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利他的なデザイン、利己的なアート。 【1夜目 第6話 (全7話)】

青山でデジタルプロダクションを営む5人の社長たちが、夜な夜なお酒を酌み交わしながらへべれけで語る馬鹿馬鹿しい笑い話や熱いクリエイティブ論をゆるっと公開中。ぜひ第1話からお読みください。

へべれけになった人
今村 玄紀(BEES/HONEY INC)今年青山に移転してきた最年少おじさん。
加藤 琢磨(SHIFTBRAIN Inc.)面白い制度追求が趣味の福利厚生おじさん。
定金 基(COPILOT Inc.)最近「Teal組織」にハマっている組織論おじさん。
田口 亮(FOURDIGIT Inc.)実は1番真面目キャラ?スピード飲酒おじさん。
村田 健(SONICJAM Inc.)社長業よりも前線が好きなプレイヤーおじさん。


今村:
何を目指すか、って話なんですけど。

田口:
うん。

今村:
この作品はあの人のデザインだなってパッと見てわかるように、デザインに様式がある人達っているじゃないですか。

定金:
可士和さんとか?

今村:
可士和さんもそうだと思います。そういう方々は、すべてではないですけど、その様式が求められて仕事の依頼が来ると思うんです。

田口:
お客さん側からしたら、“あれが欲しい”なんだよね。

今村:
はい。だから、広告の中でも芸術寄りにいるなって。

定金:
そうなのか。

今村:
デザインだけじゃなく、原研哉さんのプロジェクトも、設計からして原研哉さんだなってわかるじゃないですか。僕は、自分たちもそっち側に行きたいなって思うんですよ。

田口:
おお。

今村:
もっと言うと、僕らの仕事には"正しい"と"楽しい"があると思うんです。デザインとアートの違いの話にも近いんですけど。

田口:
ほう。

今村:
デザインって本来は利他的な行為じゃないですか。

加藤:
お客さんからの依頼が起点だからね。

今村:
そう。だから、お客さんの話を聞いて、求められてるものを最高品質でアウトプットするのが絶対的に"正しい"。

定金:
はい。

今村:
だけど、僕らの言う"尖る"って行為はアート性があるというか、確実に利己的だなと思ってて。プロジェクトのなかに自分の様式をしっかりと出せて、それが評価されて、指名で仕事を受けられるようになったらめちゃくちゃ強いし、それって"楽しい"なって。

加藤:
うん。

田口:
"楽しい"を目指したい?

今村:
そうですね。誰がつくったかわからない広告じゃなく、"あそこがやったんだな"って言われるようなものをつくりたいとは思います。

加藤:
んー。そうなのかー。

田口:
あ、加藤さんが全然腑に落ちてない(笑)

今村:
えっ、やばい、すみません!

加藤:
いや、やばくはないでしょ(笑)

田口:
でも納得はしてない?(笑)

加藤:
そんなことないですよ!(笑)というか、今村さんが言ってることはすごくよくわかります。ただ、今の2つで言うと、うちは正直、"正しい"を目指してるかなぁって。

田口:
うんうん。

加藤:
自分たちの作品だって想いは、もちろん全然ない訳じゃないんですよ。だけど、やっぱり、お客さんの期待を形にするってことが第一で。

今村:
はい。

加藤:
お客さんにとってのいい結果に繋がるものをつくれたなら、自分たちがつくったっていうこと自体は世に出てなくても全然良い
んじゃないかなぁと。

今村:
でも、シフトさんのつくったものは、シフトさんだなってわかります!

加藤:
それ言われちゃうと、ちょっと、有言実行できてないんじゃないかって話になっちゃうけど(笑)でも、うちの考え方的には"お客さんの望むものを最高品質で"の方ですよ。

田口:
うん。でもそこって、どっちかだけが正解ってことじゃないと思うし、”会社はこう”って言いきれないところありません?メンバーによっても、どっちが得意なのかも違ったりするじゃないですか。

今村:
あ、でも、そこは本当にそうだと思います。僕は、会社としては”楽しい”側に行きたいって言いましたけど、自律的で利己的だと、ただの自己満になってしまうというか、お客さんのニーズとマッチしないじゃないですか。だから、コンテクストを理解してしっかりとアウトプットが出せるメンバーの視点に助けられてる部分も大きくて。

加藤:
うん。

今村:
ピュアなアートがやりたいって意味じゃなく、”正しい”から”楽しい”に寄っていく一線みたいなものを超えたいって感覚かもしれません。

田口:
つまり?

今村:
”正しい”だけだと、どうしても他人任せで「上がこうだから」とか「もうこれは決まっていることだから」みたいな前提条件が先に来てしまうので、どうしても他律的になってしまう部分があると思っていて、本当にお客さんのためになっているかという、本質的、抜本的に考え”自律的”にプロジェクトに挑むためには、献身的な”利他的”なマインドだけではなく、ある程度”利己的”な要素が必要なのかなと。うちではそれを自分事化するって意味で”楽しい”っていうワードを使ってます。

加藤:
なるほどね。

定金:
今の話全部、絵に描いて欲しい。難しくてわかんなくなってきた(笑)

田口:
わがまま言わないで頑張ってくださいよ(笑)

今村:
(笑)


第7話につづく…!

話を聞いた人
aya.h(Facebook)インターネットとお酒がすきな"非"ライター。
絵を描いた人
kazuho(note)すぐ乗り物酔いしちゃうイラスト担当(文章も書いてます)
乾杯したお店
Le chêne(Facebook)今年1月に南青山オープンしたフレンチバル。

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