その情報は事実ですか?
「それあなたの感想ですよね。」
ここ最近ひろゆき氏を見る機会が増えた。
ひろゆき氏はかつて流行した掲示板サイト2chの立ち上げ、管理人として
有名な人物である。
このひろゆき氏はもともとプログラマーであるが
知識量の多さと考え方のシンプルさゆえに多くの人の支持を受けている。
そのひろゆき氏が人と議論している際によく口に出すのが
冒頭のセリフである。
何となくひろゆき氏が相手を論破するためのセリフとして
有名になった感は否めないが、
この言葉は私たちが学ぶ上においても非常に重要である。
今回の記事はそんなお話をしようとおもう。
あなたはFACTFULNESSという本をご存じだろうか。
少し前に話題になった本なので読んだことのある方も多いと思う。
この本は世界の真実をデータをもとに解説したものだ。
そう聞くと退屈な本に思えるが、
実際に読んでみると出てくる話が非常に面白い一冊でもある。
何が面白いか。
それは私たちがいかに思い込みに影響されているかが分かるからである。
本書ではいくつかの問いが出されているが
そのいずれもデータをもとに考えてみると答えが逆になっているのだ。
例えば、世界の中で極度の貧困状態にある人は過去20年で
増加しているだろうか、それとも減少しているかを考えてみて欲しい。
あなたの頭の中ではアフリカの人口増加、衛生環境、いろいろなことが
渦巻いていることだろう。
そして多くの人は増加していると答えるのではないか。
しかしデータを見ると約半分になっているのが事実なのである。
このように私たちは知らず知らずのうちに思い込みをしているのだ。
そしてその思い込みとなる原因こそが、冒頭に書いたひろゆき氏の
「それあなたの感想ですよね」につながる。
私たちはテレビやYouTube、書籍やSNSなど多くの情報に日々触れている。
その中で出会う情報に対して、
事実を言っているのか、それともその人の見解を述べているのかが
曖昧になっているのだ。
かなり以前の話ではあるが、家族でテレビを見ていたときのこと。
少年犯罪についてのニュースが流れた後に、ゲストとして出ていた
元スポーツ選手のタレントの方が
「最近少年犯罪が増加しているので、私たち大人が・・・」
と言っている場面に遭遇したことがある。
一見すると何気ない光景に見えるが、
この報道では少年犯罪の発生件数やその変動については触れていない
とある事件について解説しており、
その残虐性について説明がなされただけなのだ。
にもかかわらずそのタレントの方のコメントでは
少年犯罪が増加していることが差し込まれていたのだ。
この場合、何も意識せずに聞いていると私たちは
この事件は残虐、そしてそのような犯罪を起こす若者が増加している。
かのような錯覚を刷り込まれてしまうのだ。
そしてこのような例は枚挙にいとまがない。
今回あげた事例はテレビなので知識を持たない人の
コメントに注意をすればいいのかと思うかもしれないが
それ以外のメディアにおいてもこれは同様である。
新聞や書籍は出版社の確認が入る分比較的情報の精度は保証されるが
書き手も同じく人間である以上、思い込みが必ずあるものなのだ。
書き手が勘違いした解釈をあたかも事実のように書いてしまうことは
当たり前のように起こる。
ではこのような思い込みを避けるためにはどうすればいいのだろうか。
答えはシンプル。情報に触れるときに「事実か見解か」を考え、
自分でチェックするしかない。
インターネットで何事も簡単に調べられる時代だが
その中にも事実かそうでないか怪しい情報はたくさんある。
なので事実かどうかをチェックする際には
発信者が信頼に値するのかどうかをしっかりと見極める必要があるが
調べている情報が明らかに事実と異なる情報かどうかは
ザッと見るだけでも案外すぐにわかるものである。
試しに今日一日でいいので、あなたが出くわした情報について
事実かどうかのチェックをしてみて欲しい。
何気ない日常での会話にも多くの事実と異なる情報が
まぎれていることに気が付くはずである。
冗談のようではあるが、
私は時々頭の中に冒頭のひろゆき氏の言葉が
人と会話している時に出てきそうになる時がある。
実は人と話す時にはこれは有効な方法で
「あの人ならどのように聞くだろう。」と考えて聞くことで
いつもの自分ならスルーするような内容にも
引っかかりを覚えたりするものなのだ。
あなたも今日一日、頭の中にひろゆき氏を置いてみてはどうだろうか。
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