マニラ
以前の自己紹介でも書いたけれど、私は一時期出合い系を使っていろんな人と会っていた。仕事は忙しかったし趣味や友達もいたし、暇ではなかった。でも家に帰って一人になると、突如孤独に襲われた。
誰かと話したくて。繋がっていたくて。
私がどんな人間か知らなくても、会いたいと思ってくれる誰かに会ってみたくて。
全く知らない誰かの生きてきた人生の話を聞いてみたくて。
いろんな理由があったんだと思う。性別、年齢、国籍関係なくいろんな人に会ってみた。一番最初に会ってみたのは同じ職種に就いているって事で仲良くなった "マニラ"。少し特殊な仕事をしていた私たちはその話で盛り上がりすぐに気が合い、よく会うようになった。1ヶ月くらいしたらほぼ恋人のような関係になっていた。
なっていた、というのはお互い告白したわけでもなかったけど、休みが合えば2人で会い、恋人たちのように一日を過ごした。"マニラ"という名前は彼の学生時代についたあだ名。堀の深い顔立ち、天然パーマがマニラにいそうな男性って意味で付けられたらしい。
マニラは仕事の話、自分の友達や家族の話、本当はバンドマンになりたかった事、モテてたけど実はちゃんと付き合ったりした経験がなかった事、仕事を海外でやってみたいと思ってる事とかを、生まれたままの姿でベッドに横たわりながら何でも私に話してくれた。私にはない情熱が彼にはあって、その話しを聞いてるうちに私も熱くなった気がした。知らないはずだった人の知らなかった人生。なんて魅力的で素敵なストーリーなんだろう、と。それからの私は、出会えた人たちからの、その人の人生ストーリーを聞くのが楽しみでたまらなくなった。