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音楽劇「金色のコルダBlue♪Sky Second Stage」感想

 音楽劇「金色のコルダBlue♪Sky Second Stage」の2016年12月10日13時回を見てきました。

・音楽劇 金色のコルダ Blue♪Sky Second Stage
http://corda-stage.com/second/
※公式サイトですがリンク切れしてます。

ちなみにこの舞台は、「First Stage」、「Prelude of 至誠館」と関連した話になっています。
以前の舞台の感想はこちら。

 リンク先でも簡単に書いていますが、今作は音楽科の高校生たちがアンセンブル(少人数での編成)で全国のトップを競い合うお話です。わあ、なんて少年漫画で取り上げられそうなテーマなんだ!その正体は乙女ゲーム!熱い、熱すぎる!
 前回は地方大会の話で、今回は星奏(主人公率いる学校)VS神南の全国大会編になっています。

■ 感想を語る前に

 感想を語る筆者の状況を説明します。「First Stage」、「Prelude of 至誠館」を観てからコルダ3をプレイし、数人攻略済みの状態で観劇しました(ちなみにFirst観劇時はゲーム一切やってません。コルダ無印系のみプレイしてました)
 コルダ3をプレイしたことでわかったのですが、ゲームをプレイした後にFirstのことを思い返すと本当によくまとめられてるなと感心します。これが前回多くの人が味わった感動!前回観てない方は是非観てね!!!!


■ プレイしたからわかる「ゲームとは異なる所」

 今回はゲーム一通りプレイしたし、一部プレイ出来てない人もいるけど事前知識はばっちりなはずなので役者さんの細かな動作とか表情とかキャラクターと比べてじっくり観劇出来るぞ!今回も演出が楽しみだなぁ!とワクワクしつつ挑んだんですがね、もうね、愕然としたよね。良い意味で裏切られた。たしかにゲーム本編と要点は同じはずなのにまるっきり話が違うんですよ。
 要所要所はゲーム本編で見たことがあるエピソードなんです。けど印象が全く異なってた。例えば、ゲームでは主人公であるかなでちゃんがみんなを勇気づけたり、引っ張ってきたり、何かが変わるきっかけを作ったりしていました。それが違う。主人公が変わってるとかそういう話じゃない。群像劇になってる。みんなの物語があって、みんながその物語の主人公になってる。それぞれの背景や、思想や、目的が、交差しながら物語が進んでいく話でした。兄弟、親子、部長副部長、友人、知人、いろんな関係性の友情、嫉妬、憎悪、信念など、本当にたくさん描写されていました。知らないシーンがたくさんあったのも原因のひとつだと思いますが、話の組み立て方が変わるとこんなに印象が変わるんですね。ほんとすごい。
それぞれの主役たちのことを語っていこうと思います。


■ 響也について

 前作の主人公は響也で、VS至誠館の時に落ち込んで、そこから自己肯定が出来るぐらいまで前を向いてくれたので、今回響也はどうなるのかとドキドキしていました。主に心配で。また落ち込んでしまわないか本当に心配で。
しかし響也は成長していた。次に神南と戦うために、兄・律くんとのマンツーマンのレッスンで響也はダメ出しをされます。「ダメだ」「やり直し」という台詞が、響也に突き刺さります。律くんはただ響也を信頼して厳しく接してるのは前回を観てればわかる(あとゲームやっていれば)。しかしその台詞はFirstStageにて何度も何度も響也の嫌な思い出として繰り返されてきた台詞と被る。一番憧れてる人に一番嫌なことを言われている…と戦々恐々だったけれど、響也は嫌になりながら、でも前向きに練習します。その姿勢が成長を感じさせてくれて、思わずうるっと来ました。
 と書いてる途中に思い出しましたが、つまりこれは「教えを乞う」イベントってことか!なるほどなーー!!(ゲーム本編のイベントの一部です)

 また、今回の話ではかなでちゃんがひどく不安定になります。こちらは後述するので置いといて、かなでちゃんが不安定になってもうムリだ……となった時にいの一番に響也がかなでちゃんを助けてくれる。かなでちゃんだけではなく、アンサンブルのことも考えて助けてくれる。このアンサンブルでやりたいと言ってくれた。そして無事勝ち進むことが出来ました。
この大会では、響也がいなければ勝ち進めなかった。響也がアンサンブルの支えとなってくれた。このことが!!!前回の成長を感じられて!!!本当に感動しました!!!!きょ、響也ーーーーー!!!!
※ちなみに原作ではこんなシーンありません。素晴らしい展開を入れてくれてありがとう脚本家さん


■ 律くんについて

 響也の兄・律くんの焦点の当て方にちょっと驚きました。律くんは怪我をしておりドクターストップがかけられたため神南と戦う時には演奏する事ができません。原作では治療に専念する、というようにさらっと流されていたと感じました。ですがこの舞台では「自分がひけなくなった時、楽器をひける者へ嫉妬する」律くんが拝めたのは驚きです。驚きですが、とても人間らしいと思います。ゲームの律くんのキャラクター性を考えるとただ純粋に羨ましいって気持ちな気がしますが、役者さんの演じ方としては嫉妬だったのかなって印象です。
この嫉妬を出したのは一瞬のことでしたが、それを響也に対して出したのが個人的にとても良かったです。律くんは響也に対して甘えることが出来たんだなと嬉しくなりました。

■ 東金さんについて

 神南の東金さんが父親に対して思うところがあるのはゲームでほんの少しだけ匂わされていたので知ってました。ですが、父親に認められたい・認めさせたいという願望や裏話があるなんて知らなかった。これはFDのお話……?
 東金パパが最初は冷たいのに東金さんの思い出の中ではものすっごく温かい人だったり、幼いころは父親に認められていてそれが嬉しくて誰かを楽しませる音楽をしたいと思ったり、そんな小さな願いが自分の中で確固たる信念になったり、その信念が父親(一番認めてもらいたかったであろう人)に全否定されて苦しんでたり、それでも信念を貫き通したり、最後の最後には父親に少し認められて千秋が泣いちゃったりとか、もう最高でした。自分の信念を貫き通す姿は最高にカッコよかったです。


■ 冥加先輩について

 知ってるシーンが舞台でたくさん出てきた冥加先輩でした。楽器店での出会いや、かなでちゃんに覚えられてなくて憤ったり。ただ冥加先輩については、今回「謎の人物がかなでちゃんに恨みを抱いており、その人物から何度も何度も憎悪をぶつけられる」ということをメインにしてるらしく、そのおかげでかなでちゃんは精神的にひどく不安定になります。だからこそ上記したとおり響也くんがアンサンブルの中心人物になります。
 うんまあ正直話したいところはそこじゃない。役者さんについて話したい。役者さんが「冥加玲士」を崩さなくて、本当に、すごい。
 歩いてる時も、喋る時も、踊る時も、歌う時も、拍手する時も、触覚(?)を払う時も、衿をなおす時も、全部冥加玲士。冥加玲士が崩れない。歌う時も踊る時も面倒そうだし、拍手する時は渋々…みたいな感じの拍手だし(まさにゲームの「ブラボー…」って言いそう)、踊って触覚(?)が顔にかかる時邪魔そうに振り払ってるし、黒いシャツ?の衿を正す時に「すっ…」って効果音がするように正すんですよなんだよこの冥加玲士すごすぎかよ!!!!冥加玲士実在したわ!!!!!
 舞台挨拶の整列時も舞台公式twitterでも全部嫌そうな顔してるんですよ!?完璧かよ!!!冥加玲士かよ!!!!冥加玲士だよ!!!!!
もうこれは、なんでもいいから是非見てほしい。冥加玲士はそこそこ好きだったけど舞台見て物凄く好きになってしまった。


■ その他、焦点が当たった人について

 長く書きすぎる気がするので箇条書きで。

・土岐さん…こんな病弱キャラだったのかと驚きました。これもFD要素かな?病弱キャラなのに熱かった。
・芹沢くん…ヒエエエエエエ女装強制ヒエエエエエエエ
・神南バー…すごく良い。何度見ても笑えます。芹沢くんなんでも出来てて笑いました。
・ライブ…神南はいつも通り素晴らしいライブをしてくれましたが、星奏が自分の殻を破るために路上ライブしてみよう!という発想になったのはすごく良かった。うーんこれゲームで見たいな~!と思ったけど、そもそもゲームでは路上ライブもどきをやってたな…?


■ かなでちゃんについて

 ここまで絶賛してきましたが、唯一受け入れられなかったのはかなでちゃんのキャスト変更だなぁ…。
前回までのかなでちゃんは元気!はつらつ!って感じだったのですが、今回のかなでちゃんはものすっっっっごく儚かったです。主に声が儚い。いやストーリーの方向性としては一致してるんです。冥加先輩は憎悪をむき出しにして何度もぶつけてくるし、それに恐怖を覚えるのも当然。恐怖を覚えて不安定になるのも当然。冥加先輩と対峙する時なんかあまりに儚すぎて観てるこっちが不安になるくらい。本当に吹けば倒れそうな儚さでハラハラしました。
 この儚さがストーリー上でも加速してヴァイオリンの演奏が不安定になります。演奏が不安定なので、本来なら千秋はかなでちゃんに興味を向けるところ、この舞台のシナリオでは響也に興味を向けます。いやこの儚さなら納得なんですけど、私が受けたイメージだとかなでちゃんはもうちょっと強い子だったので、なんだか受け入れがたいなぁという印象です。


■ 演出について

 演出家の吉谷さんは毎度ファン心理を掴んで離さない演出をしてるのでとても好きなんです。でも今回の舞台は、なんというか、首がちょっと痛くなったな!
今回ものすごく良い席で見れたので細かいところに注目して見ることが出来たのですが、全体を見ようとすると右側だけすごく高い位置にスペースがあるので、少し見づらかったです。高いスペースに身長高い人物を置かれると首がね?痛くなってね? 恐らく引きで見るととても楽しめるやつなので早くDVDが観たいです。近い席の方が見づらいってすごいな。

 それと、吉谷さんはよくアンサンブル(舞台上の役割を持たないダンサー・賑やかし)を使います。このアンサンブルを使った演出、私はかなり好きなんですがPrelude至誠館あたりから女性を入れてきて、衣装もヒラヒラしだしました。
 その時私はただ単に「わ~ヒラヒラだと踊った時に綺麗だな~」と思っただけだったのですが、今回楽器を持って踊ったり舞台装置の配置をしたりするアンサンブルを見て思いました。もしかしてこのアンサンブル、ファータ(音楽の妖精)だったりする……!?音楽の妖精がまわりを踊ってるということ……!?
一言も言及されてないからたぶん違いそうな気もするけどファータ説の方が私が楽しいのでアンサンブルはファータだったんだよ説を推します。ファータだったんだよ!!


■ オーケストラについて

 前作同様、今回もオーケストラが演奏してくれてます。素晴らしさは以前の通り。迫力満点の生演奏が聴けます。
そして今回ようやく言えました!「ブラボー!」と!!気が済むまで!!
素晴らしい演奏が終わった後に「ブラボー!」と言える、まさに私はコルダの世界のモブでした。何度も聞かせてもらってるし、赤い糸(ゲームで貰えるアイテム)なら私も用意できそうな気がする。


■ まとめ

 今回はゲームやったから圧倒されることもないだろと思ったら圧倒されっぱなしの2時間半でした。
このような2.5次元の舞台は上演された作品のDVDの予約をすることが出来るのですが、毎回「面白かったら予約する」と思っています。毎回面白くて観終わった後に予約してます。今回も楽しかったので是非観てもらいたい。この感想をアップする今日が最終公演日なので今から行くのは間に合わないけど、ニコ生はあるから興味ある方は是非観てください!楽しいよ!!

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