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毎朝ドリップ #023 2024.05.10 と、うつの話

朝、だるくて起き上がれなかった。

昨日飲んだデエビゴ(睡眠薬)が効きすぎているのか、寝る間際にショッキングなことがあって、思考がぐるぐる回っていたから眠りが浅かったのか、とにかくだるい。
泥の中にいるようなだるさ。身体に纏わりついてくる空気が重い。脳の中に鉛が詰まっているようで頭が回らない。

やっとの思いでベッドを出て、部屋中のカーテンを開け、ベランダの窓を開け、とにかくお日様の下に自分を引き摺り出す。

朝の少し冷たい空気を鼻から頭に入れ、細く長く、鉛を吐き出す。
30分くらいそうしてボーッとベランダに座っていると、少しずつ少しずつ、泥の中から出てこられる。

「自分は『うつ』と診断を受けているが、症状はそんなに重くない」「まだ頑張れるのに頑張っていない、逃げている」と自認しているけど、身体がだるい、頭が働かない、ベッドから動けない、というのは、うつの症状のひとつ。

私も歴としたうつ病患者か。

ノロノロとキッチンへ移動して、ダラダラと道具を準備して、今日も今日とて、ハンドドリップ。

コーヒーの一式を保管している引き出しを見ると、少しずつ余っている豆が3種類。
全部足すと、ちょうど25〜30gくらいになりそう。
コーヒーを2人分、400mlで淹れるには、ちょうどいいくらいの量の豆。

3種類の豆をミルに入れる。
焙煎の度合いも、産地も異なる豆が、3種類。ミルの中で、3層に重なっている。
挽いていくと、豆と豆の境界線で、手応えが変わるのを感じる。
ザリザリから、カリカリ、そしてガリガリ。

「余り物の寄せ集めブレンドだ」と思ってふと、昨日観た、NHKの山口一郎さんの特集を思い出す。
サカナクションは、実力とやる気はあるのに機会に恵まれず、地元で燻っていたはぐれものたちを呼び集め、結成したバンドだと言っていた。

余り物の寄せ集め、いいじゃん。上等だよ。

我が家の『余り物の寄せ集めブレンド』は、飲み口は軽く明るい、だけどコクと甘みも、コーヒーらしい苦味もちゃんと感じられる、いっとう美味しいコーヒーになったよ。

私はうつ病患者で、回復の途中で、色んなことができなくて、ポンコツで、だけど美味しいコーヒーを淹れることだけは出来る。

お日様の下で、身体に残ったデエビゴを溶かしながらコーヒーをすすり、「まあ、それでいいじゃん」と思うなどした。

そんな朝。

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