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体の柔軟性は性別、年齢で違うのか?

皆さんは性別、年齢により体の柔軟性に違いがあると思いますか?

まずイメージとしては
性別としては男性は体が硬く、女性の方が柔軟なイメージ
年齢では若年者の方が柔軟で、高齢者の方が硬いイメージです。

たぶん皆さんも同じイメージではないでしょうか。
確かに私も臨床経験上、男性より女性、高齢者より若年者で柔軟な事が多かったと思います。

それについて今回まとめましたので是非御覧ください。

①関節・身体の柔軟性

まず柔軟性として関節と身体全体での話をしていきます。

関節の柔軟性として医療従事者、特にリハビリの方であれば関節可動域(ROM)を計測して、近習の数値と比べてどの程度動くか見ます。

関節可動域だけでなく関節弛緩性の評価方法もある。検査手段として今回はCarter基準を紹介します。

Carter基準
1つの関節が陽性で0.5点、左右陽性で1点の合計5点満点です。
①親指を手のひら側に曲げて腕まで届く
②指を反らせた時に腕と平行になるまで
 反ることが出来る
③肘関節の10°以上の過伸展可動
④膝関節の10°上の過伸展可動性
⑤足関節の背屈が膝伸展位で30°以上、
 膝屈曲位で45°以上可能

②柔軟性の性別差

性別による関節・身体の柔軟性について以下の様な研究結果があります。

加賀谷らによるバスケットボール部の高校生の全身弛緩性と関節可動域の測定を行った
全身弛緩性において男女間での差が認められず、関節可動域においては足関節背屈、股関節外旋で男性有意、股関節内旋において女性の方有意という結果となった。
古後らは大学2年生の健常者の身体柔軟性と関節弛緩性を評価したところ
性差を示した項目は身長、体重、関節弛緩性スコアで見られ、その他指足尖間距離、指床間距離、膝床間距離、中指-中指間距離では
性差が認められなかった。

他性別による柔軟性として女性ホルモンと柔軟性についての研究が多く、月経周期での女性ホルモンの分泌量により靱帯弛緩性が増すといった
結果となっています。

③柔軟性の年齢差

年齢による関節・身体の柔軟性について以下の様な研究結果があります。

村田らは、健常成人と障害高齢者の足部、
体幹柔軟性、足関節背屈角度の測定値を比較したところ、体幹柔軟性、足関節背屈可動域は健常成人の60%程、足部柔軟性は40%程と報告されている。
Birrellらは、西アフリカの6~66歳の対象を年代群別に評価した研究では、最も若い6歳~15歳群で最も弛緩性が高く、加齢に従って弛緩性が低くなるとしてる。
松村らによると、関節可動域は男性・女性共に中年・高齢群が若年群より有意に小さい値を示しており、年代では男性では40-50代の中高年、女性では60-70代の高齢で生じる事が明らかとなった。

他文献でも加齢と共に柔軟性が低下する文献がほとんどであった。
理由として加齢による関節周囲の軟部組織の退行生変化が主な理由として考えられる。

④まとめ

年齢・性別による柔軟性の影響として10代前半までは性別差はあまり見られないが、10代後半から女性ホルモンの関係で性差が顕著に出る。

そこから男性については年々柔軟性が低下、女性も徐々に低下を示すが男性よりも低下が緩やかであることがわかった。低下が緩やかな理由としても女性ホルモンの影響ではないかと考えられる。

参考文献
・加賀谷善教 他:高校バスケットボール選手
 に対するメディカルチェックの性差─膝外反量
 とその要因に関する検討─.日本臨床スポーツ  
 医学会誌,2009,17: 353-361.

・古後晴基 他:身体柔軟性と関節弛緩性における
 性差および関係性.ヘルスプロモーション理学 
 療法研究,2015, 4: 189-193.

・村田 伸 他:足部柔軟性の再現性と妥当性に 
 関する研究─健常成人と障害高齢者における
 検討─.健康科学,2005, 27: 48-55.

・Birrell 他: High prevalenceof joint laxity in 
 West Africans. Br J Rheumatol, 1994, 33:  
 56-59.

・松村 他:下肢の関節可動域と筋力の年代間の相違
 およびその性差ー20-70代を対象とした
 横断研究ー.理学療法科学,2015,30:239-246.

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