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新型インフルエンザ等対策(新型コロナ対策)の基本3点セット

新型インフルエンザ等対策(←新型コロナ対策を含みます。以下同様)を理解する上で重要なのは、特措法・政府行動計画・ガイドラインの3点セットです。既存法を超える特別措置を規定したのが「特措法」、そして特措法に基づき「政府行動計画」が作られています(さらにこれに基づき、都道府県や市町村でも行動計画が作られています)。さらにこの政府行動計画を踏まえて各種対策の具体的内容が記載されているのが「ガイドライン」です。

表 新型インフルエンザ等対策ガイドライン
Ⅰ  サーベイランスに関するガイドライン 
Ⅱ   情報提供・共有(リスクコミュニケーション)に関するガイドライン 
Ⅲ  水際対策に関するガイドライン
Ⅳ  まん延防止に関するガイドライン
Ⅴ   予防接種に関するガイドライン
Ⅵ  医療体制に関するガイドライン
Ⅶ 抗インフルエンザウイルス薬に関するガイドライン
Ⅷ 事業者・職場における新型インフルエンザ等対策ガイドライン
Ⅸ   個人、家庭及び地域における新型インフルエンザ等対策ガイドライン
 Ⅹ   埋火葬の円滑な実施に関するガイドライン 

基本的対処方針が対策の方向性を示す

この政府行動計画は分厚い冊子で色々なことがいっぱい書いてあります。注意すべきは、この行動計画はいわば対策の「メニューであって、ここに書かれていることを一から十まですべて行うわけでは無い、ということです。前回の2009年の新型インフルエンザ流行時の反省は、行動計画に柔軟性が無いことでした。新たに発生する新型インフルエンザや新感染症の病原性や毒性は事前に分かるものではありません。その感染症のリスクに応じて、柔軟に対策を選択していく必要があります。そのために事前に書いたメニューです。

実際には、この法律の対象となる感染症が発生した時(政府対策本部が設置された時)や、流行の局面が変わり、対策を大きく変化させるときに、「基本的対処方針」が政府対策本部より示されます。現在の発生状況とともに、政府行動計画に記載されたメニューから、今後行なっていくべき内容を全体方針として示します。これに基づき、政府、地方自治体が一体となって対策を行なっていくことになります。特に、新型コロナは新型インフルエンザ等対策とは異なった戦略が求められることから、この「基本的対処方針」が今後の対策の鍵を握る文書となるでしょう。

新型コロナウイルス感染症対策に協力する努力義務

あまり知られていないことですが、対策本部設置後行われる新型コロナ対策には、事業者や国民が協力する努力義務が課せられています。

(事業者及び国民の責務)
第四条 事業者及び国民は、新型インフルエンザ等の予防に努めるとともに、新型インフルエンザ等対策(注:対策本部設置中に実施される対策)に協力するよう努めなければならない。
2 事業者は、新型インフルエンザ等のまん延により生ずる影響を考慮し、その事業の実施に関し、適切な措置を講ずるよう努めなければならない。
3 第二十八条第一項第一号に規定する登録事業者は、新型インフルエンザ等が発生したときにおいても、医療の提供並びに国民生活及び国民経済の安定に寄与する業務を継続的に実施するよう努めなければならない。

具体的には、以下のような内容が考えられます。

国民
・新型インフルエンザ等の予防に努めること
・新型インフルエンザ等のまん延時における外出自粛等、国、地方公共団体等が要請する新型インフルエンザ等対策に協力すること
事業者
・職場内における感染を防止すること
・訪問者、利用者等の感染を防止すること
・不要不急の事業を縮小し、事業継続に不可欠な重要業務への重点化を図ること
・新型インフルエンザ等に罹患した家族の看護、子供の通っている保育所の臨時休業等に伴う労働者の休暇を取りやすい環境を整えること
(逐条解説より)

政府も地方自治体も、事業者も、国民も、みんなで協力してこの難局を乗り切っていく必要があるのです。