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簡単解説!骨転移の発生メカニズム!

がんの骨転移の発生メカニズムについて簡単にご紹介したいと思います!​

今回の内容はYouTubeチャンネル「リハビリ・ラボ」でも動画で紹介をしているので文字を読むのがめんどくさいと言う人はYouTubeからご覧ください。

そもそも論

そもそもなぜ、骨転移って生じるかご存知ですか?

臓器などにあった腫瘍細胞がどうして骨なんかに転移するのでしょうか?実は腫瘍細胞は血行性に転移します。

以下のような過程を経て転移するとされています。

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がんの転移は腫瘍細胞からの遊離に始まってが血行性に転移をしていきます。

だから造血機能の高い脊椎や長管骨などに転移が多いのですね・・・。納得。

血行性に転移をするということはがんの患者さんのほとんどは骨転移をする可能性が高いということです。ただし、がんの種類によって骨転移の発生率などは大きく異なります。この点についてはYouTubeで別動画でも紹介をしているのでチェックしてみてくださいね。

ポイントは破骨細胞と骨芽細胞の利用

腫瘍細胞それ自体に骨を浸潤する力は実はありません。

なーんだそんな力ないのか、だったら安心じゃんと思うかもしれませんがそうではない・・・。

腫瘍細胞というやつは非常に頭が良くって、元からある身体の機能をうまく活用して骨転移を完成させているのです。

それはタイトルにもあったように破骨細胞と骨芽細胞の活用です。

以下の図を見てみてください。

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腫瘍細胞から放出される物質たちは破骨細胞の活性化因子となることが分かっています。

破骨細胞は皆さんの体の中に元からある細胞ですが、骨のリモデリングに重要な働きをしている細胞です。骨を溶かす作用があります。

腫瘍細胞はこの破骨細胞の機能をうまく活用する訳です。

破骨細胞が活性化されると当然、骨が溶け出すのですがその溶け出した骨基質に含まれていた物質が、腫瘍細胞の増殖の栄養になってしまうのです・・・。

なんと恐ろしいことか・・・。本当に都合の良いようにできていることが分かるかと思います。

そして腫瘍細胞はもう1つ骨芽細胞をも活性化させます。骨芽細胞は普段から骨を造る働きをする細胞です。

お!じゃあいいじゃん!と思いたくなりますが、これまた違います。

腫瘍細胞によって活性化された骨芽細胞から放出されるRANKLはなんと・・・破骨細胞を活性化させてしまうのです。

恐るべし、腫瘍細胞・・・。

このような過程を経て、骨を壊し自分自信が入り込むスペースを造り、そこでまた増殖する訳です。

1度生じてしまった骨転移を完治させることは、一部のがんを除いてほぼ困難だと言われています。

このような悪循環が加速化しないようにするために骨修飾薬や放射線治療などが行われるようになります。

さいごに

骨転移はこのような過程を経て完成されていたのです。

腫瘍細胞の能力、恐るべし・・・ということをお分かりいただけたでしょうか。少し知っているだけでも臨床に役立つ場面もあるかもしれませんね。

ぜひ、YouTubeでも復習してみましょう!



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