第35話「潮彩の僕たちは宛てのない道を歩く」
ワイングラスを磨きながら、僕は若干うわの空だった。北城さんの下の名前名前を聞いたとき、僕は見知らぬポニーテールの女の子が言った名前と重ね合わせていた。
『北城美鈴』と彼女が言ったことを覚えていた。
そして、彼女の名前は美鈴。北城美鈴と見知らぬポニーテールの女の子は知り合いで、あの夜出会ったことになる。まさか、同姓同名なんてオチなのか?その可能性も無くはない。ここで僕が彼女に聞けば済む話だけど、どうしてもその勇気が持てない。
何故なら、彼女が大人の成人式を知っているという