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潮彩の僕たちは宛てのない道を歩く

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2021年8月の記事一覧

第41話「潮彩の僕たちは宛てのない道を歩く」

吉祥寺駅から五反田までの道のりを、彼女は常に笑顔で話していた。それは彼女が慣れてきた証拠…

第40話「潮彩の僕たちは宛てのない道を歩く」

夕方になった頃、僕は一度、桃香のアパートへ寄った。日曜日だったし、桃香の声をずいぶん聞い…

第39話「潮彩の僕たちは宛てのない道を歩く」

ポニーテールが揺れると、彼女は結び目を外そうとした。僕はその手を止めに入り、首を横に振っ…

第38話「潮彩の僕たちは宛てのない道を歩く」

喫茶店で何時間過ごしたんだろう。僕は、一度も家に帰ることなかった。桃香のアパートへ寄ろう…

第37話「潮彩の僕たちは宛てのない道を歩く」

酒は美味しくない。それが僕の感想だった。初めてのアルコールがウィスキーのロックだったのが…

第36話「潮彩の僕たちは宛てのない道を歩く」

ご機嫌に話しまくるマスターの横で、北城さんも楽しそうに会話を弾ませていた。四人だけの歓迎…

第35話「潮彩の僕たちは宛てのない道を歩く」

ワイングラスを磨きながら、僕は若干うわの空だった。北城さんの下の名前名前を聞いたとき、僕は見知らぬポニーテールの女の子が言った名前と重ね合わせていた。 『北城美鈴』と彼女が言ったことを覚えていた。 そして、彼女の名前は美鈴。北城美鈴と見知らぬポニーテールの女の子は知り合いで、あの夜出会ったことになる。まさか、同姓同名なんてオチなのか?その可能性も無くはない。ここで僕が彼女に聞けば済む話だけど、どうしてもその勇気が持てない。 何故なら、彼女が大人の成人式を知っているという

第34話「潮彩の僕たちは宛てのない道を歩く」

雨上がりの金曜日。僕はアパートの鍵をかけて街へと向かった。専門学校に通っていたが、入学し…

第33話「潮彩の僕たちは宛てのない道を歩く」

白に近い光は、やがて薄暗い光に調節された。瞼の上から感じる程良い光は私の感覚を現実へと呼…

第32話「潮彩の僕たちは宛てのない道を歩く」

誰かに話しても無駄なことは沢山あった。伝わらなければ意味がないから。千夏先生から教わった…

第31話「潮彩の僕たちは宛てのない道を歩く」

確か、桃香はこの部屋を慎重に選んでいた。あのとき、僕は何故それについて聞かなかったのか。…

第30話「潮彩の僕たちは宛てのない道を歩く」

真っ暗な部屋だった。理由は、僕が瞼を閉じていたからーーーー意識が脳と繋がった瞬間、僕は閉…

第20話「潮彩の僕たちは宛てのない道を歩く」

選んだ部屋の扉を開ける。未知なる世界が僕の目の前に広がった。恋人たちの憩いの場であり、二…

第29話「潮彩の僕たちは宛てのない道を歩く」

甘い香りが強くなったとき、私はあの謎の声を再び聞いた。内緒話みたいな声がパーテーションの向こう側で囁いている。姿は見えないけど、二人が話し合っているようだ。 そして、私は一人の声に見覚えがあった。あの声は私の兄に間違いない。でも、どうして兄が大人の成人式に参加しているのか? どうして私に言わなかったのか? 奇妙な声に謎は深まるばかりだった。 兄は大人の成人式へ参加してから変わった。見た目とかではなくて、内面的に変わったのだ。優しくて家族思いの兄だったけど、大人の成人式