笹井宏之賞応募作「Alekto」

またもや実景寄りの不快な連作です。
それでも気にしない方はどうぞ。

きしねんりょ　これっぽっちで表せて医者に伝えることもできそう
雑居ビル心療内科なら２Ｆ屋上までの階段に鍵
母子手帳残ってません診断に困りますよね苦笑いする
「死にました。母はわたしが19のころ唐突に死んでしまって……」
でも生きてなくてよかった　もし母がいたら受診もできなかったし
保険証隠す毒親　そうでしょう？心療内科行くと知ったら
命より大事なものは世間体「普通」に固執してる異常者
離れない耳に残って不愉快な甲高い声リフレインする
「いやらしい」なんてのたまう幻聴を遮りたくてデスメタル聴く
脳内を蝕む母のまぼろしを殴り倒して屋根から落とす