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新型コロナ対策と新型インフルエンザ等対策特別措置法

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新型インフルエンザ等対策特別措置法が改正され、新型コロナウイルス感染症もこの法律の対象疾患に位置づけられました。また、本日政府対策本部が設置されたことで、この法律に基づく対策が実… もっと読む
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まんぼうとは何か

まん延防止等重点措置、通称「まん防」という言葉がちらほら聞かれます。このたび改正された新型インフルエンザ等対策特別措置法(改正特措法)で導入された新しい措置です。今回は(久々で、他にも色々解説すべきことがありますが)、その概要を説明したいと思います。 まん防でできること今般、新型インフルエンザ等対策特別措置法(特措法)が改正された際、新型インフルエンザなどが発生してまだ広まっていない段階と、緊急事態宣言に至る状況の中間的な段階に行う措置として「まん延防止等重点措置(通称「ま

感染症法による入院措置の対象が限定的になります

「新型コロナウイルス感染症を指定感染症として定める等の政令の一部を改正する政令」の改正が公布されました。10日後の10月24日から施行されます。これにより、新型コロナウイルス感染症患者に対しての感染症法による入院措置の対象が、無症状や軽症の場合は主に高齢者や基礎疾患のある方、そして中等度、重症の方に限定されることになります。とは言っても、医療上の観点、まん延防止上の観点から一定の裁量が残されており、これらの要素が当てはまらない方に全く措置が執れないというものではなく、また、入

【号外】医事法学会シンポジウムに参加しました。

本日医事法学会特別WEBシンポジウムに参加させていただき、「日本のパンデミック対策と新型コロナウイルス感染症」のタイトルでお話しさせていただきました。 新型コロナ発生以前に日本のパンデミック対策はどのような形で土台が作られていて、それが新型コロナでどのように生かされ、また、どのように活かせなかったのか、その理由を考察しています。「過去の経験の復習型」ではなく、前向きにありうるシナリオのランドスケープ分析から、ギャップを埋めていくプリペアドネスが必要です。そして常に「拡張性」

指定感染症とは何か

以前にも以下の記事で記載しておりますが、あらためて追記・改変して再掲します。よく「新型コロナは二類感染症相当の位置付け」とされますが、現状では、「新型インフルエンザ等感染症」とほぼ同じレベルの措置が規定されていること、そして、入院措置の運用状況についてこれまでの流れを整理してみました。 指定感染症とは新型コロナウイルス感染症は、感染症法で「指定感染症」に指定されています。指定感染症とは、四類以下の感染症法上の感染症、または感染症に位置付けられていない感染症について、一類〜三

自治体等の新型コロナ対策検証報告など

新型コロナウイルス感染症対策が新たな局面に入っています。(検査対象者が拡大されていることから一概に比較できませんが)4月前後の患者数を大きく超えつつあります。いわゆる第二波ともいえる状況です。 さて、「第一波」を経験して幾つかの自治体が「検証報告書」を作成しつつあります。また、クラスター調査の報告書も公開されつつあります。「新しい生活様式」の定着に向けて動画を作成して提供する自治体もあります。次への備えとして教育動画を提供する自治体もあります。 これらの検証報告や「ベスト

【号外2】日本の新型コロナ対策について英文で寄稿しています@The Guardian

The Guardian紙Opinion欄に寄稿させていただきました。 以下、本人による日本語訳を提供します。 接触者追跡と同調圧力:日本はいかにコロナウイルスを制御したか COVID1-9パンデミック時に日本がとった対策は、これまでのところ比較的成功していると言ってよいだろう。本稿執筆時点では、903人の死亡が確認されており、10万人あたりの死亡率は0.72となっている。これは英国(60.14)の8分の1であり、他のG7諸国よりも低い。新規感染者数も低く安定しているおか

【号外】日本の新型コロナ対策について英文で寄稿しています@ジャパンタイムズ

英文ですが、この場を借りて情報提供させていただきます。 以下、本人による日本語訳を提供します。 新型コロナウイルス感染症との戦いにおける日本の成功の秘密政府は5月25日、COVID-19に関する非常事態宣言を解除し、新型コロナウイルスの新規感染者数が1日に数十人にまで減少したことを明らかにした。第二波の危険が迫っているが、日本はいわゆる「第一波」のパンデミックの間、厳格なロックダウンや広範な検査方針を導入することなく、COVID-19に関連した死亡者を最小限に抑えることに

緊急事態宣言解除で何が変わるのか

注:基本的対処方針のほかに「移行期間における都道府県の対応について」という詳細な事務連絡が出たので、内容を一部修正しましたのでご了承ください。 4月7日に7都道府県に発令された緊急事態宣言は、4月16日には全国を対象地域に拡大しました。また、当初5月6日までとしていた期間を、5月31日まで延長しました。その後、流行が各所で落ち着くにつれ、順次対象地域を縮小してきました。そして本日、全ての都道府県が緊急事態措置を実施すべき区域に該当しないこととなった、として緊急事態宣言が解除

PickUp! ご当地新型コロナ対策の色々

職業柄、各自治体のホームページを回りながら、新型コロナ対策の状況を観察しています。自治体によって流行状況もさまざま、医療体制もさまざま、自治体内や自治体間の人の動きもさまざまです。それぞれのリスクに応じた対策があり、対策の呼びかけもあります。いくつかの「勝手にベストプラクティス」事例をご紹介していきたいと思います。 北海道基本的な考え方から具体的な行動をわかりやすく説明しています。 具体的な行動は (1)行動の変容(かえる) (2)まん延の防止(おさえる) (3)早期発

緊急事態宣言を継続すべきか

緊急事態宣言が発令され、3週間が経とうとしている。外出自粛や施設の使用制限、催し物の制限が要請されているところである。みんなが多大な我慢を強いられている状況であるが、感染者の急増や地方都市への拡大を抑制していくためには現段階ではこの方法しかない。感染者を減らすことに成功しても、この新型コロナウイルス感染症はなかなかの強敵であり、効果的なワクチンや治療法が開発されない限り、そして世界のどこかで流行している限り、再流行のリスクからそう簡単に免れられそうもない。残念ながら「新型コ

全都道府県が緊急事態宣言の対象地域に

本日「基本的対処方針」が変更され、全都道府県が緊急事態措置の対象地域に指定されました。特に、東京都及び大阪府、北海道、茨城県、埼玉県、千葉県、神奈川県、石川県、岐阜県、愛知県、京都府、兵庫県、福岡県は、特に重点的に感染拡大の防止に向けた取組を進めていく必要がある「特定警戒都道府県」と呼ばれることになりました。以下、主な変更点をまとめます。 特定警戒都道府県の設定これまでの7都府県に加えて、北海道、茨城県、石川県、岐阜県、愛知県、京都府の6道府県が追加された13都道府県を特定

緊急事態宣言におけるまん延防止対策のステップ

法的なステップ特措法に基づく新型コロナ感染症対策の「まん延防止」の法的なステップとしては、 1)協力の要請(緊急事態宣言の有無を問わず)(第24条の9) (以後、緊急事態宣言下の地域) 2)外出自粛の要請(第45条第1項) 3)施設の使用制限・停止、または催物の開催の制限・停止、   その他感染対策を講ずるよう要請(第45条第2項) 4)3の指示(第45条第3項) という流れになっています。最低限の私権制限に留める、という観点からこのように慎重なステップが取られることにな

基本的対処方針の変更:夜の繁華街対策を全国に

先日4月7日付けで緊急事態宣言が発令されたことに伴い、基本的対処方針が改定されていますが、本日、さらに基本的対処方針が変更されています。 変更されたのは以下の太字の一行が追加されたことだけです(p.15)。 三 新型コロナウイルス感染症対策の実施に関する重要事項 (3)まん延防止 ㉑ 政府及び特定都道府県以外の都道府県は、職場等における感染の拡大を防止するため、BCPに基づく対応のさらなる強化、労働者を使用する事業者に対し職場内においても「三つの密」を避けることとともに、

新型コロナ対策:施設の使用制限と感染対策の方向性が明らかに

緊急事態宣言に関する公示が昨日4月7日夜に行われ、緊急事態措置を実施すべき期間と区域が設定されました。これに伴い、「基本的対処方針」も4月7日付けで改正されたところです。 さて、緊急事態措置の一つ、「まん延の防止に関する措置」として実施される「施設の使用制限」「催し物の開催制限」ですが、基本的に、施設を以下の3通りに分けて対応することになっています。 施設使用制限の運用 区分1:感染リスクが高い施設 →使用制限も含め最優先で対応が必要 区分2:社会生活を維持する上で必要な