フランス語と僕 Ⅱ. 壁
フランス語との “直接的な” 出会いは、ではどこだったかと考える。
記憶を辿れば、僕がはじめて「フランス語」をそれと意識して目にしたのは大学一年の夏、まだ自分がフランスに行くなんて思ってもいなかった頃、仏文志望だった例の友達に連れられて入った仏文事務室でのことだ。僕はどういうわけか、フランス語の参考書を見せてもらっていた。当時は第二外国語としてドイツ語を勉強していたから、「ドイツ語とどこが違うんだろう?」くらいのシンプルな興味だったように思う。
ページをめくると、僕は "