マガジンのカバー画像

素敵を保存

45
是非知って欲しい作品群。やさしくて面白くてジンと来るもの。いいなと思ったイラストも。
運営しているクリエイター

#エッセイ

4月までに彼氏ができなかったらジムに通おう②

【episode1 】 時報男 昨年の12月半ばに1度だけ食事に行ったひとつ歳上の彼から、毎週末LINEが来る。 見た目は普通にタイプ。仕事は、JAFの下請け業者で車関係の機械トラブルがあったら出動するスタイルらしい。 私は土曜日まで出勤してるので、その時間に合わせて、定時を少し過ぎた13時〜13時30分頃、必ず 「今週もお疲れ様〜!」 とひとことLINEがくるのだ。 その後、5通ほどやり取りをして、いつも彼からのスタンプで会話は終わる。 私はいつのまにか、毎週彼

巷のイイ女論争より夏木マリ

自立した女がイイ女 みたいな風潮あるけど、 自立ってなんなんだろう。 金銭面の自立と精神面の自立を 両立しているということ? 家賃を自分で払って、光熱費も払って、 1人で生活できるくらいの給料を いただいていて。 貯金をそこそこしていて、 欲しいものは自分で買う。 これが 金銭面の自立が上記になるのだろうか。 恋人からラインが来なくても騒がず、 会えない時も寂しがらず、何かしら趣味があり、ときどきあう友達がいて、1人でも過ごせる。仕事も頑張っていて自己を肯定できて、

裏切ったのは、僕だった

小学生のときに一緒にサッカー選手になる約束をした友人がいる。平日だけでなく、土日も一緒にグラウンドでサッカーの練習をする毎日。彼の家の前で壁蹴りをしていたときに、近所に住むおじさんに「うるさい」と叱られた思い出が今も鮮明に思い浮かぶ。 友人がキャプテン翼にハマった。僕も同じようにハマり、翼くんのドライブシュートや日向のタイガーショットなどを何度も真似した。ある日、友人がロベルト本郷のバーに当ててからオーバーヘッドをするプレーを真似しようと言い出した。オーバーヘッドは大怪我に

うつくしいですね、と言われた話

「うつくしいですね」 そう言われました。仕事の飲み会で、一緒に飲んでいた30代の男性に。 「いやほんと、信じられませんわ。YouTubeとかやったほうがいいですよ、まじで」 わたしは「いやあ、そんな」とヘラヘラと笑いました。 嬉しかったかって?普通、嬉しいですよね、「美しい」って言われたら。いや、そうでもないのかな?みんなはどうなんだろう?わたしはね、嬉しくなかったです。それどころか、とんでもなく気まずくて、バカにされたような気さえしました。 30代までは、「きれい

noteは、文章力でなく「肩書」で読まれている。

そんなの当り前だろう!!!と思いながら、それでもあえて当たり前の事を書こう。 主に、文字が主体のnote記事についての話である。 もちろん、自分なりに工夫して努力して、頑張って毎日書いて、色々な方に読んでもらえるようになったなあ……という方もいらっしゃると思う。 努力の程はわからないけど、日々の思いや出来事を生真面目な言葉で綴り続ける方。 ふんわりやさしく温かな言葉でその方の世界へと引き込んでゆき「天才なの?あなた天才なんだよね??」と感服極まれりとなる文章に出会うこ

がんばった、って言おうよ。

がんばって勉強した、と発言することがなんだか恥ずかしいと思っていた時期がある。 わたしは小学校低学年の頃からテスト勉強なるものが比較的好きだった。覚えた分だけ点数が上がるのが楽しくて、どうせなら100点を取りたくて、テスト前はいつもがっつり勉強に励んだ。勉強というよりは、暗記ゲーム、といった感覚だった。 しかし当時、必死でテストに備えているのは少数派で、多くのクラスメイトは、どこがテストに出るかよりも前日のテレビ番組の話や、いかに勉強をしていないかについて盛り上がっていた

心にズカズカ上がり込んでくれ

デリカシーのない人は嫌いだ。 人の心に土足で上がり込んできて、空き巣のように引っ掻き回して。 取り残された僕は、乱された心を整えるのに時間がかかる。 自分のペースを乱されたくないから、多分僕はデリカシーのない人が嫌いなんだと思う。 けれども、僕はこれまで心にズカズカ上がり込んでくる人たちに助けられてきた。 そんなことをふと思ったのは宿木雪樹さんのこのnoteを読んだから。 「仲間に入れて」 僕はこんな簡単な7文字を伝えることができない人間だ。 斜に構えて物事を

思い込みの呪いと、4000字の魔法

「奈美と結婚しても、ダウン症の弟くんの面倒を見る自信がない」 高校生の時、付き合っていた彼氏が言った。 ショックだったのは。 明るかった彼の、思いつめたような表情でも。 とつぜん切り出された、将来の話でも。 障害のある弟を、否定されたことでもなかった。 っていうか結婚とか急になにを言い出してんねん、どうしてん。 なにより「弟は私に面倒をかける存在で、私がその面倒を見なければならない」と思われたことがショックだった。 今まで、弟を面倒だと考えたことがない。 そりゃ弟

弟が万引きを疑われ、そして母は赤べこになった

高校から帰ったら、母が大騒ぎしていた。 なんだなんだ、一体どうした。 「良太が万引きしたかも」 良太とは、私の3歳下の弟だ。 生まれつき、ダウン症という病気で、知的障害がある。 大人になった今も、良太の知能レベルは2歳児と同じだ。 ヒトの細胞の染色体が一本多いと、ダウン症になるらしい。 一本得してるはずなのに、不思議ね。 「良太が万引き?あるわけないやろ」 ヒヤリハットを、そういう帽子だと思っていた母のことなので。 「ちゃうねん!あるんやて!」 ニコラスケイジ