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春の香りと春の味、春の身体

暦が春になった頃の、八百屋さんを覗くのが好きです。体が縮こまるような冬の寒さがそろそろ終りを迎える頃、雪の下でこっそりと芽吹くふきのとうから始まって、タラの芽やうるい、こごみなどが並ぶと、ああ、春がきたなあとウキウキした気分になります。

Twitterでとても美味しそうなレシピを見つけてブックマークし、ずっと食べてみたかった料理がありました。それは「菜の花と干し貝柱の鍋」。前日の夜に干し貝柱をたっぷりの水に漬けて戻し、その漬け汁ごと干し貝柱を鍋で煮て、そこに菜の花を入れて食べるというシンプルなものです。

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初めて作ったときに、干し貝柱の旨みだけでは味が足りないなと思ったり、締めは自分だったらこうするな、と思ったりしたので、自分のアレンジを加えたものをクックパッドにアップしました。

https://cookpad.com/recipe/6639712

変更点は、日本酒をたっぷりと使うこと。戻し汁だけのときより、ふっくらとした味わいになります。締めは稲庭うどんなのだけれど、菜の花を少し残しておいて、それを卵とじにしていただきます。

実はこの料理をツイートしていたアカウントの方が、私がレシピを起こしてアップしたことを不満に思ったようで、その後ブロックされてしまったんです。気持ちはとても良くわかるので、気分を害したのは申し訳なかったと思いつつも、美味しい料理はプロ・アマの域を超えて、常に模倣されるものだと個人的には思っていたりします。なので、元のレシピを広めてくださった、そのツイート主の方には、尊敬と感謝の念を持っているのですが、それをお伝えする機会が失われたのはちょっと悲しいなと思う次第です。

ちょっと脱線しました。話をもとに戻しましょう。この料理、本当に菜の花をこれでもかというくらい食べられます。ひとりで2束いけますね。山菜って、量をたくさん食べるイメージがなかったので、こんなに量が食べられるというのは、ちょっとした発見でもありました。干し貝柱はたっぷりと入れたほうが、当然だしが出て美味しいのですが、なにぶん高価なので、割安に買える割れたものなどで十分だと思います。どちらにしても鍋の中でほぐしてしまいますからね。

https://amzn.to/2NpGmjU

春の山菜は、エグみとか苦味があるものが割と多いと思うのですが、これは植物の持つアクが原因だったりします。たけのこなどがそうであるように、丹念にアク抜きをして食べるわけですが、この、ほんの少しの毒を春に摂取することで、体に春のスイッチが入る、ということを、昔働いていたイタリアンレストランのシェフから聞いたことがあります。真偽の程はわかりませんが、春の植物が芽吹くときのエネルギーを取り入れて、ゆっくりと体を伸ばせば、しなやかに過ごせるような気がします。

この鍋、お酒を合わせるなら日本酒がいいなと思います。日本酒もたっぷり使うことですし、一升瓶のお酒を買って、贅沢に鍋に使っても良いと思います。春先なら、搾りたての新酒が出揃っているので、そんなお酒を合わせると、幸せな気分になれます。

https://amzn.to/3skIiZy


春の香りや味を存分に楽しめる料理はたくさんあります。でも、まだ肌寒い2月の終わりには、まだまだ鍋料理が恋しかったりしますね。暖かくして、本格的な春に備えましょう。



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