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【Mini子の婚活しくじりストーリー】小脇に抱えて嫁に来た女 篇

はじめまして。Mini子と申します。

時々stand.fmで【Mini子の婚活しくじりストーリー】というシリーズを音声で配信しています。(最新話↓)

https://stand.fm/episodes/6645d52b669ad41107bb2cc7

今回のエピソードは画像付きでご紹介したく、初めてのnoteを書いてみます。

普段は私自身の”しくじり”について話していますが、今回は今月末に迫った父の散骨に合わせて私の両親のお話。

よろしければお付き合いください。

昨年亡くなった私の父は、巷で「センス」と呼ばれるものを全く持ち合わせていない人だった。

姉が5年生の頃に買い与えたスキー板はファンキーな悪魔柄だったし(もちろんお下がりで私も妹も使った)、

シンガポール出張に行ったときのお土産はガラスに閉じ込められたマーライオンだった。

父は美術館や博物館が大好きで、旅行に行くと必ずこうした父の趣味に付き合う時間があったほどだったのに、彼のスキがセンスにつながることはなかった。

多少ダサくて短気で酒飲みではあったが、物知りで人たらしの楽しいおじさんとして逝った大好きな父は私の誇りだ。


さて。20年近く前、実家で母と姉と3人で飲んでいたところ、姉が母にこう聞いた。

「お父さんてセンス皆無じゃん?

付き合ってた頃のプレゼントとかって何もらってたの?」

母は遠い目をしながら鼻をフンとならしてこう言った。


「一回、ひでぇもんもらったな」
(方言キツめですみません)


姉と私は一気に前のめりになった。

なになになになに?!

「ウイスキーボトル人形」


「ウ、ウイスキーボトル人形?!」


母によると、その昔ウイスキーの瓶で作る人形というのが主婦たちの趣味のクラフトとして大流行りしたのだそうだ。

そして、父は職場でそのウィスキーボトル人形作りを趣味にしていた同僚のおばさんに頼んで、

あろうことか母(=当時の彼女)へのプレゼントとしてそのウイスキーボトル人形を作ってもらったというのだ。


「ゲッ!」


そのプレゼントを受け取った若い頃の母は(心の中で)こう叫んだ。

ここまで聞いただけで、私なら絶対別れると思ったが、母は続けてこう言った。


「それでね。お母さんが受け取ったのは女の子の人形だったんだけど、お父さんが

『この人形は実はカップルで、俺の家に男の子の人形が置いてあるから

もし結婚したらその人形たちも一緒になれるね』

って言ったんさ」



ひぃーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!!



ホラー!ホラー!

別れる別れる別れる!!


「な、なんでそのまま結婚したの?!

その人形はどうしたん?」

笑死しそうになりながら、姉と私は湧き出る疑問を母にぶつけた。


「しょうがねぇっけ、小脇に抱えて嫁に来たこてさ」(しょうがないので、小脇に抱えてお嫁に来たわよ)



はい、笑死。


その人形は今どこにあるのかという私たちの質問に、母はどっかにいっt…と言いかけたが、

「なんでそんなおもしろいものを取っておかないんだ?!」

という姉と私のハーモニーに飲み込まれた。


その後、物置の大捜索が行われたが、その人形カップルが出てくることはなかった。

「どうしてもウイスキーボトル人形を一目見たい…!」

そう願った。

私たちはインターネットで検索を行ったが、20年ほど前にはその画像を見つけることはできなかった。

諦めきれなかった私は、その後も時々「ウイスキーボトル人形」と検索窓に打ち込んでは、空の検索結果画面に落胆していた。


そして時は経ち、数年後。

ある日現れた1枚の画像。


その神々しい姿がこれだ。





画像お借りしております




若かりし日、これを小脇に抱えて嫁に来た母の覚悟に心から感謝したい。


私の婚活しくじりは遺伝か。はたまたこの人形の呪いなのか。

天国で父に会えたら、一緒に神様に聞いてみたい。


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