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映画はまるで船旅のようだ

遠く離れた誰も見たことがない「夢の島」を目指したい。あるかどうかも分からないけど、そこに行きたいんだ。

こんなワガママを言うのが監督である僕で、「行きたい」という感情を僕は【企画】と呼ぶ。

僕は一人で船を作り始める。
いつ沈没するかも分からない出来だ。正直、これに乗って例の島まで到達できるとは思えない。そうだ、船を創るのが上手いやつを呼ぼう。

こうして僕は仲間を探す。
「また船を作ってるんだけどさ、手伝ってくれないか?」
「また作ってるんですか、懲りないですね。分かりました。目的地はどこですか?」
「夢の島だ。行き方は知らない。地図が無いんだ」
「……。分かりました。まず地図を作りましょう」

こうやって、僕は【プロデューサー】を見つけ、進路すら分からない船旅のパートナーと出逢う。

僕は色々調べて、だいたいの地図を完成させる。【脚本】だ。最初にパートナーになった彼は船をグレードアップしてくれていた。

僕らは地図を片手に、船を漕ぐ。
しかし二人の船旅には限界があった。

空腹だし、船の一部は破損しているし、ヤバい。途中立ち寄った島で、色んなことを言われた。
「君たち、無謀なことをしてるね。バカバカしい」
「その船はいつか必ず沈む。怖い怖い」
悔しかったし、辛かった。一緒に乗った彼の顔を見れない。

だけど一個だけ出発したときから変わらない気持ちがある。

夢の島は必ずある

この気持ちだけは変わらなかった。
そんな僕らを見ていた人が声をかけた。

「実はな、俺も夢の島を信じているんだ。これ持って行ってくれ」と、食料や船を修理するための材料をくれた。

僕らの夢はバカにもされた。
だけど、一緒に夢を見てくれる人もいた。

いつのまにか船には、たくさんの仲間が乗っていた。【技術】【美術】【制作】など僕にはできないことができる仲間たちだ。

船長である僕は、船員にグレードアップした地図を見せた。「きっとこの通りに進めば、夢の島がある!」

そして夢の島を見つけるために必要不可欠な人を探しにいく。彼らがいなくては夢の島にたどり着けない。そして自分では決してできない能力を持った人たち。【俳優】だ。

いろんな島で夢の島に行く仲間を呼びかけた。そして僕ととことん話し合った。「長い旅になるよ。覚悟はできてますか?」と。この【オーディション】で出逢った人たちを船に乗せ、あやふやだった地図は確信を持てる地図に変わった。

しかし、船員が増えるとこんなことを言い出す人もいた。

「船長のやりたいことは分かったよ。けど、それは夢の島じゃなくてもいいんじゃないか?」

「夢の島はまだ見えてこない。近くの星の島にしよう」

僕は考えた。せっかくここまで一緒にやってきた仲間たちだ。だけど……

そもそも夢の島を目指してなければ僕は船すら作っていない。

僕は僕の仕事をした。
それはたった一つ。
夢の島に行きたいと言い続けること。

長い長い船旅は続き、船員は疲労困憊している。僕は船を前に前に進めた。

二年後。
疲労で笑顔は消え、食糧も尽きてきている。
そんなボロボロになった僕らは遠くに夢の島を見つけた。
誰も見たことのない島を見つけた。

僕は最初に仲間になった彼に言う。
「あったな。夢の島」
「はい」

最後の力を振り絞り、夢の島に到着した。
とても気持ちが良かった。
みんな喜んだ。

そして僕はまた懲りずに言う。

「さあ、次はどこにいく?」

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