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HAX Tokyo卒業生と大企業担当者が明かす スタートアップと大企業のコラボを成功させるコツ

シード〜アーリーステージのハードウェア・スタートアップを支援するHAX Tokyoでは、プログラム期間中に専任担当者がスタートアップとさまざまな大企業を仲介し、ビジネスモデルのブラッシュアップに繋がるサポートを提供しています。

オープンイノベーションという言葉が定義されてから久しい中、両者の協業を成功させるためには、技術や市場規模だけでなく心構えやビジネスモデルに対する意識も重要です。

そこで今回は先日開催された「HAX Tokyo Batch 3 Opening Day」の中から、HAX Tokyo Batch2に参加したスタートアップを代表してLexxPluss代表取締役の阿蘓 将也氏、大企業側の担当者として住友商事物流インフラ事業本部の新事業・DX推進チームから大野 誠、そして両者をつないだHAX Tokyo(住友商事新事業投資部)の橋本 英梨加の3名によるトークセッションをレポートします。当日はHAX Tokyoのプログラムを振り返りながら、両者の関係を成功に導くためのポイントについてディスカッションしました。
(聞き手:HAX Tokyo ディレクター 市村慶信)

LexxPluss
物流倉庫運用を効率化する、自律走行と軌道走行を兼ね揃えた自動搬送ロボットの開発と、ロボットの稼働状況の分析や倉庫の運用管理システムを開発するスタートアップ。
自由にカスタマイズができる搬送ロボットと、システム連携が可能な倉庫管理システムを組み合わせることで要求仕様が多岐にわたる個々の倉庫にマッチした提案や、これまで導入が難しいと判断されていた現場での自動搬送が可能になるソリューションを開発する。2020年3月に創業し、同年7月にHAX Tokyoに採択。


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右上から時計回りに
HAX Tokyo橋本英梨加、同じくHAX Tokyo市村慶信、
住友商事大野誠、LexxPluss阿蘓 将也氏

――HAX Tokyoの運営サイドから見た、LexxPlussの印象について教えて下さい

橋本:阿蘓さんは「LexxPlussが持つ技術ありきでの事業ではなく、顧客の声を聞いて、見つけた課題を解決することでサステナブルな事業を運営したい。そして、自分たちの事業を通じてユーザーの暮らしを豊かにしたい」という思いを持たれているのが印象的でした。

ディープテックや技術ドリブンなスタートアップは、自分たちの技術ありきで市場を探す傾向がありますが、阿蘓さんは顧客ありきのマインドセットなので、引き合わせたい先もはっきり見えましたし、企業担当者を紹介する際もクイックに対応いただいたので、担当者冥利に尽きる思いでした。

――阿蘓さんはHAX Tokyoに参加されて、印象に残っていることはありますか?

阿蘓:まずは幅広い業界とのネットワーキングが早期に構築できたことです。前職(※阿蘓氏の前職はBOSCH)での経験から物流における課題は理解していましたが、それ以外の業種−−例えばショッピングモールや通信機器や食料品の工場などコネクションがない異業種の方とスタートアップがつながるには時間を要します。しかし、HAX Tokyoのオンラインによるアクセラレーション・プログラムに参加して、短期間のうちに5社、10社とお話を伺えたというのはコロナ禍でリモートが前提になった影響がプラスに働いたように思いますし、住友商事さんだからこそできた事ではないかと思いました。

もう一つが深センとのコミュニケーションですね。オンラインで「こういう問題がある」と相談したときのレスポンスの速さや、新しい情報がどんどん返ってくる体制は、私たちにとっては非常に良かったと思います。

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LexxPlussが開発する搬送ロボット

――大野さんから見たLexxPlussの印象はいかがでしたか?

大野:橋本さんからLexxPluss阿蘓さんの事業やヴィジョンを伺い、我々が目指す方向性とベクトルが合っている印象を受けました。それは単にロボットを売りたいとか、自分たちの技術をどうにかしたいというプロダクトアウトの考えではなく、市場や課題に対して、どうやって貢献するかというマーケットイン・イシューファーストの考えがベースにあり、それに強く共鳴しました。さまざまな顧客の業務効率化やスマート化を支援するための引き出しをたくさん持たれている点からもそれが言えますよね。

その後、阿蘓さんにお会いして具体的な課題を相談すると、すぐに我々が倉庫という場を提供するので、PoCを一緒に行いましょうという話になりました。我々企業側は現場を提供することが、スタートアップとの協働で大事なことだと、私は考えています。

――大企業側から見たスタートアップと組むメリットとは何でしょうか

大野:倉庫で利用されるロボットの市場において、欧米や中国企業に比べ、日本のロボットメーカーは技術力はあるのに実用化までのスピードに欠けている、そしてそのことでシェアが握れないという現実があります。しかしながらLexxPlussは日本のメーカーとしての高い技術力を持ちながら、ソフトウェアとハードウェアの間を繋ぐインテグレートにも精通していることから、実用化までのスピードが非常に早いと感じました。この小回りの良さがスタートアップと組むメリットだと思います。

橋本:LexxPlussがターゲットにしている市場は物流ではあるものの、いろんな現場で人手不足や搬送のニーズはありますよねという話を当初からしていました。その中で阿蘓さん自身から「物流に限らず、製造業や他の業界に視野を広げて、新しいニーズを拾ってみませんか」という提案をいただきました。

実際にヒアリングしていくと、商業施設では荷物をバックヤードに降ろした後、各店舗の倉庫に運ぶのは人がカートを押して対応しているとか、食品工場では一部の工程は未だに人が商品を運んでいるという課題を発掘することができました。
大企業が持つ課題が、スタートアップがターゲットとしていた応用とは違った分野だった場合でも、そのテクノロジーで解決することができる可能性があります。大企業サイドはそういった可能性をスタートアップと探りながらビジネスを一緒に作っていけるというのが特にアーリーステージのスタートアップと組むメリットだと思います。

――特定の分野に深くコミットするのも大事ですが、創業期だからこそ可能性を広く探ることも必要かもしれませんね。HAX Tokyoのプログラムを経て、スタートアップが大企業と組むメリットを阿蘓さんは、どのように捉えていますか?

阿蘓:いろんな業界の現場で起きている課題を深く理解できるのは、大きなメリットだと思います。
橋本さんがお話したように、さまざまな業界や現場に伺って自動化のニーズについてディスカッションするのですが、単純に自動化したいという需要は、どの産業でもあります。ただ、その温度感や課題をどのように捉えているかは千差万別です。自分たちの頭の中にある仮説だけで進むのではなく、それを検証する場所があって、温度感を理解することができたのは非常に有益でした。

大野:課題の理解、温度感という意味では、LexxPlussが持つ「オープンソースをフル活用することで、品質は高く、しかし安価に提供する」という戦略は、大企業の既存プレーヤーに対する不満を一掃するものでした。「これぐらいの価格であれば日本で活用されるかもしれない」という具体的な話まで詰められたのは良かったと思いますね。

――アクセラレーション・プログラムの短い期間の中で、出会いを最大限に活用するために大企業とスタートアップができることはありますか?

大野:スタートアップに現場に直接足を運んでもらい、大企業側が現場で持つ課題を肌で感じてもらうことや、現場ワーカーの声を直接聞いてもらうことにより、スタートアップの方が持つ仮説と、現場のギャップを感じてもらうことが大事だと思っています。

大企業側はそういった環境づくりを行うことがスタートアップに対してできることであり、引き続きHAX Tokyoを通じて、その様な場作りを進めていけたらと思います。

阿蘓:スタートアップとしてやるべきことは、事前に仮説を立てて何事にも臨むことに尽きますね。現場の課題を自ら理解して、目的意識を持ってスタートアップに臨む大企業とは話が進むのも早い一方で、スタートアップ側も現場で起きている潜在的な課題は何かを引き出すような問いかけや仮説を準備しておく必要があると思います。そういったスタンスで臨むようになってからは、物流と直接関係のない業界の方からも有意義な情報を得ることができました。

自分たちなりに相手に対して仮説を立てて、現場の課題と照らし合わせながらコラボレーションをしっかりやっていくというマインドセットが重要ではないかと思いました。

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HAX TokyoはSOSV、SCSK、住友商事の共同運営による、ハードウェアに特化したアクセラレータープログラムです。 シードステージのスタートアップの成長を加速する3ヶ月間のプログラムを提供しています。 https://www.hax.tokyo/