曖昧なアイデアを、明確なビジネスプランに変える「壁打ち」
テニスの球を壁に向かって打つことを「壁打ち」と言いますが、ビジネスにおいては自分のアイデアを他人に話すことで、考えを整理することを指します。
とりわけスタートアップ業界では、漠然としたアイデアや悩みを聞いてもらうことで、考えを整理し、次のアクションを導き出すことを壁打ちと表現しています。
壁打ちの相手は先輩の起業家やVCなどの投資家、アクセラレーターのメンターや特定の領域に強いジャーナリストやコミュニティマネージャーといった業界の「中の人」であったり、頼れる上司や先輩など身近な年長者が代表的です。
HAX Tokyoでも起業したスタートアップや起業を検討している方との壁打ちをしていますが、ハードウェア領域が中心ということもあり、主なテーマとしては開発・設計や製造に関する悩みや相談を寄せられるケースが多くあります。
代表的な相談例としては、以下のようなものがあります。
こうした悩みに対して、私たちが壁打ちで心掛けているのは「課題の解像度を高める」ことと「意思決定の理由を突き詰める」ことです。
上記の相談例から、実際の壁打ちの様子を再現します。
最適な量産工場が見つからない課題を解決するには、「工場とのネットワークや技術面の知識を補うこと」ではなく、「事業計画を固めること」だったのです。
製造した製品が顧客に売れて、課題解決につながって収益が出ないことには事業は続きません。そのためにも、「誰に、どのような環境で、どのように使ってもらうのか」「年間の目標販売台数や販売方法は?」といった事業計画が必要なのです。製造する上での仕様やスケジュールは、事業計画なしには成り立ちません。
製造を考える際、技術面ばかりに目が行きがちですが、そこには事業開発(ビズデブ)や採用計画、売上計画や資金調達のタイミングなど、さまざまな要素が関係します。こうした要因の深掘りを自分自身だけで進めるのは容易ではありませんので、壁打ちを通じて課題のボトルネックを明らかにすると良いでしょう。
譲れないことを決める
壁打ちをする際、私たちは「譲れないことは何ですか」と尋ねることがあります。
社会課題、技術、市場など、譲れない要素はスタートアップによって異なります。例えば狙う市場や製品のピボットしたほうがいい場合でも、どこに譲れない点があるかを把握しているだけでも、的確な提案がしやすくなります。
「自分が目の当たりにしてきた社会課題」や「大学で研究してきた研究」、「自分のキャリアと知見が活かせる特定の業界」など、あなたの起業を決意させた強い動機こそが事業の軸足となります。壁打ちの前には事業化する上で譲れない点を整理しておくことをおすすめします。
計画の穴を可視化する
「起業アイデアを壁打ちしたいが、どこから話していいかわからない」場合には、頭の中にある計画やアイデアを書き出してみましょう。
以前に「スタートアップの事業計画書に役立つアクションプランシートを公開します」という記事を掲載しましたが、ここで紹介しているアクションプランシートを手始めに埋めてみましょう。
内容の粒度にこだわる必要はありません。技術畑出身の方であれば「リリース製品」「製品開発&製造」はしっかり書けても、他の項目は薄くなるかもしれません。逆に営業や事業開発出身の方の場合には「売上概算」「ビズデブ」は細かく書けても、「製品開発&製造」については書きにくいかもしれません。
自分ではうまく書けなかった部分について壁打ちをすると、より的確なアドバイスがもらえる可能性が高まります。まずは自分の思考を整理した上で、壁打ちしてみませんか?
イベントのお知らせ(2023/7/25@大手町)
HAX TokyoとIncubate Fundの共催によるミートアップイベントを2023年7月25日に開催します。
当日は「起業・資金調達・チームづくりについてのリアル」をテーマに、VC・アクセラレーター、スタートアップの各当事者たちによるトークセッションを予定しています。また、イベント終了後は懇親会も予定しています。HAX TokyoやIncubate Fundの担当者も参加しますので、各プログラムに興味をお持ちの方は是非ご参加ください。
参加費は無料です。詳細は以下の申込ページをご覧ください。
SNSのフォローもよろしくお願いします!
twitter https://twitter.com/HaxTokyo
facebook https://www.facebook.com/haxtokyo
ニュースレター申込