べた看護師になるルートについて、つなげて行きましょう。僕は看護師になるためには看護・医療のことだけではなく様々な知識を持っていることが必要だと述べました。僕は、先ほど述べたルートの大学進学以外のルートでは、この知識を持つことは不十分であると思います。高校までしっかりと5教科7科目を学び大学に進学して欲しいと思っています。中学生の時に、専攻科に行き看護を学びたいと思い進学した生徒を私は非常に尊敬する。中学生という若さながら看護というものに魅力を感じてくれたことは非常に誇らしい気持ちになる。高校まで進学しても何になりたいかわからない人も多くいる中で。しかし、中学生までで知れることなど高が知れている。この世界には他にも素晴らしい職業や生き方がある。それを知って欲しい。より多くのことを知って欲しいのだ。そして、短期大学や専門学校では、一般教養を学ぶ機会は大学に進学した学生と比べると圧倒的に少ない。それは、法律などで決まっているし、修業年限が短い時点で看護・医療以外の部分が少なくなるのは自明である。

 アメリカにInstitute of Medicineという機関があり、そこからFuture of Nursingというレポートが出された。そこには複数の目標が記されているのだが、その中にアメリカにおいて、大卒ナースを全体の8割にするという目標がある。他に、Aikenという研究者のレポートでは学士や修士の資格を持った看護師の人数と患者の死亡者数に有意差があるという報告すらある。そして、世界には大学教育のみという国もある。医療が高度化している現在看護師になるには大学行った方がいいのである。

 看護学生・看護師が学んだ方がいい理由というテーマで記事を書いてきたが、おわかりいただけただろうか。看護・医療について学ぶことは当たり前のことであるが、ほかの分野のことも知っておくことが必要である。そういうことが言いたかったのである。そして、そのためには、大学に行った方がいいよという話であった。

 現在、看護師・看護学生の皆さん、自分の知識についてもう一度考えてほしい。それで、対象者を理解できているのだろうか。もしかしたら、不十分なアセスメントをしてしまっていないだろうか。不十分なアセスメントでは、対象者に効果的な看護は行えていないだろう。もう一度内省してみて欲しい。

 これから看護の道に進もうと考えている皆さん。これを見て、大学に進学しようと思ってくれたら幸いである。

 全ての患者・対象者のケアの質の向上につながればこれほど嬉しいことはない。





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