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被写体と思い出

たとえば

誰かにもう一度会えるとしたら

そんなことを考えたりした事ありますか?

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彼は普通の会社員、なんだけどそうは見えず。バイク通勤、スーツなんて着てない。仕事はやりがいあるし好きだと言ってた。でも、もっと好きなことがあった。

彼は写真家、そしてDJ、花火師、トラベラーでもあった。好きなものはとことん極めたい性格なのか、とても物知りだった。

私は彼の撮る写真が大好きだった。被写体の一番良い瞬間を絶対逃さない。私も彼と出会った時期に写真を撮ることが趣味だったので、一緒に同じものを撮って練習したりしたけれど、彼の写真とは似ても似つかないものだった。

ある日、彼が最近撮ったという写真を見せてくれた。そして1枚の写真に目が止まった。女性がコーヒーカップを手にして微笑んでいる、その微笑み方から、私はこの女性は彼の彼女だと思った。

素敵な彼女だね、と正直に言うと

ありがとう、でも彼女じゃないんだ と。

聞くと、知り合いに写真の練習のため被写体になってもらったらしい。そういえば私と出会った時にも、いつか写真撮らせてもらいたいと言われたことを思い出した。

私の写真も撮りたいって言ってたよね?

と改めて聞くと、彼は頷いた。そして、でも と。急に真剣な顔になった。

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