見出し画像

心のチカラ

カエデは「ね?お父さん。お母さんってどんな人だったの?」とツカサに声を掛けた。
ツカサは、「それは、とても優しい人で誰に対しても気を遣える、そんな人だった。ただ身体が弱いだけで、まだ小さいカエデや、まだ見ぬモミジを置いて死んでしまったから心には未練でいっぱいだったろうな」とカエデの返事に答えた。
カエデは「お母さんの記憶があまり無いんだけど、そんな人だったんだ。ありがとう」とツカサに返事を返した。
モミジは、「お母さんの遺影は、優しくて笑顔が溢れて居るな」と思っていた。
モミジが「私もお母さんに会いたかったな」とツカサに話し掛けた。
ツカサが「そうかー、そりゃそうだよな」とモミジの前髪を撫でて居た。
モミジは「お姉ちゃん、お墓参りに行こう。お母さん待って居るよ」と玄関先で靴をトントンと叩いた。
カエデは「ちょっと待って。お花用意しなきゃ」と線香とお花とチャッカマンを持ち、キクエのお墓まで来たのだった。
モミジは「お母さん来たよ」と嬉しそうに話をして居た。
この季節はトンボが宙を舞い、綺麗だった。
カエデは、チャッカマンで線香を付け、ツカサやモミジに分けた。
そうして水を上げて、お祈りをして帰って行った。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?