2022年2月の歌


大木の木陰に弁当広げれば青き風吹く心の中まで 
バリスタの動画を見ながら入れてみる今朝のコーヒーひと味まろし  
鵜川登旨

披露宴へ送る動画のご挨拶海をバックに夫婦で「アローハ」 
披露宴終えて幼い日の吾子がふと甦える遠い青空 
大室やよい

日曜日思いもよらぬ方と遇う一期一会のご縁となるやも 
出会いとは一期一会の定めとやいやいやそれは別れの予兆
大森久光

とっておきの青いカップに紅茶入れシナモンの香にモヤモヤ薄らぐ 
問いかけに即座に答えるアレクサは我より素直に夫にかしずく   
岡まなみ 
 注:アレクサは声に応えて指示にしたがうディバイス

アラワイ運河にて
さざ波に紫紺の御空写しいてワイキキに流る笑顔を載せて 
雛を背に軒から軒を飛びまわり父さん鳥はわらくず口に
沖 葉子

子は巣立ち二階の雨戸を開けくれば青松の照る窓辺みつける
ぬくぬくと火鉢にあたる山の夜叔父伯母祖父母の思い出うかぶ
小野貴子

青い鳥捜し求めて来し我は黒い子犬と抱き合いて寝る  
ヨボヨボと歩けば母を思い出すゆっくり歩いてあげればよかった 
小島夢子

可憐なる小さな花の犬ふぐり花びら全て異なる青の 
老木を切りにしあとのひこばえに今朝一輪の梅の花咲く
 近藤秀子

漆黒の東の空の定位置で静かに光る青い星ひとつ 
新年の抱負を紙に書きだすも健康ひとつ欲のなきこと
 関本なつ

青い海心が澄んで気持ちいいハワイに住んでやっぱり良いよ   
愛してるこんなに好きでいるなんて我が子にかける熱い想いを  
田中えり

水青く澄みて魚も元気らし人の少なきハナウマベイは  
白雲のポッカリ浮かぶ晴れた朝マスクの三人(みたり)と雀卓囲む
筒井みさ子

引き潮の湾に写りし青空に水面も揺れず真昼しずかなり    
春の野に足投げ出して花輪あむ花むれさがせし春が又くる  
原 葉

豪雨やみ厚い灰色の雲間よりハギレのような青空のぞく 
九十三免許返納シニアカーに乗り換えて父「どん兵衛」買いに
 藤代敏江
 注:シニアカーは電動の車椅子、どん兵衛はカップそば、うどん

月旅行ビズは満席絶好調羨ましきは我ら凡人      
四歳よりの夢をかなえしオリバー君十代にして宇宙旅行者     
三浦アンナ

電飾に青く輝く並木路はしばしの間の星空の旅    
凍てつきし土に根を張るパンジーに蕾見つけたり大寒の朝    
森田郁代

青々と草木の芽吹く時を待ち小さきメジロの枯れ笹渡れり 
雨上りガス立ち昇る山々を見上げる先に陽光の射し
山下ふみ子

客招き青磁花入れに生けし椿息吐きかけて蕾に赤みを 
絵葉書に友の描きくれし蕗のとう雪を冠りて朝日に眩し
楽満眞美

茹で忘れ一本残りし青梗菜グラスに挿して食卓飾る  
何事も試してみようと決めた朝納豆かき混ぜトーストにぬる 
伊藤美枝子

as of March 22, 2022

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