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競争力を高める採用ブランディング戦略とは

昨年に端を発する新型コロナウィルスの感染拡大は、企業の採用活動にも影響を与えました。

特に大きい変化は全ての施策が「オンライン中心」になったことでしょう。

これにより、
「採用施策がオンライン中心になることで、候補者との接点が減ってしまった」
「候補者と接点を持てたものの、効果的に惹きつけ(アトラクト)ができない」

など、様々な課題が生まれました。

HeaRでは累計約100社以上の採用戦略の策定をし、そのノウハウを『シゴトレ』のカリキュラムにまとめました。この記事ではカリキュラムのエッセンスを抜粋し、紹介していきます。

上記のようなお悩みを抱えている採用担当者の方は、ぜひ参考にしてください。

本記事では具体的に、

- 採用ブランディングとは何か
- 自社のブランドを言語化し、整理する方法

など重要なポイントをご紹介していきます。

〜採用ブランディングとは〜

採用ブランディングとは『求職者の知覚の中で、自社に対する狙った意味や約束を創り出す活動』のこと。
噛み砕くと、数多くいる求職者に対して「この会社が好き」「ぜひ入社したい」と思ってもらうために、企業の理念やビジョン、入社するメリットなどを的確に・適切に伝えていく活動です。

2010年以降は有効求人倍率が上昇を続けており、優秀な人材の採用が難しくなっています。昨年はコロナウィルス感染拡大の影響で倍率は低下したものの、「オンライン上で企業の魅力付けをしなければならない」という新たな課題も生まれました。求職者の関心を惹くために、いかに自社をブランディングできるかが、今後欠かせない要素となっていくでしょう。

採用ブランディングを行っていくことのメリットとして「マッチ度が高い候補者を集められる」「競合との差別化ができる」などが挙げられますが、詳しくはこちらの記事も参考にしてみてください。

上記にて採用ブランディングを「自社の情報を的確に・適切に伝えていく活動」と定義しましたが、「活動のゴールは”採用”ではないのか?」と、勘の鋭い方は疑問に思われるかもしれません。

ここからは、よく混同されがちな「ブランディング」と「マーケティング」の違いについてご紹介します。

採用ブランディングと採用マーケティングの違い

「ブランディング」と「マーケティング」の違いは、図で表現するとわかりやすいです。

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まず大きな括りとして「広義の採用マーケティング」があります。これは「キャリア課題の発見と解決に至る一連のプロセス」を意味しています。つまり、求職者が解決したいキャリア課題に対して、企業に属することでソリューションの場を提供していくプロセスです。

このプロセスを成す要素として「採用ブランディング」と「(狭義の)採用マーケティング」があります。

・まず求職者に対するブランディングを通じて「自分のキャリアはこの企業で実現できるかも(課題を解決できるかも)」という認知と関心を獲得する
・そこにマーケティング活動(企業とのコミュニケーション)を通じて、応募に促していく

この二つの要素が重なる範囲が大きくなるほど、求職者と企業のマッチングが高まっていくことを意味します。そしてこの「求職者の知覚」をどれだけ獲得できるかが、採用における「競争」です。ブランドとは、その競争を有利に進め、効率的に利益を生むための戦略ツールであると言えます。

ブランド力の方程式

では、採用競争を左右する「ブランドの力」とはなんなのか。ここで簡易的な方程式を用いて説明します。(引用:ブランド・アーキタイプ戦略)

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魅力的な体験を提供する、提供する量や時間を最適化する。ここを意識されてる企業は多いと思います。CMを例に取ると、コンテンツの魅力はもちろんのこと、視聴者の目に留まる頻度によって、認知度は変動します。

しかし、多くの企業は「体験の一貫性」を見落としがちです。

一貫性には、「候補者接点の一貫性」「時系列の一貫性」という2つの軸が存在します。

候補者接点の一貫性」は、商品・サービス、広告、接客などすべての接点が関係します。候補者から見て、すべての接点で同じ印象を形成させるように努めましょう。ブランドものの化粧品を例に取ると、CMにおいてエレガントなイメージを抱いても、店舗での接客体験が正反対であると、接点の一貫性は低いと言えます。

「時系列の一貫性」も難しいポイントです。教科書的な解説では、「時代に流されることなくブランドの一貫性を保ちましょう」と書かれていますが、顧客のニーズは変化するものです。つまり、一貫性を守ってブランドをつくることと、マーケットのニーズ変化に対応することは本来は矛盾しているのです。長く続いているブランドは、芸術的ともいえるレベルでそのバランスを保っています。

ある部分では変化に対応しながら、別の部分は継承し、一貫性を持たせる。変化させながらも、ブランドのアイデンティは失わない。 変化する市場ニーズの中で、売上の最大化とブランド価値を守るバランスを取るのは「言うはやすく行うは難し」の典型ですが、これがブランド運用の肝になります。

ここまでは、ブランドの意味や、ブランドを発信し体験してもらう際に留意するポイントについて説明してきました。しかし適切に発信するためには、自社のブランドについて正しく理解しておくことが重要です。

ではここからは、企業の「ブランド」を作る(整理する)ためのフレームワークを紹介していきます。

〜ブランディングの設計図〜

企業の「ブランド」を認識してもらうためには、まず自社のブランドを明確にする必要があります。

ブランドを明確にするプロセスで役立つのが「ブランドピラミッド」と言われるフレームワークです。

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ブランドピラミッドに含まれる要素は6つです。

1. ブランドターゲット:象徴的な候補者像
2. インサイト:刺激する心の琴線(本音)
3. コアバリュー:一言に集約された核となる価値
4. パーソナリティ:人格イメージ
5. ベネフィット:物理的・心理的な便益(意味・約束)
6. エビデンス:裏付けとなる事実・根拠

それぞれのポイントを説明し、最後に事例としてHeaRのブランドピラミットを掲載します。

1. ブランドターゲット:象徴的な候補者像

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採用ターゲット、ペルソナを明確にしていきます。「ターゲット」と「ペルソナ」は似ていますが、定義は明確に違うものであると認識しておきましょう。

・採用ターゲット:何かしらの属性でグルーピングした人物像、採用の対象範囲内
・ ペルソナ:思考性やキャリア課題まで落とし込んだ人物。採用体験の設定対象。

採用ターゲットの中から、よりリアリティのある施策に落とし込むための人物像を描くためにペルソナは設計されます。

2. インサイト:刺激する心の琴線(本音)

ターゲットが定まったらそのターゲットの抱えているキャリアの課題を明確にします。HeaRではターゲットやペルソナごとのインサイトを「Philosophy」「People」「Profession」「Privilege」という4つの軸でに分けて整理していきます。(4つの軸については「5.ベネフィット:物理的・心理的な便益(意味・約束)を参照」

3. コアバリュー:一言に集約された核となる価値

会社における「コアバリュー」とは、企業が「会社で働く人たち全員に共通して持っていてもらいたい」と考え、意図的かつ戦略的に定める価値観です。

4. パーソナリティ:人格イメージ

企業を人格として捉えた時のイメージを言語化します。ここは現在の組織状態や社員の姿から要素を抽出していき、ワーディングします。

5. ベネフィット:物理的・心理的な便益(意味・約束)

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企業が社員に提供できるベネフィットを、4P(「Philosophy」「People」「Profession」「Privilege」)という軸で整理・言語化します。

4Pで自社の魅力を整理したら、その魅力を候補者に伝えられるワードに落とし込んでいきます。

魅力の整理をするにあたり意識しておきたいのはPoint of Difference(POD:差別化要素)です。

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Point of Difference(POD:差別化要素)とは「候補者が求めていて且つ競合が実現できない機能上の強み」を指します。

3つが重なるところ(Point in Common=PICと呼びます)は、「候補者が求めていて且つ競合が実現できる機能」なので差別化を図ることができません。

自社を振り返り、PODがあるのかないのか考えてみましょう。もしなければ差別化要素を作るところから始めましょう。


6. エビデンス:裏付けとなる事実・根拠

他社より自社が優れていると思っても、それを実証できるものがなければ説得力がありません。
ここでは、エビデンスとなる要素を洗い出していきます。以下は、エビデンス要素の代表的な要素です。

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いくつか例を挙げてみましょう。

・ 技術力:『世界初!〇〇システムの開発に成功した企業』
・ 経営陣:『エンジニア出身の経営陣がいるので、エンジニアへの理解度が高いです』

これらの要素と自社を照らし合わせて、他社より優れている点や差別化された要素を見つけてみましょう。

以上の手順を踏み、HeaRの採用ブランディングをまとめた例がこのようになります。

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〜採用と組織は地続き〜

ここまでの整理の中で、「求職者に伝えたい魅力(ベネフィットやPOD)が乏しい!」と感じた場合は、ブランド力を高めるためにも組織(EX)領域から変化を起こす必要があります。

採用(CX)と組織(EX)は地続きであり、組織状態は採用に大きな影響を与えます。採用がうまくいかないと感じた時には、組織改善にも目を向けてみましょう。

〜まとめ〜

今回は「シゴトレ」カリキュラム『競争力を高める採用ブランディング戦略』より、一部を抜粋してお送りいたしました。完全版のカリキュラムではこの他にも、自社のブランド力を高めるためのノウハウがたくさん詰まっております。

採用でお困りの人事担当の方向けに、無料のセッションも提供中しております。もっと詳しく聞いてみたい!など、お気軽にご相談ください。


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