文【文字の形】

巡る。廻る。めぐる。

僕ら物書きは、自分の知らない無意識の、深層心理の中でさえも。

言葉がめぐっているのだろう。

いや、言葉ですら無いのかもしれない。
単語かもしれないし、つらつらと連なった意味不明な文字の羅列かもしれない。

それを書き出して。書いて書きまくって。
自分でもなにを書いているのか分からないくらいに書き出して。

やっと認識できる形になるのだろう。

それをさらに、削って磨いて。
どうすれば良いのか考えて。
叩き割ったり、粘土のように捏ねくり回したり。
薄く伸ばしたり、厚みを出したり。
考えて考えて、文字を感じながら。

やっと整った形になるのだろう。

それが当たり前だと思う人もいれば、苦痛だと思う人もいる。
楽しいと感じる人もいれば、悲しみを感じる人もいるだろう。

だから書くんだ。
自分の形を見つけるために。

巡って。廻って。めぐって。

僕らは文字の形をめぐり続ける。