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シュライン式バックブリーカー

昨日初詣に行った。

厳密にいうと今年の我が家の初詣は
タイの寺院、ワットポーであるはずだが、
やはり日本の氏神様にもお詣りをしておきたい。

ということで、近所の氏神様を訪問した。

氏神様は非常にこじんまりとしているので
さすがに7日にもなると参拝客はいない。

近くの空き地でとんど焼きの準備をしている
宮関係の方がいた以外は
とてもひっそりとした中で参拝することができた。

さて、それでは帰宅しようかと思ったところ
妻が突然隣の市にある神社に行きたいと言い出した。

我が家は毎年初詣はこの氏神様に行き、
その後に隣の市にある有名な神社にも行っている。

今年はもう7日になったので
ご挨拶するのは氏神様だけでもいいかと
私は思っていたのだが、
妻はそこにもいかないと気が済まないらしい。

私的には早く帰りたかったのだが、
年始から余計な争いもしたくない。

子供たちを帰りに食事に連れて行ってやるからと
説得して、
片道1時間と少しかかる神社に向かうことにした。

抜け道になる田舎道を通り、
目的の神社に近づいてきた。

さすがに有名どころでも1月7日には
それほど参拝客はいないだろうと
私は安心しながらハンドルを握っていたのだが、
目的の神社に向かう最終コーナーを曲がると
そこには駐車を待つ車の長蛇の列があった。

おや、今日はまだ2日か3日だったか?
そう勘違いしてしまうほどの列に驚いたが
ここまで来てしまったからには引き返せない。

列は長いものの神社の参拝にそれほど
長時間を要するわけではないので
比較的スルスルと車が入れ替わっていき、
10分ほど待って私たちも駐車することができた。

駐車場から参道を上がって神社までは
徒歩5分ほどであるが、
そこには色んな屋台やお店がでており
まさに正月さながらの様子である。

しかも、そこに多くの人が並んでいる。

今年は日本で正月を迎えなかったので
味わうことができなかった感覚を
時間差で体感できて満足していたのだが、
その道を娘の手を引いて歩いていると
娘が何度か私にしがみついてくる機会があった。

その都度「どうしたん?」と娘に聞くと、
目の前から犬を連れて歩く人と
すれ違っていたらしい。

娘と一緒に散歩しているときにも
犬に遭遇することはあるが、
その時には道は混みあっていることはないので
娘は事前に避けることができる。

しかし、今回の参道のように多くの人が歩く中で
突然犬が現れると娘は驚いてしまうらしい。

娘がしがみついてくるたびに
「大丈夫や。噛んできたりせえへんから」と
娘をなだめる必要があり、
それが何度も重なるので私は娘を抱っこして
参道を歩くことにした。

そうしてようやく目的の神社に到着し、
早速参拝をしようかと思うと
驚いたことに私たちの目の前にも
犬を連れて参拝に来る人がいたのである。

せっかく娘を下におろして一緒に歩こうと
思っていたのに
離れようとしない娘。

6歳の娘は20㎏と少し体重があるので
そんな娘を抱っこして混みあう参道を歩くのは
苦行以外のなにものでもない。

だが、怖がる娘を無理やり歩かせるわけにもいかない。

何とかそんな状態で参拝を終え、
妻と子供たちがおみくじを引きたいというので
私は少し離れたところでそれを待っていると
驚くほど神社に犬を連れて参拝している人が
多いことに気が付いた。

気になってこの神社が何か犬に所以のある場所なのか
調べてみたのだが、
別に何も所以らしいものは書かれていない。

ということは、ここに犬を連れてきている飼い主は
単に初詣に家族である愛犬を連れてきているという
ことになる。

私もペットを飼ったことがあるので
ペットが家族であるという感覚は
十分に理解している。

だが、それにしても初詣に犬を
連れてくる必要があるだろうか。

そこは不特定多数が集まる場所、
つまり間違いなく犬が苦手な人もいる環境なのである。

最近では世間の捉え方が変わってきたが
この列の中で堂々と喫煙をしている人がいたなら
多くの人は「なんと非常識な」とその人を
責めるであろう。

それは不特定多数の人がいる環境において
喫煙の煙は周りの人に害を与えるからである。

ここまで極端ではないにせよ
犬を初詣という多くの人が来る場所に連れてくるのは
同じようなことではないかと思うのだ。

もちろん、ちゃんと躾された犬ならば
特に害を与えることがないのは百も承知だが
無条件に恐怖を覚える人もいるだろうし、
中には犬の毛で喘息やアレルギーを発症する人も
いるだろう。

そう思うと、このような場に犬を連れてくるのは
やはり避けるべきではないかと私は思うのだ。

とは言え、昨日私が見た犬たちは
驚くほどどれもしっかりと躾がされており、
他の犬と出会っても吠えたりすることは
一切なかった。

義父が入院中に私が毎日エサをやった
義実家の犬ならば
こんな場所に連れてくれば吠えまくって
大変だろう。

そう思うとここにいる飼い主さんがいかに犬に対して
手をかけて飼っているのかがわかる気がする。

そんな彼らからすれば、家族と一緒に初詣に来て
何が悪いのかと思う気持ちもわからないでもない。

何事も皆が100%満足できる結論は出せないものだが、
昨日は自分の頭の中でディベートを繰り広げる
いい機会になった。

これは神様が「お前をちゃんと周りを見て考えなはれや」
と言ってくださっているのだろう。

そう解釈して私は神社を後にした。

ちなみに私の頭の中のディベートでは
「連れてくるべきでない」に最終的に軍配が上がった。

なぜなら、娘を抱っこして参道を上がったことで
腰が痛くなってしまったからである。

さすがに今日行かれる方は少ないと思うが、
お子さんを連れて初詣に行かれる際には
犬にぜひ気をつけて欲しい。

プロレスの技名風にするならば
シュライン式バックブリーカーというところだろうか。


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