見出し画像

#DX コロナ禍で何が変革したのか:1. 働き方はどう変革したのか:ニューノーマル

COVID-19の猛威が本格化して1年以上が経過
社会のデジタル化が急速に進み、DXの潮流が加速するなか、
「どう変革できたのか」
は企業にとっても、一個人レベルにおいても、振り返るべき重要なキーワードでしょう

・実態として何が大きく変革したのか
・この1年での変革とは何だったのか

にフォーカスを当て、
まずは以下4つのテーマにおいて考察してみたいと思います

1. 働き方はどう変革したのか:ニューノーマル
2. コミュニケーションとファシリテーション
3. レジリエンスと意思決定能力
4. DXをどう進めるか

日々精進しながらアウトプットしていくので、
考察が未熟な部分もあるかと思いますが、
少しでもお読みいただいた方への一助になれば幸いです。

1. 働き方はどう変革したのか:ニューノーマル

働き方という文脈において、最も分かりやすい変化といえばリモートワークへの移行でしょう
“働く場所”という大きな環境変化は、最も分かりやすく影響を及ぼした事象ではないでしょうか?
今尚、世界的にもリモートワークの導入は進んでおり、またその適応範囲も広がっています

では、働き方における”変革”とは何か

それは、”アウトプットの質”であると考えます

これまでのデジタル化浸透の遅れが仇となり、
在宅勤務や外出制限など、その環境変化から、半ば”強いられる”ようなかたちでデジタルツールの活用が広がっていったため、リモートワークは一見、大きな変革のような印象を受けるものの、
これらは結局、手段の変化で”慣れ”の問題であり、変革ではありません

メールやチャットツールでのコミュニケーション量の増加や、ZoomやGoogle meetsでの会議・リモート飲み、
私生活においても、Uberによる食事の出前や、ECサイトでの買い物など、
これらは全て、
今まで行ってきた活動をデジタルツールで実行しているだけのことであり、
その機能的側面という意味においては代替しただけにすぎません

そもそも、コロナ禍になるより何年も前から、LINEなどのSNSやメッセンジャーを使って家族や友人と会話をしていたのですから、
リモートになった途端にデジタルツールでコミュニケーションを取ることが難しいというのは、
本質的にはよくわからない理屈です

しかし一方で、環境やツールの変化によって、
コミュニケーションにおける”伝え方”は、
これまでと同じでは上手くいかないと考えます

これがつまり”アウトプットの質”であり変革の軸足です

これはすでに釈迦に説法レベルの話ですが、
正直残念ながらまだ、”アウトプットの質”が変革したことを、言葉としては理解しても、本当の意味での理解をしていない人が多いのも事実であると感じます

まず、本題に入る前に、
現時点(執筆時点)における働き方の実態がどうなっているのかを明らかにしてみたいと思います

⑴世の中の働き方事情

世界の働き方

最新のデータはまだ見当たらないのが現状ですが、厚生労働省の海外のテレワークの導入状況|テレワーク総合ポータルサイトでは、2018年時点の調査で、アメリカはすでに85%もリモートワークが導入されていたようです。

元々国土が広く、出勤距離も長いことが多いアメリカならではの背景だと考えますが、コロナになってからのリモートワーク普及は非常に早かったと記憶しています。

既に様々な有名企業が、
コロナ禍における緊急対策としてではなく、今後もリモートワークを継続する制度を導入したことがニュースにもなっていました。

ドイツでは、2020年3月中旬以降、コロナの感染防止対策の一環として、リモートワークが普及し、ドイツ国内の全労働者の25%(推定800万人)が在宅勤務に従事しているそうです。
引用:労働者の「在宅勤務権」構想 ―新型コロナウイルスを契機に|独立行政法人 労働政策研究・研修機構

日本のリモートワーク事情

日本では、様々な企業が調査を実施しており、正確なデータ取得が困難ですが、以下の記事に上手くまとめられており、この記事によると、
リモートワーク普及率は、

・1月〜4月6日 コロナ拡大期 普及率:25%
・4月7日〜5月24日 緊急事態宣言下 普及率:50%(宣言が全国拡大された後70%)
・5月25日〜 宣言解除後 普及率:31%(宣言解除直後は50%)
引用:<2021年版>テレワークの普及率や推移を大調査!海外や都道府県別

だそうです。

その他、現在国も推進を注力をしているペーパーレスやハンコの廃止など、電子化が急速に加速していますが、
製造業や輸送業など、現段階での技術では、現場作業が必要になる業種を除いたとしても、
普及率の低さを感じます

⑵リモートワークで浮き彫りになったアウトプットの質

まずアウトプットを定義したいと思います

アウトプットとは、元々「出力」という意味で、特にコンピューターにおいて画面に表示したり、印刷をしたりする用語として使われていましたが、
昨今ではビジネスにおいては、「成果」という意味合いで使われることが多くなりましたね

仕事における「成果」というと、
売上利益・契約数など、業績に直接的にインパクトする結果そのものを指すイメージが強くなりますが、
ここでは、
上記に貢献するためのプロセスも含めた包括的なものであり、唯一の条件は”他人がその存在を認められること”
つまり、
自分の頭の中で考えているだけのものは勿論対象外で、基本的には言語・資料・モノなどを通じて表現され、他人が五感で確かめることができるものであり、かつ、宙に浮いたただの言葉ではなく、多少でも議論が可能な対象
と定義したいと思います
(ややこしい表現ですみません)

顧客への提案資料や会議のアジェンダも、ただ既存のものの流用でなく、
自分が意思を持って作成・加工・設計したものならばアウトプットだし、
「休みの日はどこへいくの?」などの、いわゆる雑談も、自身が意図を持って仕掛けたのなら、それもアウトプットと言えると考えます

そして、
この意思や意図がアウトプットには重要であり、これがアウトプットの質につながると考えています

では、アウトプットの質がどう浮き彫りになったか、
様々な記事や人からのヒアリングなど、私がこれまでに取得してきた情報の中から、いくつか分かりやすい事例を見てみたいと思います
(かなり主観が入る点はご容赦ください)

メンバーに対するマネジメントのアウトプット

リモートワークで感じているデメリットなどの調査では、

・部下が働いている姿が見えないので、サボっているのではないかと不安
・物理的に近くにいないので、すぐに声をかけれず仕事の進捗を把握しずらい

なんてことが上位に入っているのを見ることがあります。

・部下が働いている姿が見えないので、サボっているのではないかと不安

そもそも、今まで何をみていたのでしょうか?
・真剣な顔をして、ずっと作業に通り組んでいるから頑張っている?
・夜遅くまで頑張って仕事をしている?
・朝早い時間から外回りに出て、遅い時間に会社に戻ってくる?

そもそも、頑張るという言葉が抽象的ですが、
真剣な顔で作業をしているように見えても、週末の予定を必死に考えていただけかもしれませんし、残業代が欲しくて無駄な作業をしているだけかもしれませんし、日帰り旅行に行って帰ってきただけかもしれません。

例え、「ちゃんと報告を貰っている!」としても、
そもそも、そのメンバーに四六時中張り付いていた訳ではないでしょうし、報告が適当な作り話かもしれません。

・物理的に近くにいないので、すぐに声をかけれず仕事の進捗を把握しずらい

チャットツールを活用すれば、テンポよく会話をすることは可能ですし、グループチャネルを使ってコミュニケーションを取れば、参加している他のメンバーにも即座に内容が共有されるので非常に効率的です。
また言語化しなければならないので、考えるきっかけになることで情報が整理されますし、その内容でメンバーの能力理解も出来ます。
また、言った言わないの議論になりません。

リモート環境でも、メンバーが気軽に相談したりコミュニケーションを撮りやすいように、一定の決められた時間は全員でZoomなどのツールに参加してもらう様にする、などの工夫は必要ですが、あくまでメンバーをモチベートすることが目的で、
マネジメント側が進捗を把握したいという一方的な理由で出社させるなどの行為は、もはやパワハラです。

また、本当にすぐ必要な情報なのかも怪しいですね。
上司部下などの上下関係ではなく、まず人として対等に、相手の時間を割いてもらうことに対しての感謝の態度が必要だと感じます。
(余談ですが、上記の様な理由で、個人的には急に電話をかけてくる方も好きではありません。。。)

こういう方は、つまりはそもそもマネジメントをしていないケースが多いため、リモートになった瞬間に、どうしていか分からず困惑し、メンバーからの不満の声が大きくなるなど、マネジメント力のなさが浮き彫りになったのではないでしょうか?

商談でのアウトプット

空気を読むことや熱量を伝えることが難しく、契約が取りづらくなった
これも本当でしょうか?

確かにオンラインでの商談は、オフラインの時と比べて空気を読みながら進める、ということは難しくなっていると感じます

ただし、逆に考えれば、
今まで契約が取れていた理由が、
実はその場の流れを上手く利用して気合と根性で獲得していただけである可能性があり、
そもそも本当に顧客が欲しいものではなかった可能性を、まず疑うべきです

確かに、相手に話をわかりやすくする論理的思考力や、ファシリテーション能力など、必要になった要素が増えましたが、
オフラインでも営業力があり着実に実績を出していた方にとっては、オンライン商談になったことにより、移動時間がなくなることで捻出された時間を活用して、1日あたり商談数を増加させれますから、成績は上がっているはずですし、
オンライン商談を利用することで、以前よりも売上をあげた事例も出ています。

会議でのアウトプット

もし今まで会議でのゴール設計やアジェンダ設計をしておらず、その延長線上でオンライン会議に切り替えただけの場合、
とんでもなく無駄な時間に感じる様になった人は多いのではないでしょうか?

ダラダラと話すだけで結局何も決まらない会議

これまでは習慣的に実施していただけで、
そもそも、その会議は不要な会議だったということになります

会議を実施する目的やアジェンダ設計は、価値ある議論をするためには、例えオフラインであろうが非常に重要で、
会議を設定している、または仕切っている人の目的設計能力・アジェンダ設計能力が乏しいと、オンラインになることで露呈します

ただし、オンライン会議では、ブレストは難易度が高く、実施するには参加者のITリテラシーがかなり必要ですので、これから身につけるべきスキルになると考えます。

⑶ジョブ型雇用

少し話が脱線しますが、
このようにしてアウトプットの質が問われるようになったことと、働き方の変化に伴って、ジョブ型雇用というこれまでとは違った雇用体系への注目が集まった、
というのが全体的な流れだと考えます

しかしながら、メンバーシップ型かジョブ型かという議論は理論破綻しているように思えます。
ネットで調べると、メンバーシップ型とジョブ型を比較した記事がいくつか出てきますが、
正直どれも論点が的を得ないと感じます。

メンバーシップ型は、「日本型雇用」とも呼ばれ、年功序列や終身雇用・新卒一括採用や総合的キャリアパスなどの、いわゆる日本の古き良き家族的な雇用スタイルを指し、
ジョブ型は職務内容を明確にして、時間ではなく成果で評価する欧米型スタイルを指すことが一般的ですが、
雇用の話と評価の話が混同しているということ(この2つは隣接しますが、対比としてはMECEではない)、
現行の日本の労働基準法を鑑みた際に、解雇制度や労働時間における制度設計との整合性が取れていないこと、
という2つの違和感があります

そのため、この議論は、「雇用」ではなく、
現行の労働基準法というある種の制約を前提としたうえで、「人事評価制度をどう設計すべきか?」に着地するのが適切ではないでしょうか?

そして結局のところ、
「生産性の向上」というテーマに収斂していくしかありません

つまり、この流れから、
企業単位で考えた際には、事業投資ポートフォリオのデジタル比率を上げることによって、
作業の効率化をはかり生産性を高める、というデジタル化の潮流は、
今後も必然を超えて、もはや自然現象レベルで加速していきますので、今より短い時間で同等の成果をあげることは、次第に達成されていくでしょう

一方で労働者という視点では、より短い時間で同等の成果をあげるためには、スキルの継続的向上が欠かせません

ただ単純に、これまでやっていた業務をITで代替えするだけでは、個人のパフォーマンスにおいて何もインパクトはなく、デジタルへの置き換えによって単純に人の労働時間が減るだけですから、
それでは、労働時間と成果という両方向の側面において、生産性の向上という評価が難しいので、コストカットというメリットだけが強調され、賃金はむしろ下げざるを得ず、
また個人としての生産性が向上することはありません

これが「AIによって仕事を失う」というような、デジタルに対する心理的恐怖の背景ではないかと考えます(メディアの恣意的な煽りの影響も十分にありますが)

時代や環境が大きく変化し、デジタルの潮流は間違いなく加速する状況下において、
「デジタルに仕事が取られるのは困る」「以前のような働き方が良い」というような発想は、完全な思考停止で、
「デジタルによって捻出された時間を、新たな成長機会に投資できる!」という、前向きなマインドセットが大前提として、必要です

⑷アウトプットの質を上げるには

「質」という概念は、非常に抽象度が高く、様々なものを包含しますので、
・思考力
・知識量
・経験値
などその他様々なスキル等によって構成されるかと思います。

その中でも、現代の働き方の変化にフォーカスした場合においては、
アウトプットの質を上げるための、ベースとして重要な能力は、
「コミュニケーションとファシリテーション」
であると考えます。

ですので、次回は
「コミュニケーションとファシリテーション」

に関して論じたいと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?