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07 おしゃれと機能性を兼ねるふかし壁<ホームセンターが福岡の人気エリア・糸島で、空き家をリノベしてみる>

 前回、カフェ板でフローリング張りを終え、コミュニティスペースの形が見えてきました(記事はこちら)。続いては壁の処理を進めていきます。
3部屋をぶち抜いたコミュニティスペースの壁は、和室だった部分の壁は砂壁、キッチンはタイル貼りの箇所があったりと、3部屋分の異なる壁でできています。
これまでに、タイルや壁紙をはがして下地材の状態にする処理を進めてきました。


ふかし壁、とは?

 今回は二か所に「ふかし壁」を作っていきます。
「ふかし壁」は壁の仕上げ面を手前に出して作る壁のことで、漢字で書くと「付加し壁」という字になります。文字通り、壁の手前に、もう一つ壁を付加する、というものです。
壁に厚みが出ることで空間に奥行きが出たり、壁の中の空間に電気などの配線を収めたり、照明を施したりすることで、意匠性のある空間を作る効果を持っています。

ふかし壁の例

 ふかし壁を作る一か所目は部屋の入り口付近。
分電盤(家庭に供給された電気を場所ごとに分け、ブレーカーで過度の電流が流れた場合に遮断したり、漏電を防止するための機能を持つ)や電気・インターネットなどの配線を、ふかし壁の中に収める目的です。

右側が入口付近。左側がもともと壁付のキッチン(黄色点線)があった場所

もう一か所はキッチンの壁面。グッデイハウスはもともとは壁付けのI型キッチンでしたが、今回のリノベーションでアイランド型のキッチンにします。

以前のI型キッチン部分は壁面にタイルが貼ってありました。キッチンを撤去してタイルをはがしたため、壁面はタイル跡が残ってしまっています。
ふかし壁でその見栄えの悪さを隠し、同時に壁の中に配線を施して、キッチン家電用のコンセントを新設します。

 

「まっすぐ」をチェックする「下げ振り」

 壁下地の上に、ふかし壁となるもう一つの壁を設置するための骨組みとして、柱になる木材を固定していきます。
設置するふかし壁の高さに合うようにカットし、木材を垂直に設置するために「下げ振り」という道具を使って垂直を確認します。
「下げ振り」は「保持器」に「下げ振り」という円錐型の錘(おもり)が糸でつながれており、垂直に設置したいものに「保持器」を固定して、糸でぶら下がった錘の位置を見て、垂直になっているかを確認します。

黄色の保持器を仮置きした柱の上部に固定して
下の下げ振りを確認します

「下げ振り」を使うと、柱と壁のゆがみをチェックすることができます!

 

木材が垂直に立つ位置を確認したら、柱に固定していきます。下地の裏に柱がある場合は、手前から順に「骨組み用の木材→下地の板→柱」でビスを打って固定します。

柱がない下地にビスを打つ「ひと手間」

 ”身”である下地板は、”骨”である柱に固定しているので、柱がない所は”身”の下地板だけ、つまり裏側が空洞になっている部分もあります(家の構造について04記事に)。下地板だけの部分にはビスを打っても固定することができないので「ひと手間」かけていきます。
下地板に引き回しのこで切れ込みを入れて板を四角く切り抜きます。

引き回しのこはよく切れる先端部分を使って切り抜きます

くりぬいた場所から下地材の裏に45×60mmの角材をあてがい、手前から「骨組み用の木材→下地の板→カット角材」の順でビスをうちます。
カットした角材を空洞部分の柱代わりにすることで、ビスを固定しています。

後ろから木材を押し当ててビス打ち

複数個所に同じ処理をして、一か所あたり3本の柱を設置しました。 

 

キッチン側も同じように3本の木材を設置しました。

 

石膏ボードのカット、面取り

 2か所それぞれに設置した木材をふかし壁の柱にして、9ミリの石膏ボードを固定していきます。石膏ボードは、家の壁や天井などに非常によく使われる素材で、石膏を板上にして特殊な紙で包んで作られています。比較的安価で、高い強度を持ち耐火性に優れている上、カッターでカットできるという使い勝手のよい壁材です。

ふかし壁のサイズにあわせて、石膏ボードをカットしていきます。
木材を長い定規代わりにし、L型カッターで何回か繰り返し切り込みをいれて、ボードの不要部分を切り落とします。

 

「アラカン」という木工ヤスリをつかって切断面の面取りをします。
アラカンはサーフォーム、サーフォーマーなどといわれる、ヤスリとカンナが一つになった、材料を切削する道具の一つ。粗削りのほかにも金属のサビ取りなど、いろんな用途に使える道具です。

 

アラカンのほかにもV型の面取りカンナ(鉋)も使っています。
面取りカンナは木材などの角の部分を削るためのカンナ。刃の形にも種類があり、角を削った後の形状が刃型によって変わります(一般的なカンナは木材の表面を削るための道具)。
ボードの角に合わせて、斜めにカンナを当てて削ります。

 

「普段あまり使うことのない道具なのでいい学びになりました。」とスタッフ。スタッフにとっては現場で大工さんがどのように道具を使っているかをリアルに学べる機会になっています。

左から、V型の面取りカンナ、アラカン。右は大工さんが使う、木材に
サンドペーパを張り付けた自作のヤスリ。サイズ感がちょうどよく使いやすい!

整えた石膏ボードを木材の柱に固定していきます(床に近い場所は、体をかがめてビスを打つので、ちょっと大変。インパクトドライバを横に倒して慎重に…)。

 

ふかし壁は意匠性を考えて、側面部分(上の写真では右側)では柱を見せています。石膏ボード部分は後々クロスをはります。

 

二か所のふかし壁が完成しました!キッチンのタイルをはいだ壁や配線がうまく隠れて、スッキリして見えます!

だんだん部屋らしく整ってきましたね。
まだ整っていないところ…ふかし壁の上にある「すき間」にご注目!
次回は、この「すき間」を埋めていきます♪

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