VCはプロトタイプをどこまで重視する?スタートアップからの質問に追加回答します
去る2022年7月にオンラインで実施したウェビナーは多数の方にご参加いただきました。
その際に時間の都合で回答できなかった質問にHAX Tokyoのディレクターが回答します。ぜひ上記のレポートと併せてご覧ください。
VCはスタートアップのプロトタイプ(試作品)や初期のユーザーを通じて投資判断する際に、何を重視しているのでしょうか?
市村:プロトタイプの有無だけで投資判断を決定するということはありません。
この3点は重要なポイントです。
初期ユーザーをきちんと掴めているかということは、上記の裏付けになることだと考えています。
岡島:そもそものポイントとして、スタートアップがフォーカスする顧客課題が、将来的に大きな事業規模を予感させるほどクリティカルであるかが重要です。その上で重視するポイントは以下の2つでしょう。
VCやアクセラレーターは、プロトタイプをどのように定義していますか?
市村:何かの検証を行うために必要な試作と認識しています。ですから、プロダクト開発上で動作や機能を確認・検証するプロトタイプと、営業する上で必要なプロトタイプは目的が異なりますので、その中身も違うものになるケースが多いと考えます。
良いプロトタイプのポイントとしては、以下の2点を相手に説明できることが重要です。
岡島:「チームが目指すビジネスに関する仮説を検証するために作られたもの」と考えます。よって、ハードウェアやソフトウェアのいずれにおいても、完成品に近い洗練されたものでなくても良いでしょう。
起業家から投資家に向けた初期のアプローチ方法で会いたくなる・会いたくならないの違いはありますか?
市村:事業プランがまとまっているか否かに関係なく、投資家に相談したいことがあったら早い段階からドアをノックするほうがいいと思います。その際に、今の時点でできていること、できていないこと、これからやることが整理されていたり、面談したい目的、得たいフィードバックなどを明確に伝えてもらえると話しやすくなりますね。
岡島:会いたくなるポイントとしては目指すビジネスの方向性によって以下のように考えられます。
顧客課題の解決を目指すビジネスを志向する場合は「起業家が解決したい顧客課題が明確であり、その課題の解決に顧客はお金を払いたいと思うほど致命的なものかどうか」が重要になります。
起業家自身のニーズや情熱に下支えされた趣味性の高いビジネスの場合は「起業家自身が使い倒したいと思えるレベルの試作品を日夜作り続けているかどうか」が重要になるでしょう。
プロトタイプ開発を目的とした資金調達は可能でしょうか
市村:何を検証するための試作か、作るものの規模や必要とする資金にもよりますが、一般的には難しいと言う見方が多いように思います。
また、早い段階でエクイティファイナンスを行うことで、その後の資本政策で実行できる選択肢が限られるリスクが発生することもあります。こういったリスクを考慮すると、初期の試作に必要な資金はエクイティではなく、補助金や助成金などをうまく活用し、仮説検証を進めて行く方が堅実だと考えます。
岡島:どのような試作品か、どこから調達したいかにもよるでしょう。いずれにしても、金融機関からの融資はおそらく難しいと思われます。
VCからの調達であれば
・起業家がフォーカスする顧客課題が明確かつ解決ニーズが高い
・それに関する検証のために最低限必要な試作品である
ということであれば資金調達は可能かもしれません。
ただ「まだアイディアレベルです。最初の試作に5000万円必要です」という規模感だと厳しいでしょう。
アイディアと金額次第では、ものづくり補助金などの公的機関からの助成金による調達の可能性もあると思います。
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