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音楽劇「金色のコルダBlue♪Sky First Stage」感想

 音楽劇「金色のコルダBlue♪Sky First Stage」の2015年9月12日(土)13時回を観てきました。

・音楽劇 金色のコルダBlue♪Sky
http://corda-stage.com/
※残念ながら、First Stageの内容が書いてあるリンクはもう無さそうです。

あまりにも楽しすぎて終わった時間を確認するのを忘れてしまったのですが、だいたい2時間ちょっとの公演時間ですかね。

■ 感想を語る前に

 まず、感想を語る大前提として、私は金色のコルダ3のゲームをプレイしていません。アニメだけ観ました。が、アニメが、えー……まあぶっちゃけるとつまらなくて、流し見程度に見ていました。基本的な人間関係は覚えてますが、キャラ名とかほとんど覚えていない状態です。全話見ていたはずなのに「よく分からねえが特殊演出で背景に変なの出して競い合ってる……!」という認識でした。
 今回のこの舞台、脚本・演出は吉谷光太郎さんが手掛けています。ちなみにミュージカルアムネシアや、ミュージカルハートの国のアリスなどもやっていました。私はこの吉谷さんの演出が大っっっ好きです。なので今回は作品目当てではなく吉谷さんの新たな演出を観ることが出来るのが楽しみで臨みました。

そして当日。観てきました。
ものすっっっごく面白かった……!!あまりにも素晴らしすぎて観劇が終わった後すぐに会場でDVDを予約しました(昨今の2.5次元舞台は会場でDVDの予約が可能となっております)

何が素晴らしいかって全部素晴らしかったので順番に行きます。


■ 舞台美術について

 まず最初は良く目につく舞台美術。正直、簡素です。簡素っていうかほぼ何もない。両端に一段高めの(一人だけ乗れるような)台があり、真ん中に大きめの二段と三段の台があるだけ。
しかし、いざ舞台がスタートすると簡素なのが重要だった。この舞台、この台座を色々動かしてキャラの立ち位置を細かく変更し、シーンに置けるキャラのポジションも細かく動かしていく役目を持っていた……!なんだこれはすごいぞ!!
 他にも譜面台や椅子などの舞台道具があったのですが、台座と譜面台と椅子をシーンによって色々な位置に配置するのはアンサンブル、いわゆるバックダンサーの役割でした。吉谷さんの舞台はこのバックダンサーの役割が本当に良いんです!!基本的に踊りながら配置・回収する。キャラクターの心情を表したり、音楽に合わせて動くバックダンサーが踊りながら自然と配置・回収をする際に舞台全体を使って動いているんです。
なので「舞台全体」を観て楽しめます。右端・左端・真ん中だけなどに動きが寄っていない。全体で動きを、心情を表してるのが吉谷さんの舞台の魅力だと思います。


■ BGMについて

 次にBGM。これは本当にすごかった。事前情報で知っていましたが、実際にオーケストラを呼んで生演奏してくれます。この金色のコルダという作品は演奏家のお話なので、役者の代わりに生で演奏してくれます。うん、そこまでしか知らなかったんですけど、舞台のBGM、ほぼ全てクラシックで、全部生演奏してくれてる……!!!エエエエなにこれすごい!!こんな豪華なのか!!と感動しました。
もちろんSEは別ですが、それ以外は全部演奏してくれてます。つい先日同じようにBGMを全部生演奏してくれるもの(バレエ)を観に行きましたが、この作品にそのチケット代の半分くらいしか払ってないような……??この値段で大丈夫なのか……???と心配になりました。

 また、アニメで使われていた音楽も使われています。アニメOPの「WINGS TO FLY」なんか特にカッコ良かった!あ、これカッコイイ曲だったんだと初めて気付きました!!(初めて聞いた時「うわダサイ」とか思ってましたごめんなさい)
クラシックアレンジでテンポも更に早く激しい曲調に変わっていたのですが、もう、なんというか、最高!!!舞台で使われた生演奏を全部収録して売ってくれ!!


■ ストーリーについて

 次に肝心のストーリー。正直、アニメが面白いと感じられなかったので一番期待してなかった部分です。はい、間違ってました。めちゃくちゃ面白かったです。
 アニメでは主人公の小日向かなでちゃんが音楽に対して挫折を味わっていた時に、幼なじみの律という青年のいる学校・星奏学院へ転校するという転機が訪れます。転校してから律や、もう一人の幼なじみの響也と一緒に全国大会で優勝を目指すお話でした。
 舞台では、かなでちゃんではなく幼なじみの響也くんが主人公です。ストーリーの流れは全く一緒なのですが、焦点の当て方が異なります。響也が兄・律に対するコンプレックスなどを中心に描いています。また並行して至誠館というライバル校のお話も描いています。舞台では最初から地区大会である至誠館との対決までとなっています。原作は恋愛シミュレーションゲームですが、恋愛の描写は全くありません。少年漫画のような熱い青春ストーリーでした。


■ キャラクターの描写がすごい

 今回スポットが当たった響也くんのコンプレックス描写がとても凄かったです。コンプレックスを感じてそこから乗り越えていくのがとても良かった!そして律くんの音楽への情熱の表現もとても良かった。クールなキャラなのですが、「ライバルと高め合いたい!」「俺は勝ちたいんだ……!」というセリフに乗った感情に圧倒されました。
 また、星奏学院も良いのですが、至誠館もとても良かった。というかこっちの学校のせいでボロ泣きしました。これは、ずるい!一人の部員の傷害事件のせいで部を存続できるか出来ないかという瀬戸際に立たされているメンバー達の話だったのですが、この傷害事件を起こした火積くん、とても良かった……!星奏学院がメインで語られますが至誠館の人達の話も並行して展開していくので、星奏学院に感情移入しつつ至誠館にも感情移入してしまうんです。そうすると両方共勝って欲しくなる。が、結局星奏学院が勝ちます。至誠館は悔しそうに俯いたり呆然としたり走りだしたり……落ち込んでいる人たちが励まし合って前を向くのですが、それがとても良かった……!こんな丁寧に描かれるんだなと感動しました。泣きました。青春って、いいな……!


■ 演出について

 次に、細かな演出方法について。吉谷さんの舞台ではこの演出方法がとても好きなので書いときたい。伝えたい。
 舞台はアニメやゲームのように回想を「同じシーンを再度再生する」という手段で表現することが出来ません。ではこの舞台ではどう解決しているのか。「何度も繰り返す」。
この繰り返し方法は同じキャラが言っていたりアンサンブルの誰かが言っていたり、様々です。舞台が始まってから投げかけられた重要な言葉、なんでもないように聞こえた言葉を「繰り返す」ことによって全く別の側面を見せてくれます。
 例えば、律が響也に向かって「思い出せ、お前には天賦の才があったことを」と言うセリフがあります。最初の回想では響也はこのセリフを重荷と捉えてるようでした。そして二度、三度と何度もこのセリフが出てきます。そしてストーリーが進行していく上で、律が音楽に対してとても真摯なことがわかります。何度も繰り返されるこの言葉が、響也に音楽の才能を取り戻して欲しいという願望のように聞こえてきます。
そして響也が見事に曲を弾き終え、至誠館に勝った時、再度回想でこのセリフが出てきます。そうすると同じセリフでも「よく戻ってきてくれた」「やはり響也には天賦の才が、素晴らしい才能があった」「自慢の弟だ」みたいに感じられるんです。「響也の中の律くん」に「響也が認められたと認識した」というように取れるんです!!自分への自己肯定という演出になるんですよこれがー!!
これ以外にもこの手法で色々な感情を描写しています。これ本当にすごいんですよ……!!


■ 舞台と客席の一体感

 吉谷さんの舞台は、やはり客と一体になる舞台にするのがうまいなーと思います。拍手や手拍子、合いの手などをスタッフ・役者・客が一緒に作り上げて「楽しい舞台」になっていく一体感、楽しいです。是非会場で一体感を味わってもらいたい。


■ まとめ

 この舞台、ものすごく面白かったから興味ある人で観てない人は是非観てください!!生で観れるなら生で観よう!!無理ならニコ生!!そしてお金が集まってセカンドステージ作ってくれるの待ってるから……!!
 あとこの舞台観てやっぱり吉谷さんはファン心を察して面白い舞台を作り上げる天才だな、神だなと思ったので今度やるヘタリアのミュージカルも絶対観に行きます。あーーー楽しいことがいっぱいだ!!人生充実してて楽しいなーーーー!!!

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