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【ネタバレなし感想】劇場版Fate/stay night[Heaven's Feel]第2章

HF2章、観てきたよ!!初日舞台挨拶(LV込み)で合計3回。

まだ観てない人もいると思うので、ネタバレなしの感想を。

観終わって一夜明けただけのテンションなので、ほぼ頭の中垂れ流し。文章まとまってない部分もあるので各自で補完してくれな。

一部、ストーリーに触れない範囲で、舞台挨拶とパンフの監督コメントのバレがあります。

2章のすごかったところ

もう全部すごかったよ。濃厚でジェットコースターみたいな映画だった。原作未読の旦那は広辞苑くらい分厚い本を内容ごと頭に叩き込まれてるみたいだったって言ってた。

原作プレイ済みでも、没入して感情揺さぶられるからほんとすごいよ。声上げて泣きそうになるの抑えるので必死だった。

桜と士郎の描写はほんとパーフェクト。このお話を桜と士郎を主軸に描くという強いISHIを感じる。原作の心理描写を、大事なところは押さえつつ映像として見やすいように再構成したのはすごい。

役者の芝居もすごいけど、絵の芝居もすごい。表情の変化がほんとにすごい。

桜は詳しく映像化されるのが初めてだし須藤さんの愛でどれも見応えあるのはもちろんだけど、私は特に士郎の表情に心をかき乱された。生々しい。生々しいよ。人間だったよ。UBWの表情と見比べてしんどくなりたい。衛宮士郎沼深すぎる。

あとアーチャーもめちゃくちゃかっこよかった。いろんな意味で興奮した。原作から改変もあったけど、アーチャーファンとしては本当に、本当によかった。お前ほんと、かっこいいやつだよ。UBWの三浦監督が演出だってのも感慨深い。

そう、三浦監督といえばアクションシーンは今回シャレにならんくらいやばいから、心して行って欲しい。相変わらずここだけアメリカ映画してるから。変態的。舞台挨拶で近藤社長が言ってたけど爆発だけで動画枚数900枚って何????

バーサーカーは世界で一番強いし、オルタ様は生ける嵐だし、マジでやばいよ。セイバーって、強かったんだなってなるよ。オルタの絶望感半端ない。

2時間の尺の中、アクションもドラマも、少しでもキャラ同士の関係性をこれでもかと映像と演出に凝縮してぶつけてくるので、一寸の無駄もない。余白にさえも。光、背景、色一つ一つに意図があり、沈黙、間、暗転にすら意味がある。

多分原作やってなかったら、自分の考えを挟む余裕すらなかった。これ一回見ただけじゃ全部演出を追いきれない。通う。

HF初見の皆々様は、大変ものすごい映像になってるので期待値100%で行っていただければ。原作プレイ組は何かしら思うところあると思うから、フラットな心で観に行ってほしい。

特に涙もろい人は水分補給とハンカチとティッシュは忘れずにな。飴ちゃんなんかもあるとより楽しめると思うよ。

キャストに恵まれてると感じた舞台挨拶

Fateは、キャストもがっつりファンの人が多い。けど、そうじゃないキャストもいる。それが悪いとは思わない。演者の作品に対するスタンスは人それぞれだ。

けど、むしろそれも含めてSNって作品はいい声優さんに恵まれたんだなって感じた。

渦中にいるキャラの人は作品自体にも思い入れがある。作品の裏側も知ってるからこその芝居だと思う。それはもちろんすごいことだ。

でも、そうじゃない人もいる。

神谷さんが「深く知ってしまうと慎二の芝居に色がつくから、逆に知らないための努力をしてきた」って言ってたんだよね。

関さんも心中はどうかわからないけど、インタビューでは「あまりアレコレと考えずに最初の辻谷耕史さんの演出をベースにやってる」って言ってた。でもそれは的を得ていたし、関さんの泰然自若な演技への姿勢がギルガメッシュのブレなさにも繋がってると思う。

神谷さんも辻谷さんの演出の話してたし。ほんと辻谷さんの功績……って泣いてしまう病気なのでこの辺にしておく。

※辻谷耕史さんはDEEN版の音響監督。Fate/stay nightのキャスト選出と演出に深く関わった。

役者だって人間だから、演技において演者本人のメンタルや知識、置かれた状況って結構影響する。

だからそういうスタンスも含めて、キャラと演者がリンクしてて面白いなって思ったし、演技に真摯な人ばっかりが集まってて、ほんとにいい作品だなって思ったんだよね。

津嘉山さんはあまりインタビューの場に出てくる人ではないので、ぜひいつか臓硯を演じる心中を聴いてみたい。最終章期待してます。

※この先はただの蛇足だからスルーしてくれて構わないよ!

原作ファンとしての悲哀と葛藤

褒めて落とすわけじゃないんだけど、ここはちょっとだけ愚痴らせてほしい。

私は原作を一章前に読み直しただけの記憶が曖昧なファンだったけど、正直「えっ、そこカットするの!?」ってところがカットされてたから結構ダメージを負った。だから、原作プレイ組は、心して臨んでほしい。

カットした分補強もあったけど。でも私はいくつか期待してたシーンの一つをバッサリ、一個はダイジェストになってた。

二章でカットされたシーンは三章で回収されるのか、最後まで観ないとなんとも言えない。でも期待はしてない。入れてる暇なんてないんだろうなあ。だって最終章は名シーンラッシュで展開が濃いから。それこそカットしてる余裕なんてねーだろ!!

ぶっちゃけ、尺足らないからカットしたならもっと削れるだろうってところもあったけど……。これは一章でも思ったこと。いわゆるランサー盛られすぎ問題な。

今回もアクションシーン盛り盛りだったけど、アクションシーンはアニメーターが才能を発揮する場っていう話を読んで、そういう場を設けてくれる会社のありがたみを知ってるから、作り手目線で「それなら仕方ねーな」って思っちゃう。(自分の場合はデザイナーだったけど)だから、あんまり強くは言えない。実際「楽しそうだな」ってのが画面からビシビシ感じるし。

アクション然りドラマ然り、そこは一本の映像作品としてのテンポや、表現したいもののためにその尺が必要なんだろうし、そのために他の部分を泣く泣く削って調整したんだろうってのはわかる。尺の制限っていうのは、伝えたいことを絞り込む必要があるから。

それに須藤監督はどのキャラに対する愛も理解もとても深くて、私はそれを信頼してるから、演出にどれも納得はしてる。クリエイターとしても、表現者としてのスキルも高くて、気付くとニヤッとするような演出入れてくるし、須藤監督は好きなんだよ。

でもファンとしてのわがままな私は「あれ観たかったなあ」「なんでそこカットしたの……?」と恨み節と疑問を抱かざるを得ない部分が今回はどうしてもあった。だからそこは吐き出したい。

もうさ、あと40分くらい伸ばしてやれよ。
大して感情もゆさぶられず、スカッとするために200分も使う作品よりさ、こっちの方を200分で観たいよ。(多くの映画ファンを敵に回す発言)

というか、円盤ではオリジナルエディションになるかと思いきや、尺が120分のまんまでちょっとがっかりだった。ボックスではオリジナルエディションになるんですよね?先輩???(ニッコリ)

あと、ノベルと映像では感じられるもの、伝えられるものの質が異なるから、原作にあったモノローグでの余白やしんどさ、閉塞感、絶望感、みたいなものは映画の中では少し緩和されてたというかなんというか。

ufotableの制作において「原作の読書体験と同じものが感じられる映像を作りたい」ってポリシーは知ってたんだけど、今回ufotableの言う「読後感」と、読者の求める「読後感」は必ずしも一致しないって改めて気付いた。

UBWはアニメから入ったからそこまで気にしなかったんだけど、HFはそのコメントに期待しすぎたよね。

たとえば、あるシーンがあって、それはノベルでしかできないものなんだけど、それをアニメならではの大胆な改変で見せていて、「なるほど、アニメではこうなるのか!」という驚きがあった。

パンフにもそのシーンについて書かれてて「須藤監督天才かよ」って思ったんだけど、そこで思ったのは「原作のどこに衝撃を感じたかという読書体験は、人それぞれで、監督もいち個人だから期待と差異が起きるのは仕方ない」ってこと。

たしかに、Fate沼に来てから「媒体によって表現できるものは違う」と言う事を十二分に実感して、それぞれ補完し合うものと思うようになったんだけど、でもね、やっぱり好きすぎる作品には求めてしまうんだよね。

HFが「嫌い」でもいいと思う

ここからは完全にただの杞憂。一ファン、一オタクととしてのただの余計なお世話。

私自身はたった4年前からFate沼に入ったクソ新参なんだけど、HFが賛否分かれる作品だったってのは方々で聞く。その理由は物語として複雑なのもあるし、プレイ順というゲームの構造もあると思う。

それはそれとして、HFがファンの間で再評価されているのも事実としてある。まあうるさかった人が離れたっていうのもあるだろうけど、ファン自身や文化の成熟、女性ファンの増加、色々な理由で、今HFを再評価する流れになってると思う。

でもHFはやっぱり強烈だ。すごい映画として持ち上げられて、人気ジャンルの原点だの最高峰だのと囃されても、賛否分かれる作品であることは変わらないと思う。そんな簡単に手放しで「好きだ」って言えるほど、単純な作品じゃない。

それはそれとして、クオリティの高い同人誌が人の性癖を変える様に、須藤さんの桜の表現が人の心を動かすこともあると思う。劇場版HFは、ものすごい映像体験を届けてくれるし、それくらいのパワーを持った作品だと思う。

でも、強烈なストーリーラインにパワーのある映像はつまり、観る側に多大なエネルギーを要求するし、人間の闇に慣れてない人や剥き出しの感情に敏感な人が生半可な心構えで観たら魂持ってかれる。

そこで自分の価値観と衝突してHFを、あるいは桜を「嫌い」と思ってしまうことは、ある意味人としての反応として正しい。むしろ、嫌いを押し込めて「人気だから」と思考停止してしまう方が私は怖いと思ってる。

「嫌い」な部分っていうのは、自分の価値観や思い込み、自分の嫌いな部分と通じてたりするから、周りが好きな作品でも「嫌い」という気持ちは否定しないでいて欲しいんだよなあ、なんて老婆心。

ちなみに、私は桜は初めから好きだった。あそこまでではないにせよ似た境遇や体験もあったし、メンタル的にも近い部分があったから、読み進めるのはまあまあ辛かったけど、HFにはすごく共感したんだよね。

っていうか、今だから言うけど、最初は逆に凛に対する想いの方が複雑だった。凛が嫌いな自分と、好きな自分、両方いた。ってそれまんま桜じゃん。

まとめ

あーあ、結局長くなった。

でもこんだけ言ってもやっぱり「とにかく観てくれ。話はそれからだ」ってなる。

たしかに万人受けする作品じゃないけど。誰しもが感情を揺さぶられる。そんな作品滅多にない。その感情の揺らぎを、心の悲鳴を聞かせてほしい。

とにかく人間の根本が詰まってるんだもん。

わからなかった、嫌いだったなら、なんでそう思ったのかに、自分を見つめるのヒントがあるはずなんだ。

あと私は三章予告で最終章まで生きる決心をしたので、ほんと期待してます。ほんと。


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