【号外】日本の新型コロナ対策について英文で寄稿しています@ジャパンタイムズ
英文ですが、この場を借りて情報提供させていただきます。
以下、本人による日本語訳を提供します。
新型コロナウイルス感染症との戦いにおける日本の成功の秘密
政府は5月25日、COVID-19に関する非常事態宣言を解除し、新型コロナウイルスの新規感染者数が1日に数十人にまで減少したことを明らかにした。第二波の危険が迫っているが、日本はいわゆる「第一波」のパンデミックの間、厳格なロックダウンや広範な検査方針を導入することなく、COVID-19に関連した死亡者を最小限に抑えることに大部分成功したように思われる。これはどのようにして可能になったのか?
この第一段階での成功は、保健所による調査を通じて感染者のつながりを見つけ、クラスター(単一感染源からの感染者のグループ)を特定することで、感染の動態を正しく理解したことに大きく支えられている。全国の病院の医療スタッフとともに、感染経路を追跡した47都道府県の保健所の25,000人以上の公衆衛生従事者は、ウイルスの脅威を食い止めることに成功した縁の下の力持ちといえる。
輸入例と関連例の接触者調査を行う中で、接触者からの新たな症例の発見が困難であった。これは、クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」での感染率を考えれば不思議なことだった。さらに国内の症例を予備的に分析したところ,ほとんどの症例では他の症例に感染させなかったが,一部の症例では5例以上の二次感染が発生し,クラスターを形成していた。そこで我々は、これらのクラスターの調査に資源を投入し、認識されていない症例を効率的に追跡することを目的とした。
特に、感染率が極端に低い初期の段階では、症状が軽い人や症状がない人にPCR検査を勧めても何もわからず、偽陽性者を隔離してしまうことになる。政府は戦略的な「クラスター重視アプローチ」により、クラスターを引き起こす環境リスク要因やリスク行動を特定することができた。
また、「密閉され密集し密接な空間(3密)」を注意喚起するわかりやすいスローガンも効果的なコミュニケーション戦略であった。これらの取り組みにより、人の移動を法的に制限することで経済にダメージを与えることなく、クラスターの形成を防ぎ、感染者の爆発的な増加を遅らせることができたのだろう。
また、「クラスター重視アプローチ」により、政府は指数関数的な感染者増加の兆候を非常に早い段階で発見することができ、効果的な早期警告を国民に提供することが可能となった。例えば、大阪と東京では、3月中旬頃から感染源を追跡できない患者数が増加したため、月の後半には週末に自宅待機を要請するなどの措置が効果を発揮した。5月29日に公表された専門家会議の見解によると、感染のピークは3月下旬から4月上旬であることが判明しており、それは、当時の日々の患者数報告からだけでは認識できていなかっただろう。
緊急事態宣言下での措置は拘束力のないものであったにもかかわらず、日本はなんとか新規感染を減らすことに成功し、5月25日には全国的に緊急事態宣言が解除された。私たちは次の急増のリスクに備えているが、私たちの目標は変わらない:社会経済的な影響を最小限に抑えつつ、「クラスター重視アプローチ」でCOVID-19による死亡者数を最小限に抑えることである
ここでの課題は、予想される「次なる波」の間、日本が同じように回復力を維持できるかどうかである。政府はロックダウンや外出禁止令のような強力な措置を実施する法的権限を持っていないことを忘れてはならない。日本の保健医療関係者たちは全力を尽くす覚悟はあるが、いつ起こるかわからない"第二波"であっても、日本国民が今回同様のレジリエンスを発揮することを祈らずにはいられない。