マガジンのカバー画像

新型コロナ対策と新型インフルエンザ等対策特別措置法

29
新型インフルエンザ等対策特別措置法が改正され、新型コロナウイルス感染症もこの法律の対象疾患に位置づけられました。また、本日政府対策本部が設置されたことで、この法律に基づく対策が実…
運営しているクリエイター

#新型コロナウイルス

指定感染症とは何か

以前にも以下の記事で記載しておりますが、あらためて追記・改変して再掲します。よく「新型コロナは二類感染症相当の位置付け」とされますが、現状では、「新型インフルエンザ等感染症」とほぼ同じレベルの措置が規定されていること、そして、入院措置の運用状況についてこれまでの流れを整理してみました。 指定感染症とは新型コロナウイルス感染症は、感染症法で「指定感染症」に指定されています。指定感染症とは、四類以下の感染症法上の感染症、または感染症に位置付けられていない感染症について、一類〜三

自治体等の新型コロナ対策検証報告など

新型コロナウイルス感染症対策が新たな局面に入っています。(検査対象者が拡大されていることから一概に比較できませんが)4月前後の患者数を大きく超えつつあります。いわゆる第二波ともいえる状況です。 さて、「第一波」を経験して幾つかの自治体が「検証報告書」を作成しつつあります。また、クラスター調査の報告書も公開されつつあります。「新しい生活様式」の定着に向けて動画を作成して提供する自治体もあります。次への備えとして教育動画を提供する自治体もあります。 これらの検証報告や「ベスト

【号外2】日本の新型コロナ対策について英文で寄稿しています@The Guardian

The Guardian紙Opinion欄に寄稿させていただきました。 以下、本人による日本語訳を提供します。 接触者追跡と同調圧力:日本はいかにコロナウイルスを制御したか COVID1-9パンデミック時に日本がとった対策は、これまでのところ比較的成功していると言ってよいだろう。本稿執筆時点では、903人の死亡が確認されており、10万人あたりの死亡率は0.72となっている。これは英国(60.14)の8分の1であり、他のG7諸国よりも低い。新規感染者数も低く安定しているおか

【号外】日本の新型コロナ対策について英文で寄稿しています@ジャパンタイムズ

英文ですが、この場を借りて情報提供させていただきます。 以下、本人による日本語訳を提供します。 新型コロナウイルス感染症との戦いにおける日本の成功の秘密政府は5月25日、COVID-19に関する非常事態宣言を解除し、新型コロナウイルスの新規感染者数が1日に数十人にまで減少したことを明らかにした。第二波の危険が迫っているが、日本はいわゆる「第一波」のパンデミックの間、厳格なロックダウンや広範な検査方針を導入することなく、COVID-19に関連した死亡者を最小限に抑えることに

緊急事態宣言解除で何が変わるのか

注:基本的対処方針のほかに「移行期間における都道府県の対応について」という詳細な事務連絡が出たので、内容を一部修正しましたのでご了承ください。 4月7日に7都道府県に発令された緊急事態宣言は、4月16日には全国を対象地域に拡大しました。また、当初5月6日までとしていた期間を、5月31日まで延長しました。その後、流行が各所で落ち着くにつれ、順次対象地域を縮小してきました。そして本日、全ての都道府県が緊急事態措置を実施すべき区域に該当しないこととなった、として緊急事態宣言が解除

PickUp! ご当地新型コロナ対策の色々

職業柄、各自治体のホームページを回りながら、新型コロナ対策の状況を観察しています。自治体によって流行状況もさまざま、医療体制もさまざま、自治体内や自治体間の人の動きもさまざまです。それぞれのリスクに応じた対策があり、対策の呼びかけもあります。いくつかの「勝手にベストプラクティス」事例をご紹介していきたいと思います。 北海道基本的な考え方から具体的な行動をわかりやすく説明しています。 具体的な行動は (1)行動の変容(かえる) (2)まん延の防止(おさえる) (3)早期発

全都道府県が緊急事態宣言の対象地域に

本日「基本的対処方針」が変更され、全都道府県が緊急事態措置の対象地域に指定されました。特に、東京都及び大阪府、北海道、茨城県、埼玉県、千葉県、神奈川県、石川県、岐阜県、愛知県、京都府、兵庫県、福岡県は、特に重点的に感染拡大の防止に向けた取組を進めていく必要がある「特定警戒都道府県」と呼ばれることになりました。以下、主な変更点をまとめます。 特定警戒都道府県の設定これまでの7都府県に加えて、北海道、茨城県、石川県、岐阜県、愛知県、京都府の6道府県が追加された13都道府県を特定

新型コロナ専門家有志の会がnoteを拠点に情報発信をはじめます

「新型コロナウイルス感染症に関する専門家有志の会(以下、有志の会)」が4月5日からnoteを活用して、コロナと戦うための知恵をひろく発信することになりました。有志の会は政府の新型コロナウイルス感染症対策本部の専門家会議で副座長を務める尾身先生を中心に最前線で対策にあたっている専門家21名で構成されています。 有志の会のnoteを通じて、最新の信頼性ある情報に触れて、コロナに打ち克つ行動変容を起こしていきましょう。noteはメディアのプラットフォームとして、コロナとの戦いに協

緊急事態宣言で何が変わるのか

新型コロナウイルス感染症患者が増加しています。これまで新型インフルエンザ等対策特別措置法について色々書いてきましたが、改めて「緊急事態宣言」後に何が変わるか、を改めて整理したいと思います。 緊急事態宣言が行われる状況政府の行動計画には、緊急事態宣言が行われる状況として「緊急事態措置を講じなければ医療提供の限界を超えてしまい、国民の生命・健康を保護できず、社会混乱を招くおそれが生じる事態であることを示すものである」と記しています。感染拡大を少しでも防ぎ、あるいは遅らせて、適切

新型コロナウイルス感染症に関する政令改正の概要

指定感染症とは新型コロナウイルス感染症は、感染症法で「指定感染症」に指定されています。指定感染症とは、四類以下の感染症法上の感染症、または感染症に位置付けられていない感染症について、時限的に一類〜三類感染症、新型インフルエンザ等感染症、新感染症に対して行う措置を準用することができるようにするための感染症法上のカテゴリーです。 「指定感染症」とは、既に知られている感染性の疾病(一類感染症、二類感染症、三類感染症及び新型インフルエンザ等感染症を除く。)であって、第三章から第七章

新型インフルエンザ等対策特別措置法とは

主に保健関係者向けに記載しますので、やや難解な書き振りになることはご容赦ください。 感染症の汎流行(パンデミック)による国家的な危機に立ち向かうための法律、それが「新型インフルエンザ等対策特別措置法(以下、特措法)」です。これまでは、「新型インフルエンザ」とよく言われる、通常秋から冬にかけて流行する「季節性」インフルエンザとは違って、人類が全く経験したことがなく免疫がない新しいインフルエンザウイルスによる感染症、そして、人から人に感染するようなのだけれでも原因となる病原体が

新型インフルエンザ等対策(新型コロナ対策)の基本3点セット

新型インフルエンザ等対策(←新型コロナ対策を含みます。以下同様)を理解する上で重要なのは、特措法・政府行動計画・ガイドラインの3点セットです。既存法を超える特別措置を規定したのが「特措法」、そして特措法に基づき「政府行動計画」が作られています(さらにこれに基づき、都道府県や市町村でも行動計画が作られています)。さらにこの政府行動計画を踏まえて各種対策の具体的内容が記載されているのが「ガイドライン」です。 表 新型インフルエンザ等対策ガイドライン Ⅰ  サーベイランスに関する

新型コロナ対策:特措法における措置とは (緊急事態宣言前)

新型インフルエンザ等対策特別措置法は大きく5章で構成されています。内容をかいつまんでご紹介していきます。 第1章 総則言葉の定義や、国民や事業者の責務が記載されています。 第1章 総則 目的(第1条) 定義(第2条) 国・地方公共団体等の責務(第3条) 事業者及び国民の責務(第4条) 基本的人権の尊重(第5条) 言葉の定義で一つ覚えておきたいのは、「新型インフルエンザ等対策」という用語です。要は、新型コロナについては、「まん延のおそれあり」として内閣総理大臣に報告され、

新型コロナ対策:緊急事態宣言と緊急事態措置①まん延の防止に関する措置

第3章が、特措法の本丸とも言える部分です。対象疾患の患者が国内で発生した時に、全国的かつ急速にまん延により国民生活及び国民経済に重大な影響を及ぼすおそれがあると認められる事態を「新型インフルエンザ等緊急事態」として、政府対策本部長(総理)が「緊急事態宣言」を公示する、というものです。まずは、緊急事態宣言が行われる条件、そして緊急事態措置のうち「まん延の防止に関する措置」を解説します。 緊急事態宣言が行われる状況政府の行動計画には、緊急事態宣言が行われる状況として「緊急事態措