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コロナに感染してしまいました(その3)

著者: 六甲茂子(ロコモコ)

一時はその日の新規感染者が6,000人などと、とんでもない数字を叩き出していたハワイですが、どうやら山は越えたのか、最近は1,000〜2,000人程と落ち着いています。私も夫も、後遺症はややあるものの、すっかり回復して通常の生活に戻りましたが、高齢の義母は感染後ほとんど寝たきりになってしまいました。

高齢の義母の場合

義母は88歳で、高齢に加えて以前大きな卒中を起こし3ヵ月間植物状態だった事があるため、常に気をつけていました。が、今回は残念ながら感染。家族皆で隔離生活となりました。

夫は長男で普段から義母の介護を担当しています。私は普段はフルタイムで働いている為、週末に介護を手伝っています。

最初義母は軽く咳をしていたものの、それ程酷いわけではありませんでした。毎日ビタミンCとD、亜鉛のサプリを飲ませて、このままだんだん良くなってくれたら…と思っていたのですが、数日後義母の様子が急変しました。

突如車椅子上で意識が無くなり、酸素量を測ったところ、基準値よりグーンと低くなっていたので、救急車を呼びました。そしてそのまま検査入院となりました。

私達もコロナの症状が出ていた為、義母が入院している間は、むしろ安心だと思ったのですが、検査が終わると、迎えに来て欲しいとの電話がありました。何せコロナの重症者も多く、ベッドが足りない状況で、義母はまだ軽症の部類なので、家で療養しなければならない、と。

病院から帰ってきた義母は意識朦朧で身体に力も入らず、全く立つことも真っ直ぐ座る事も出来なくなってしまいました。ほとんど寝たきりで、トイレにも行けません。

食事は誤嚥下防止の為、ごく少量をミキサーで細かくして、スプーンで少しずつ食べさせます。すごくゆっくりペースなので、義母の食事には1時間くらいかかるようになりました。

私はまだまだ症状が重かったのですが、幸いにも夫の症状はかなり軽かったので、夫は義母の部屋に布団を持込み、24時間体制で様子を見る事になりました。

夫には自分の時間と言うものが全くなくなり、付きっきりで義母の世話をしなければならず、私はただ早く治さなければと焦りました。

結局2週間ほどで回復、しばらくリモート働きつつ、夫と交代で義母の介護に当たりました。が、この状態をいつまでも続けるわけにもいかず、私が再び出社するタイミングに合わせて、訪問介護をお願いする事になりました。

私たちがコロナ感染者だった事からすぐには来て貰えず3週間待ってからのスタートになりましたが、20年以上のキャリアを持つベテラン介護士さんに来て頂ける事になり、やっと肩の荷を少し降ろしたところです。

介護で深まる絆

コロナ後寝たきりになってしまった義母の介護で、心身共に疲れ果てた私たち夫婦ですが、これをきっかけにお互いの役割や、お互いへの感謝の気持ちを再確認し、今まで以上に絆が深まったように思います。

実を言うと、ずっと大黒柱で働いている事に、少しばかり「なんで私ばかり」なんて思ったりしてました。夫は夫で介護で家に縛られて、自由に外で働ける私を羨ましいと思っていたそうです。

今回24時間体制で介護にあたる夫を目の当たりにして、その大変さに改めて気づくと共に、今まであまり好きではなかったバスルームの世話なども、もっともっと手伝いたいと思うようになったし、夫への尊敬の念も深まりました。

夫も、私が働く事で、食べるものに困らず済んでいる事、仕事のストレスなどを前よりも考えるようになったそうで、お互いに一つステージを進めたかな…と感じています。

今まではお互いに名前呼びでしたが、最近は「お父さん」、「お母さん」と呼び合っています 笑。子どもはいないんですけどね。

ここ数日、義母の顔に笑顔が戻り、ゆっくりですが話したり、車椅子に座ってテレビを見たりできるようになりました。訪問介護士さんに週に3日来て頂けるので、夫はその間仮眠を取ったり、銀行に行ったり買い物したりと用事を済ませる事ができるようになりました。

まさに、「雨降って地固まる」と言った感じです。

Welcome back!

そんなこんなで、コロナに始まった我が家有数の困難期を乗り越え、私も仕事に完全に復帰する事になりました。

休んでいた間も、定期的に人事課とは連絡を取っていたものの、久しぶりの出勤の日は緊張しました。いくら回復したとはいえコロナだったから、皆に避けられるのでは? なんて思ったり。

かなり気を使いながらオフィスのドアを潜ると、皆口々に「Welcome Back (よく戻ったね)」と声をかけに来てくれました。

机の上にはプレゼントがたくさん置いてあり、皆さんの優しさに涙が出そうになるのと同時に、姑息な事を思った自分が恥ずかしくなりました。

やはりこのような面では、ハワイの人間関係は他所よりあたたかく、成熟しているように思います。もちろん全部が全部ではないですけどね。

また後で知った事ですが、私以外にも何人も同時にコロナに罹っており、うちの職場だけで言えば、約半数が陽性のレポートをもらっていたそうです。最近はリモートを選択する人も多かったので、目に見え難かったようです。

今私の会社では数人が隔離状態にあります。彼らが戻ってきたら、私も心からWelcome Back! とあたたかく迎えたいものです。

というわけで、長々と書いてきましたコロナ感染記ですが、おかげさまで、今は過去の事と笑って話せるようになりました。

皆様もどうぞお気をつけてお過ごしください。読んでくださり、どうもありがとうございました。




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