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”自ら選ぶ”という付加価値

カップヌードルミュージアムという場所を
ご存じだろうか。

カップヌードルで有名な日清食品の創業者
安藤百福氏が企業を起こした大阪府池田市にある
アミューズメント施設である。

先日この施設を家族で訪問した。

驚いたことに入場は無料で、
中にはカップヌードル開発の歴史が展示されていたり
昔の商品のパッケージなどがずらっと展示されており
我が家の子供たちはこれを見るだけでも
とても満足していたほどである。

だが、この施設の目玉はこれではない。

なんと、チキンラーメンやカップヌードルの
製造体験ができてしまうのである。

もちろんこちらは有料なのだが、
せっかくなら体験してみたいと思い
家族でマイカップヌードル作りに申し込んだ。

最初の工程はカップにオリジナルの
絵を描くというものである。

机の上に置かれたマーカーを使って
自分の好きな柄をパッケージに書いていく。

日ごろ絵を描くことなどない私達大人は
何を描こうか迷うことに時間を使い、
絵を描き慣れている子供たちはスラスラと
色んなものを描くことに時間を使う。

何だかその様子を客観的に眺めていると
それだけでも面白いなと感じた。

結局最初にスラスラと描き始めた娘が
最後までかかり、絵付け作業は終了した。

これが終わると次はマイカップヌードルの
中身を選ぶ作業である。

最初にスープの味を1つ選び、
その次に沢山ある具材の中から4つ選ぶというもの。

スープの選択肢は以下の4つ。
①カップヌードル味
②シーフードヌードル味
③カレーヌードル味
④カップヌードルチリトマト味

私はカレーヌードル派なので
③を選ぼうと思ったのだが、
息子と娘が③カレーヌードル味を選び、
妻が②シーフードヌードル味にしたので
私は王道の①カップヌードル味を選んだ。

次は具材である。

しょっちゅう食べるわけではないが、
カップヌードルの類を食べると中に入っている具材が
フリーズドライにされた状態でならべられており
その中から4つを選んでいく。

訪れた日はたくさんの人がいたので
あまり悠長に悩んでいる暇はなかったのだが、
子供たちはどれにしようかウンウンと悩みながら
具材を選んでいた。

私はというと、かつてから夢だった
ある野望を実現するチャンスだと思い
あるリクエストをした。

カップヌードルに入っているナゾ肉、
食べたことのある人なら一度は
「これ、一体何のお肉なんだろう」と
思ったことがあるはずだが、
そのナゾ肉ばかりを沢山入れた
カップヌードルを一度でいいから食べてみたいと
以前から私は思っていた。

ついにその野望を実現するチャンスが
訪れたので、私は迷うことなく
係の人に「ナゾ肉4回で」と言った。

そうして具材を選び終わったあと、
蓋を閉めて、ラッピングをして
皆のマイカップヌードルが完成した。

出来上がったカップヌードルに
喜ぶ子供たち。

息子に至っては自分が選んだスープと具材が
どんな感じなのか一刻も早く
食べたいと言う。

結局その日帰宅した後、
私たちはさっそく今日作ったマイカップヌードルを
家族で食べることにした。

お湯を注いで、出来上がったものを食べ始めると
「これ入れて正解」「これは合わないかも」などと
議論しあう家族達。

私はというと、ナゾ肉だらけのカップヌードルに
大変満足した。

お湯を入れて蓋を開けた瞬間の様子

その日は他にもショッピングモールにも行ったし
ちょっとしたテーマパークにも行ったのだが、
どうやら子供たちにはカップヌードルミュージアムで
マイカップヌードルを作れたことが
一番楽しく、印象に残ったらしい。

なぜ彼らの印象にこんなにも残ったのだろうか。

それは”自ら選べた”からではないだろうか。

通常カップヌードルを買うと中には
既に配合された具材が入っており
それを選ぶことはできない。

ある意味で制約がかかっている状態ともいえる。

ところが、今回はその制約が外れ
自ら具を選ぶことができた。

それがとても楽しかったのである。

まさに”自ら選ぶ”ということが大きな
付加価値になったのである。

実際、夕食にマイカップヌードルを食べたわけが
食後感は紛れもなくカップヌードルを食べた時の
あの感じであり、
自ら選んだという付加価値がなければ
ちょっと質素な晩御飯に見えなくもない。

だが、それも感じさせないほど
自ら選ぶということは大きな価値を
持っていた。

実は私たちの日常にもこのように
”自ら選べる”ことで付加価値にできるものが
沢山あるのではないだろうか。

「〇〇がもうちょっと多かったらいいのに」
「もうちょっと〇〇だったらいいのに」
などと小さな不満を感じている既存品を
自分でアレンジできたなら、
それはとても大きな付加価値になるものなのだ。

私は仕事で商品開発をしているが、
どうしてもベストなものを作ろうとしてしまう。

だが、ベストな形は使う人によって
異なるものでもある。

ある意味、ここにベストな形を選んでもらい
商品にすることで
単にモノづくりをするだけでは得られない
付加価値が生まれるのではないだろうか。

言われてみれば自動車を買う時も車種を選ぶ時より
装備や色を選んだりするときのほうが
ワクワクした気がする。

人は本来自ら選びたい生き物。

ならばそれを付加価値にしてしまうのも
面白いものだなと感じさせられる一日であった。

こうして記事を書くのも
自分が発信したいネタを自分の好きな言葉を使って
書き上げるという意味で
”自ら選ぶ”楽しさがあるから続けられるのだろう。


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